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『ケロッグ大学大学院 モーニング・セッション「異能の時代~ダイバーシティを活かした価値創造のマネジメント」』

BIZセミナーマーケティング・PR
更新日 : 2008年09月25日 (木)

第12章 星野流「虎の威を借る」営業戦略

ケロッグ大学大学院 モーニング・セッションの模様

モデレーター: 星野さんは調査の世界で頭角を現してこられたわけで、傍からみると、最初に調査会社に入って、10年ぐらい経つと調査の世界で「星野さんあり」「星野さんがナンバーワン・リサーチャー」みたいな世界になってきた。その間、どういう戦略をとられたのですか?

星野朝子: 今振り返れば、「虎の威を借る」戦略をとってきていましたね。当時、そう思っていたかどうかは分からないですけれど。

まず当時マーケティングリサーチというのは、多くの場合代理店がメーカーに対して、「お客さまはこう思っています」「この商品の評価はこうでした」と結果を差し出していくもの。要するにメーカーにとっては無料でそこから付加価値が生まれるものではなかったのですね。就職活動をする中でそれを知って、生意気にも「私は代理店の仕事をしません」と言っていたので、「なんだ、あいつは?」と思われたみたいです。

「代理店の調査をとってしまったら、あとは交通調査とか世論調査とか、そんなのしかないじゃないか」という問いにも「そういうのも私のフィールドではないのです。マーケティングです。マーケティングリサーチをやるんだ。戦略立案をやるんだ」と言い張っていたのです。

私は「マーケティングリサーチは、メーカーが直にやらなければいけないんだ」ということをメーカーに説いて歩かないといかんと思ったのです。そう思ったのですが、リサーチの経験もない私が、アメリカからポッと帰ってきて、いきなり百戦錬磨の企業さんへ行って、「あなたのやっていることはけしからん」なんて、そんなことを言ったところで誰も聞いてくれないじゃないですか。

仕方がないので、いろいろな学会に論文を書きました。自分の会社に予算を出させて実験調査をやって、その結果をあれやこれやして、勝手にある企業の戦略まで書いてしまうのです。そうすると、面白いように電話がかかってくるんですね。「お宅に星野さんという人がいるんだって?ちょっと連れておいで」と、営業に電話がかってくるんですって。で、私はノコノコ赴き、そこから営業を始めました。

当時マーケティングリサーチ学会はなかったのですが、ファジー学会とか品質学会とか、テーマごとにいろいろな学会に書くんです。それでも、マーケティング関係の方は結構読んでいらっしゃるんですよ。そういうアプローチをしているリサーチャーは当時いなかったので、それが大きかったのではないかなと思います。