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ライフスタイルサロン ~遊びをせんとや生まれけむ『ぼくの複線人生』~

カルチャー&ライフスタイル
更新日 : 2008年04月18日 (金)

第13章 努力し続けられる力は、どこから来るのか

竹中平蔵_福原義春

竹中平蔵: もう1つ、ぜひ福原さんに聞いてみたいことがあります。今、私は『勉強法』という本を書いています。どんなふうにしたら自分自身を高められるかということについて、私のささやかな経験から得たエッセンスをお伝えしていこうと思っているのですが、結局突き詰めれば、「努力することを続ける力があるかどうか」というところに帰着するんです。

実はミケランジェロが、それと同じような言葉を残しています。「天才というのは努力を続ける力があるかどうかである」というような趣旨の言葉です。それからこの前、テレビでイチローと松井の対談を見ていたら、同じようなことを2人とも言っていました。もちろんこの2人には持って生まれた才能があるわけですが、結局努力をし続けることができる力、これが、いろいろな意味で最後のパワーを決めているような気がするのです。

福原さんが本(『ぼくの複線人生』)に書かれているように、1つのことからこれだけたくさんのことを学び続けることができるということ。そして福原さんがおっしゃった「生きている間、学んでいるんだ」という言葉。これには非常に通じるものがあるのですが、努力をし続けられる力というのは、どういうところから来るのかなと。何か一部でもいいですから、もしお話しいただけることがあればありがたいのですが。

福原義春: ジャック・ウェルチと一緒にGEを立て直した方に、ノエル・M.ティシーというミシガン大学の先生がいらっしゃいます。昔、その方の話を聞いていたら、突然、ジャズピアノを弾きはじめたんです。それが結構うまいんですよ。これがリリース効果になるのか、あるいは何をやっても夢中になってやる性格なのか、わかりませんが、子どものころのしつけじゃないですね。僕も、やれと言われた記憶はないんです。

やっぱり成功体験でしょうか。何かを突き詰めてやってみたら褒められたということがあるじゃないですか。学校の先生に褒められらとか、お母さんに褒められたとか。そうすると、「自分がやっていることは、人が評価するようになるんだな」と思って、余計またやるようになるんじゃないでしょうか。だから、人を褒めるというのは決して悪いことじゃないですね。

竹中平蔵: 私も大学にいる人間として、教育の本質は何かと考えると、やっぱりエンカレッジメントなんです。「君ならできる」「君はできるんだから、もっとやれ」と。ところが日本の今の社会は、いろいろな意味でディスカレッジすることがすごく多くて、「まあ、ほどほどにしておけ」とか、「分をわきまえろ」なんてよくいいますよね。この典型で、分をわきまえないで改革をするとたたかれるわけです(笑)。

褒め上手になるというのはすごく重要なことですし、褒め上手になれるような友だちとつき合う、ポジティブな人とつき合うというのがすごく重要なポイントだと思います。

福原義春: それをどうやって見つけるかなんですよね、問題はね。なかなか見つからないじゃないですか(笑)。