記事・レポート
自民党総裁選を斬る~空気読めない候補者は去れ~
アカデミーヒルズセミナー経営戦略
更新日 : 2008年10月30日
(木)
第10章 今、日本経済の回復は不可能。行革の後退を防ぐことが重要
岸博幸:実はきょうのシンポジウムは、メディアの皆さんにもフルオープンでやっていまして、6名の皆さん、もうちょっとマイルドなことを言うかなと思ったら、全員が全員、きついことを言って、方向性も大体一致していますので、個別の論点、個別の候補のことを言うよりも、まさに竹中先生が提示してくださったキーワード、経済の現状、ショックセラピー、政治家の国民不信、評価する側の問題、さらには政界再編を含む今後のスケジュール、日程、これらの点については、あとでフロアと6人、自由にどんどん発言をしてもらいたいと思います。では、まず加藤先生から。
加藤寛:私は、今皆さんがおっしゃったことは、そのとおりだと思っているのです。そのとおりだと思いながら、1つだけ言いたいことがあるのは、みんなエコノミストや、割合エコノミストに近い人だから、経済の回復をまだ皆さん願っているのですね。だけれど、それは不可能だと思いますよ(笑)。
つまり、いくら、どんな手を使っても、今の日本経済を回復させるリーダーは出てこない。政治の1つの情勢というのが、ものすごく大きいと思うのです。この制約を突破しない限り、ガバナンスは絶対窒息しますね。
加藤寛:私は、今皆さんがおっしゃったことは、そのとおりだと思っているのです。そのとおりだと思いながら、1つだけ言いたいことがあるのは、みんなエコノミストや、割合エコノミストに近い人だから、経済の回復をまだ皆さん願っているのですね。だけれど、それは不可能だと思いますよ(笑)。
つまり、いくら、どんな手を使っても、今の日本経済を回復させるリーダーは出てこない。政治の1つの情勢というのが、ものすごく大きいと思うのです。この制約を突破しない限り、ガバナンスは絶対窒息しますね。
ですから、どんなことを国民が望んで選挙をしても、また選挙をされた人たちが政権をつくっても、結局は放り出すしかないということだと思うのです。安倍さんと福田さんが放り出したので、新聞は「放り出したのはけしからん」と書いていますけれど、私は放り出すのは当たり前だと思います。つまり常識のある人間なら、今できるはずがないんですよ(笑)。そんなことを文句を言ったってしょうがない。
問題は、しかし、その中でもって、少しでも手をつけてきた行革が後退しないように、何とかして、それを維持できるようにしていかなければいかんと、私は思っているのです。
その点、小池さんは割合守ろうという意識があるのです。しかし、何か弱々しくて、「守ってくれるのかな?」という感じが先に来てしまいますけれどね。私は小池さんというのは、なかなかいいことを言っていると思いますよ。国立大学の民営化などというのは、これは当たり前のことなんですよ。その当たり前のことができない日本というのは、教育において世界に君臨することはできないと言わざるを得ませんね。
ですから私は、「経済の面から見て、確かに何かしたいとは思うけれども、できないですね」と考えます。
私は「行革で、官から民へというのが失敗」と書きました。今度、行政改革の柱であるべき公務員の改革法案ができましたけれど、これは全く失敗でございます。天下りを抑えることはできません。よく、みんな天下りというのは簡単に抑えられるように言っていますけれど、官僚が首になったときに、どうやって次の職業を探すことができるかというシステムをつくってあげない限り、絶対に天下りは止まりません。
そのことを、私はやっぱり一番考えると、ここに焦点を当てた人が、5人のうち、少なくとも1人でも出てきて、それを実行してくれる人がいたら、日本は大きな下落をしないで済むんだがなということを思いながら、まずできないんじゃないかということが先に立っております。
問題は、しかし、その中でもって、少しでも手をつけてきた行革が後退しないように、何とかして、それを維持できるようにしていかなければいかんと、私は思っているのです。
その点、小池さんは割合守ろうという意識があるのです。しかし、何か弱々しくて、「守ってくれるのかな?」という感じが先に来てしまいますけれどね。私は小池さんというのは、なかなかいいことを言っていると思いますよ。国立大学の民営化などというのは、これは当たり前のことなんですよ。その当たり前のことができない日本というのは、教育において世界に君臨することはできないと言わざるを得ませんね。
ですから私は、「経済の面から見て、確かに何かしたいとは思うけれども、できないですね」と考えます。
私は「行革で、官から民へというのが失敗」と書きました。今度、行政改革の柱であるべき公務員の改革法案ができましたけれど、これは全く失敗でございます。天下りを抑えることはできません。よく、みんな天下りというのは簡単に抑えられるように言っていますけれど、官僚が首になったときに、どうやって次の職業を探すことができるかというシステムをつくってあげない限り、絶対に天下りは止まりません。
そのことを、私はやっぱり一番考えると、ここに焦点を当てた人が、5人のうち、少なくとも1人でも出てきて、それを実行してくれる人がいたら、日本は大きな下落をしないで済むんだがなということを思いながら、まずできないんじゃないかということが先に立っております。
※この原稿は、2008年9月15日にアカデミーヒルズで開催した緊急シンポジウム「自民党総裁選を斬る~空気読めない候補者は去れ~」を元にアカデミーヒルズが作成したものです。
自民党総裁選を斬る~空気読めない候補者は去れ~ インデックス
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第1章 国民はこの事態をどう評価し、あしたに向かってどう行動するのか
2008年10月15日 (水)
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第2章 政治で10年、経済で10年、伝統で10年。混乱は合計30年
2008年10月20日 (月)
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第3章 選挙のキーポイントは「成長なくして老後もなし」
2008年10月21日 (火)
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第4章 建築基準法、貸金業法、日雇い派遣——規制の問題点
2008年10月22日 (水)
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第5章 日本再生に向けた戦略の最重要ポイントは「何を捨てるか」
2008年10月23日 (木)
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第6章 マニフェストを読み比べる方法。改革への道筋は描かれているか
2008年10月24日 (金)
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第7章 不況の原因と対策をはっきり示している人は?
2008年10月27日 (月)
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第8章 今、経済政策に必要なのは「ショックセラピー」
2008年10月28日 (火)
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第9章 問題3兄弟。政治家の国民不信、メディアの怠慢、国民の逃避
2008年10月29日 (水)
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第10章 今、日本経済の回復は不可能。行革の後退を防ぐことが重要
2008年10月30日 (木)
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第11章 「格差を縮めよう」ではなく、「貧困を撲滅しよう、底辺を上げよう」
2008年10月31日 (金)
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第12章 評価できる政界再編の基軸を各マニフェストからピックアップ
2008年11月03日 (月)
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第13章 マニフェストには、普通ではできないブレークスルー型のものを書け
2008年11月04日 (火)
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第14章 日本を明るくする2つの方法——教育と政策
2008年11月05日 (水)
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第15章 既得権を維持するためにたくさん法律をつくっている官僚
2008年11月06日 (木)
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第16章 知識集約的なものづくりをしない限り、今の所得は維持できない
2008年11月07日 (金)
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第17章 利害を持つ人が政策意思決定にかかわると、必ずゆがむ
2008年11月10日 (月)
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第18章 日本が競争している相手がどれほど頑張っているか見よ
2008年11月11日 (火)
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