記事・レポート
『ケロッグ大学大学院 モーニング・セッション「異能の時代~ダイバーシティを活かした価値創造のマネジメント」』
BIZセミナーマーケティング・PR
更新日 : 2008年06月19日
(木)
第2章 CFTの目的は、各ファンクションへのチャレンジ
星野朝子: 当時は中途採用する日本企業はほとんどありませんでした。会社を辞めることはドロップアウトというか、社会のメインストリームを外れるにほとんど等しい時代でした。それまで、自分では社会のメインストリームを歩いてきたと思っていたので、「ああ、これで落ちこぼれちゃった」とでもいうような気持ちでした。
私もまだ若かったので、世の中にどんな仕事があるのかわからず、いろいろな方に相談して回りました。そしてある日、私の恩師であるゼミの教授に会いに行ったところ、「あなた、マーケティングをやりなさい」と。神の声みたいでしたね。
「日本では、まだマーケティングはガッツだとか勘だとか言われていて、サイエンスがない。あなたは数学・統計学のバックグラウンドがあるんだから、ちゃんとしたマーケティングを勉強すれば日本でマーケティングサイエンスの第一人者になれるよ」と言ってくださいまして、「それだ!」と思いました。
「マーケティングを勉強するのなら、絶対アメリカに行かないとだめだよ」とも言われました。「アメリカならどこかな?」と思って見た解説本に"ケロッグはリーダー・オブ・マーケティング"と書いてあったのです。その当時は全然知りませんでしたけれど、コトラー教授という有名な「マーケティングの神様」と呼ばれる教授がいるらしいと分かり、「よっしゃ、ここだ!」と思って、ケロッグへ行きました。
卒業後は、初志貫徹でマーケティングリサーチャーになりました。6年前、日産から「ちょっと来い」と言われ、今も日産自動車にお邪魔しています。それでは、本題に移りたいと思います。
日産のマネジメントツールの根幹であるCFT(クロス・ファンクショナル・チーム)が、私とダイバーシティの出会いでした。ちょっとCFTとは何か?をお話をします。
日産自動車には、R&Dや商品企画、マーケティング、セールス、人事などいろいろなファンクション、部門があります。部門の改革はもちろんその部門長が責任をもってやっているのですが、一方でファンクションを跨いだ(クロス・ファンクショナル)課題というのもたくさんあって、むしろ、跨がないと解決できない課題がものすごく多いのです。
それからリージョン(地域)。日産自動車だと、大きいのは日本、ヨーロッパ、アメリカで、最近大きくなりつつあるのが中国。それから、"その他"があるのですが、それらを跨がないと解決できない問題もまたたくさんあります。そういうものがクロス・リージョナルですね。
CFTの目的は、各ファンクションへのチャレンジです。やり方は2通りあって、各ファンクションが設定している目標、KPIに対し、「目標が甘いですよ」、「そんなKPIじゃだめですよ」と言ってチャレンジする。または組織やルール、プロセスにチャレンジして変更を促したり、「こういう新しいビジネスの領域があるよ」と提案することです。
CFTは提案する組織であり、意思決定も実行もしない。従って、提案はボールドでよく、意思決定者はCEOです。CFTはCEOに直接提案します。CEOが意思決定したら、基本的にあとはもう各ファンクションに落としていきます。CFTは、提案が実行されているかということをフォローして、かつその実行がうまくいかない場合は、そのサポートをするというのも仕事の一つということになります。
提案を作り上げるためのツールは、ブレインストーミングとベンチマーキングです。
私もまだ若かったので、世の中にどんな仕事があるのかわからず、いろいろな方に相談して回りました。そしてある日、私の恩師であるゼミの教授に会いに行ったところ、「あなた、マーケティングをやりなさい」と。神の声みたいでしたね。
「日本では、まだマーケティングはガッツだとか勘だとか言われていて、サイエンスがない。あなたは数学・統計学のバックグラウンドがあるんだから、ちゃんとしたマーケティングを勉強すれば日本でマーケティングサイエンスの第一人者になれるよ」と言ってくださいまして、「それだ!」と思いました。
「マーケティングを勉強するのなら、絶対アメリカに行かないとだめだよ」とも言われました。「アメリカならどこかな?」と思って見た解説本に"ケロッグはリーダー・オブ・マーケティング"と書いてあったのです。その当時は全然知りませんでしたけれど、コトラー教授という有名な「マーケティングの神様」と呼ばれる教授がいるらしいと分かり、「よっしゃ、ここだ!」と思って、ケロッグへ行きました。
卒業後は、初志貫徹でマーケティングリサーチャーになりました。6年前、日産から「ちょっと来い」と言われ、今も日産自動車にお邪魔しています。それでは、本題に移りたいと思います。
日産のマネジメントツールの根幹であるCFT(クロス・ファンクショナル・チーム)が、私とダイバーシティの出会いでした。ちょっとCFTとは何か?をお話をします。
