記事・レポート
自民党総裁選を斬る~空気読めない候補者は去れ~
アカデミーヒルズセミナー経営戦略
更新日 : 2008年11月05日
(水)
第14章 日本を明るくする2つの方法——教育と政策
竹中平蔵:私は日本を明るくする道は、まだあると思います。日本には希望と絶望があるが、私は2つのことをやれば、希望の部分もあると思うのです。
最大の問題は、今、私たちが非常に厳しいグローバル競争の中に置かれているというグローバル教育を徹底してやることです。
韓国ではすごいことが起きています。1997年にアジア通貨危機でやられて、グローバル競争というのは本当に怖い、韓国なんかひとたまりもないと思った。しかし、そのときに生き残った企業というのは徹底してグローバルで戦っている企業だったのです。だから、今、韓国の普通の人たちは、自分の息子や娘はグローバル企業でグローバルな競争に勝っていけるような人間に育てないと将来はないと思って必死になっている。お金のある人、借金できる人は、子どもをアメリカの小学校、中学校に行かせているのです。
今、アメリカの小学校、中学校、高校で外国からの留学生の統計をとってみると、韓国が一番多いのです。子どもが行くものだから、お母さんがついて行きます。お父さんが、国内で逆単身赴任やっているのです(笑)。これは社会問題になっていますが、でも、そこまで必死になっている。
しかし、日本は某大手自動車メーカーと家電メーカーがあって、そこが税金払ってくれるから、そのお金を使わせてもらえるから、原油の値段が上がって、燃料費が上がったら、ちょっと政府に出してもらえるんじゃないかと思っているのです。でも、その大手企業はしたたかに海外に出て行くし、国内での基盤が低下しているのです。
今のところ、まだもっているけれども、日本も韓国のように本気になってやらなければいけない。前回のこの席で、冨山さんが、「実はこの間まで日本は食えなかったんだ、だから何代か前、移民に出たんだ」とおっしゃいました。
そういう状況が目の前に待っている、それだけ切羽詰っているんだというグローバル教育をちゃんとやろう、そうしたら、変なおねだりをする国民は減るだろうし、おねだりする国民に、やたら安易に応じるポピュリストの政治家もいなくなるでしょう。期待を込めて言いますが、これが1つですね。
もう1つは、日本の政策は、私は難しくないとずっと言っているのです。日本はよく課題先進国だと言いますけれど、課題先進国である以上に、政策後進国です。やればいいと思う政策があります。国立大学を民営化しましょう、羽田空港を24時間国際空港にしてオープンにしましょう、法人税を引き下げましょう、こんなの外国はすべてやっていて、日本だけがやっていない政策じゃないですか。だから、日本の政策は難しくないんです。外国で当たり前にやっていることを、普通にやればいいのです。
実は郵政民営化も、不良債権処理もそうなんです。不良債権処理も、どこの国でもやったんです。郵政民営化も、ドイツ、オランダ、イギリス、イタリア、多くの国でやっているのを、日本はみならっているのです。そういう状況に持っていければ、恐らく明るい面も出てくるでしょう。
しかし、そのためには、また、これは冒頭の結論ですが、今の政治体制ではなかなかつらい。とにかくブレークスルーの政策をやってほしいし、そのための旗を立ててほしい。将来の生活再編にかけて旗を立ててほしい。あえて言えば、私は小池さんのマニフェストに書いてあることは、1つの旗になるのではないかと思っています。
最大の問題は、今、私たちが非常に厳しいグローバル競争の中に置かれているというグローバル教育を徹底してやることです。
韓国ではすごいことが起きています。1997年にアジア通貨危機でやられて、グローバル競争というのは本当に怖い、韓国なんかひとたまりもないと思った。しかし、そのときに生き残った企業というのは徹底してグローバルで戦っている企業だったのです。だから、今、韓国の普通の人たちは、自分の息子や娘はグローバル企業でグローバルな競争に勝っていけるような人間に育てないと将来はないと思って必死になっている。お金のある人、借金できる人は、子どもをアメリカの小学校、中学校に行かせているのです。
今、アメリカの小学校、中学校、高校で外国からの留学生の統計をとってみると、韓国が一番多いのです。子どもが行くものだから、お母さんがついて行きます。お父さんが、国内で逆単身赴任やっているのです(笑)。これは社会問題になっていますが、でも、そこまで必死になっている。
しかし、日本は某大手自動車メーカーと家電メーカーがあって、そこが税金払ってくれるから、そのお金を使わせてもらえるから、原油の値段が上がって、燃料費が上がったら、ちょっと政府に出してもらえるんじゃないかと思っているのです。でも、その大手企業はしたたかに海外に出て行くし、国内での基盤が低下しているのです。
今のところ、まだもっているけれども、日本も韓国のように本気になってやらなければいけない。前回のこの席で、冨山さんが、「実はこの間まで日本は食えなかったんだ、だから何代か前、移民に出たんだ」とおっしゃいました。
そういう状況が目の前に待っている、それだけ切羽詰っているんだというグローバル教育をちゃんとやろう、そうしたら、変なおねだりをする国民は減るだろうし、おねだりする国民に、やたら安易に応じるポピュリストの政治家もいなくなるでしょう。期待を込めて言いますが、これが1つですね。
