記事・レポート
ライフスタイルサロン ~遊びをせんとや生まれけむ『ぼくの複線人生』~
カルチャー&ライフスタイル
更新日 : 2008年03月06日
(木)
第5章 「複線人生」で、どんな世界にも通じるアナロジーを構築する力を養う
福原義春: 複線人生というのをしておりますと、価値観を線から面に広げることができる、単線ではなくて、面でもっていろいろなことを考えることができます。人間の能力というのは、とても1つには収まりきらないところがあって、同じ時間にいろいろなことを同時に達成できるところがあるわけです。
それから、ほかの領域のことをすることによって、アナロジー(※編注:類似)が見えてくる、ほかの領域ではこういうことがあるというようなことが簡単にわかってくるので、判断力が強くなると思います。
『私の個人主義』という夏目漱石の講演集が講談社の学術文庫から出ていますが、その中の「道楽と職業」というところで、漱石はこんなふうに書いています。
「博士の研究の多くは針の先で井戸を掘るような仕事をするのです。深いことは深い。
掘抜きだから深いことは深いが、いかんせん面積が非常に狭い。それを世間では
すべての方面に深い研究を積んだもの、全体の知識が万遍なく行き渡っていると
誤解して信用を置きすぎるのです。」
[『私の個人主義』(夏目漱石/講談社学術文庫)の中から「道楽と職業」より]
ますます細分化していく世の中に、これではいけないというふうに警鐘を鳴らしているのですが、これは100年前のことなんです。ですから、ずっと昔から私たちはそういうことに対して警鐘を鳴らし続けてきているのですが、いかんせん、分業化や専門化がますます進んでしまうのだと思います。
アナロジーを構築する能力については、日経新聞の夕刊の「あすへの話題」に、野中郁次郎先生が「教養の作法」ということでお書きになっています。
『日常の経営は、日々変化する個別具体の一回性の出来事への対応である。
したがって、一般的な論理分析型モデルだけではその本質を理解できない。
繊細な観察から日常見過ごしている「あっ」という気づき(文学的感性)から、
その背後にある真善美の根拠を考え抜き(哲学的思考)、起承転結の物語
(歴史的流れ)のなかで、適時の判断と行為を起す状況認知能力が必要である。
これは自らの生き方に照らし、特殊(個別)のなかに普遍(本質)を見る教養の能力である。』
(日経新聞 2007年6月1日夕刊 「あすへの話題」野中郁次郎)
ですから、複線人生でどういう分野にあっても基本的な普遍性というものは変わらない、だからそれをすぐに理論化体系化できるように、どこの世界でもアナロジーを構築するような能力というのができるんじゃないかと思うわけです。そうした例を、いくつかご紹介したいと思います。
それから、ほかの領域のことをすることによって、アナロジー(※編注:類似)が見えてくる、ほかの領域ではこういうことがあるというようなことが簡単にわかってくるので、判断力が強くなると思います。
『私の個人主義』という夏目漱石の講演集が講談社の学術文庫から出ていますが、その中の「道楽と職業」というところで、漱石はこんなふうに書いています。
「博士の研究の多くは針の先で井戸を掘るような仕事をするのです。深いことは深い。
掘抜きだから深いことは深いが、いかんせん面積が非常に狭い。それを世間では
すべての方面に深い研究を積んだもの、全体の知識が万遍なく行き渡っていると
誤解して信用を置きすぎるのです。」
[『私の個人主義』(夏目漱石/講談社学術文庫)の中から「道楽と職業」より]
ますます細分化していく世の中に、これではいけないというふうに警鐘を鳴らしているのですが、これは100年前のことなんです。ですから、ずっと昔から私たちはそういうことに対して警鐘を鳴らし続けてきているのですが、いかんせん、分業化や専門化がますます進んでしまうのだと思います。
アナロジーを構築する能力については、日経新聞の夕刊の「あすへの話題」に、野中郁次郎先生が「教養の作法」ということでお書きになっています。
『日常の経営は、日々変化する個別具体の一回性の出来事への対応である。
したがって、一般的な論理分析型モデルだけではその本質を理解できない。
繊細な観察から日常見過ごしている「あっ」という気づき(文学的感性)から、
その背後にある真善美の根拠を考え抜き(哲学的思考)、起承転結の物語
(歴史的流れ)のなかで、適時の判断と行為を起す状況認知能力が必要である。
これは自らの生き方に照らし、特殊(個別)のなかに普遍(本質)を見る教養の能力である。』
(日経新聞 2007年6月1日夕刊 「あすへの話題」野中郁次郎)
ですから、複線人生でどういう分野にあっても基本的な普遍性というものは変わらない、だからそれをすぐに理論化体系化できるように、どこの世界でもアナロジーを構築するような能力というのができるんじゃないかと思うわけです。そうした例を、いくつかご紹介したいと思います。
ライフスタイルサロン ~遊びをせんとや生まれけむ『ぼくの複線人生』~ インデックス
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第1章 「複数人生」は、挫折しない生き方。1点集中より、多面的で強い
2008年02月21日 (木)
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第2章 私の人生に影響を与えたもの「蘭」「ダ・ヴィンチ」「流線型」
2008年02月25日 (月)
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第3章 子どものときの原体験は、後に必ず活きてくる
2008年02月27日 (水)
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第4章 突然社長に。心の支えになった「複線人生」
2008年03月03日 (月)
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第5章 「複線人生」で、どんな世界にも通じるアナロジーを構築する力を養う
2008年03月06日 (木)
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第6章 多面的な経験が成功を導く
2008年03月12日 (水)
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第7章 「複線人生」は誰にでも可能。特殊な能力は要らない
2008年03月18日 (火)
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第8章 クリエーティブなことにエネルギーを使うと、脳は活性化する
2008年03月25日 (火)
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第9章 測れないもの、美しいものが評価される時代
2008年04月01日 (火)
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第10章 私たちは知ってるようで何も知らない
2008年04月04日 (金)
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第11章 「ワークライフバランス」は、"会社"と"自分のために何かすること"のバランス
2008年04月07日 (月)
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第12章 人間はマルチタスク。2つ3つのことは、同時処理できる
2008年04月14日 (月)
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第13章 努力し続けられる力は、どこから来るのか
2008年04月18日 (金)
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