日産自動車には、R&Dや商品企画、マーケティング、セールス、人事などいろいろなファンクション、部門があります。部門の改革はもちろんその部門長が責任をもってやっているのですが、一方でファンクションを跨いだ(クロス・ファンクショナル)課題というのもたくさんあって、むしろ、跨がないと解決できない課題がものすごく多いのです。
それからリージョン(地域)。日産自動車だと、大きいのは日本、ヨーロッパ、アメリカで、最近大きくなりつつあるのが中国。それから、"その他"があるのですが、それらを跨がないと解決できない問題もまたたくさんあります。そういうものがクロス・リージョナルですね。
CFTの目的は、各ファンクションへのチャレンジです。やり方は2通りあって、各ファンクションが設定している目標、KPIに対し、「目標が甘いですよ」、「そんなKPIじゃだめですよ」と言ってチャレンジする。または組織やルール、プロセスにチャレンジして変更を促したり、「こういう新しいビジネスの領域があるよ」と提案することです。
CFTは提案する組織であり、意思決定も実行もしない。従って、提案はボールドでよく、意思決定者はCEOです。CFTはCEOに直接提案します。CEOが意思決定したら、基本的にあとはもう各ファンクションに落としていきます。CFTは、提案が実行されているかということをフォローして、かつその実行がうまくいかない場合は、そのサポートをするというのも仕事の一つということになります。
提案を作り上げるためのツールは、ブレインストーミングとベンチマーキングです。
『ケロッグ大学大学院 モーニング・セッション「異能の時代~ダイバーシティを活かした価値創造のマネジメント」』 インデックス
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第1章 私が日債銀を辞めた理由
2008年06月11日 (水)
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第2章 CFTの目的は、各ファンクションへのチャレンジ
2008年06月19日 (木)
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第3章 ダイバーシティとは多様な人材を生かす戦略
2008年06月26日 (木)
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第4章 ダイバーシティ・ディベロプメント・オフィスの設立
2008年07月04日 (金)
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第5章 女性が生産ラインで働くと、"品質"が上がる?
2008年07月15日 (火)
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第6章 以前はマネージャー2,500人の内、女性は5人のみだった
2008年07月24日 (木)
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第7章 なぜ高品質・低価格に商品でも売れないのか
2008年08月01日 (金)
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第8章 "共感"には3つのプロセスモデルがある
2008年08月13日 (水)
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第9章 共感(エンパシー)は、同情(シンパシー)とは違う
2008年08月22日 (金)
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第10章 自分の価値観を押し付けてはいけない
2008年09月01日 (月)
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第11章 ケロッグで得た最大のものはネットワーク
2008年09月11日 (木)
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第12章 星野流「虎の威を借る」営業戦略
2008年09月25日 (木)
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第13章 「自分じゃないとだめ」という居場所探し
2008年10月03日 (金)
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第14章 ウィメンズフォーラムからの4つのメッセージ
2008年10月17日 (金)
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