もう1つは、日本の政策は、私は難しくないとずっと言っているのです。日本はよく課題先進国だと言いますけれど、課題先進国である以上に、政策後進国です。やればいいと思う政策があります。国立大学を民営化しましょう、羽田空港を24時間国際空港にしてオープンにしましょう、法人税を引き下げましょう、こんなの外国はすべてやっていて、日本だけがやっていない政策じゃないですか。だから、日本の政策は難しくないんです。外国で当たり前にやっていることを、普通にやればいいのです。
実は郵政民営化も、不良債権処理もそうなんです。不良債権処理も、どこの国でもやったんです。郵政民営化も、ドイツ、オランダ、イギリス、イタリア、多くの国でやっているのを、日本はみならっているのです。そういう状況に持っていければ、恐らく明るい面も出てくるでしょう。
しかし、そのためには、また、これは冒頭の結論ですが、今の政治体制ではなかなかつらい。とにかくブレークスルーの政策をやってほしいし、そのための旗を立ててほしい。将来の生活再編にかけて旗を立ててほしい。あえて言えば、私は小池さんのマニフェストに書いてあることは、1つの旗になるのではないかと思っています。
※この原稿は、2008年9月15日にアカデミーヒルズで開催した緊急シンポジウム「自民党総裁選を斬る~空気読めない候補者は去れ~」を元にアカデミーヒルズが作成したものです。
自民党総裁選を斬る~空気読めない候補者は去れ~ インデックス
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第1章 国民はこの事態をどう評価し、あしたに向かってどう行動するのか
2008年10月15日 (水)
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第2章 政治で10年、経済で10年、伝統で10年。混乱は合計30年
2008年10月20日 (月)
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第3章 選挙のキーポイントは「成長なくして老後もなし」
2008年10月21日 (火)
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第4章 建築基準法、貸金業法、日雇い派遣——規制の問題点
2008年10月22日 (水)
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第5章 日本再生に向けた戦略の最重要ポイントは「何を捨てるか」
2008年10月23日 (木)
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第6章 マニフェストを読み比べる方法。改革への道筋は描かれているか
2008年10月24日 (金)
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第7章 不況の原因と対策をはっきり示している人は?
2008年10月27日 (月)
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第8章 今、経済政策に必要なのは「ショックセラピー」
2008年10月28日 (火)
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第9章 問題3兄弟。政治家の国民不信、メディアの怠慢、国民の逃避
2008年10月29日 (水)
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第10章 今、日本経済の回復は不可能。行革の後退を防ぐことが重要
2008年10月30日 (木)
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第11章 「格差を縮めよう」ではなく、「貧困を撲滅しよう、底辺を上げよう」
2008年10月31日 (金)
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第12章 評価できる政界再編の基軸を各マニフェストからピックアップ
2008年11月03日 (月)
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第13章 マニフェストには、普通ではできないブレークスルー型のものを書け
2008年11月04日 (火)
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第14章 日本を明るくする2つの方法——教育と政策
2008年11月05日 (水)
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第15章 既得権を維持するためにたくさん法律をつくっている官僚
2008年11月06日 (木)
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第16章 知識集約的なものづくりをしない限り、今の所得は維持できない
2008年11月07日 (金)
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第17章 利害を持つ人が政策意思決定にかかわると、必ずゆがむ
2008年11月10日 (月)
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第18章 日本が競争している相手がどれほど頑張っているか見よ
2008年11月11日 (火)
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