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チャイナ・フリー 中国製品なしで暮らす1年間

~今求められる消費者の品格~

BIZセミナーその他
更新日 : 2008年11月21日 (金)

第3章 中国製以外の子ども靴を見つけるのに2週間。かかったお金は約5倍

アカデミーヒルズで開催したサラ・ボンジョルニ氏によるセミナーの様子
サラ・ボンジョルニ: 中国製品をボイコットするには非常にお金がかかるということも分かりました。息子のために新しい靴を買おうと思ったときに、これを学びました。息子の靴が小さくなってしまったので、2週間かけてショッピングモールを回ったり、モンタナからペンシルベニアまで、アメリカ中、あらゆるところに電話をかけまくったりして、やっと中国製ではない靴を見つけることができました。

2週間かけて見つけた靴は、イタリア製で70ドルもするようなものでした。あまりにも高いので、大きめのサイズの靴を買うことにしました。この1年間で子どものために買った靴はこれだけです。ボロボロになるまで履きました。70ドルというのがどれぐらい高いのかというと、中国製の子ども用の靴は15ドルぐらいです。ですので、イタリアのものを買うことで約5倍の出費になってしまったということです。

中国製ではないサングラスを探そうとしましたが、これも非常にお金がかかりましたし、また非常に恥ずかしい思いもしました。サングラスのせいで、私とケビンは喧嘩もしました。「盗む」と「借りる」はどう違うのか、口論になったのです。

ある日、私が外から家に帰ってくると、ケビンがキッチンで非常に変わったサングラスをかけて座っていました。そのサングラスは彼にとっては明らかに小さすぎで、顔が入りきらないぐらいでしたし、色もピンク色でした。大学の教授であり、大人である私の夫が女の子用のピンクのサングラスをかけて座っていたのです。しかも、自慢そうにニコニコしているのです。

「それ、どこで手に入れたの?」と私は聞きました。すると彼はにっこりしながら、「学校の落し物箱に入っていたんだ」と言ったのです。「ということは、盗んだのね?」と、私は言いました。そうすると「いや、違うよ」と彼は言いました。「このサングラスは、もうずっと前から、何カ月も前からそこにあったんだ。もしかしたら1年ぐらい前からあったかもしれない。こうなると、これはもう落し物じゃない。誰のものでもないんだ」と言うのです。

「それ、外に出かけるときにはかけないわよね?」と、私は聞きました。そうしたら「もちろんかけるよ。どこに行くときもかけるよ。これは僕のサングラスなんだから」と夫は言いました。結局この口論は、どちらも勝つことができませんでした。というのは、数日後、そのサングラスは壊れてしまったからです。もともと子ども用につくられていたものを、むりやり彼がかけていたからです。

最終的にはちゃんとした、彼に似合うサングラスを私が見つけました。アメリカ製で150ドルでした。150ドルというのは中国製の約10倍の値段です。

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Sara Bongiorni (ジャーナリスト)
坂東眞理子 (昭和女子大学学長)
雨宮寛 (コーポレートシチズンシップ代表取締役)
今井章子 (コーポレートシチズンシップ取締役)

中国——この急成長を遂げる屈指の製品輸出国ほど、21世紀のグローバル経済が引き起こす功罪に深く関わっている国はないでしょう。中国製品には、安心・安全、環境問題、格差問題、資源獲得競争、少子高齢化など、世界の多くの国が共有する社会問題が凝縮されているといってもいいでしょう。しかし、私たちはそうした問題....


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