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『ケロッグ大学大学院 モーニング・セッション「異能の時代~ダイバーシティを活かした価値創造のマネジメント」』

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更新日 : 2008年07月24日 (木)

第6章 以前はマネージャー2,500人の内、女性は5人のみだった

星野朝子: 工場では、各工程の早さと正確さを競う競技を毎年オリンピックみたいにやっているのですが、今年に至っては各ラインの優勝者が全員女性になってしまいました。女性はこの辺もすばらしいです。

マニュファクチャリングの役員からは「星野さんのおかげで男性のモチベーションが上がって、下がった」と言われました(笑)。ラインに女性が働くこと自体で、男性の仕事が早くなる、生産性が上がるというベネフィットがあるんですね。

これはアメリカでも証明されていまして、女性を入れることによってエルゴノミクスがよくなる面もあるし、会社がラインをテイクケアすることで、ワーカーの「注目されている!」という意識が促進されるためだと、物の本には書いてありました。私はアメリカで証明されているデータしか見たことはありませんが、そういう意味で、女性が来て男性は張り切っていたのですが、チャンピオンを全部奪われて、また落ち込んじゃったという話です。

一方、ディーラー営業の女性比率を調べたら自動車業界の中でまた日産がワースト2だったのです。これも何かあるのではないかといろいろ調べまして、ディーラーへの提案もやりました。その他にもいろいろな提案をした結果、ダイバーシティの分野でさまざまな賞を頂いたのです。

しかし、それらは私の成果では全くありません。身内に専門家がいないので、世界を駆け回って専門家を探し出し、DDO(ダイバーシティ・ディベロップメント・オフィス)の室長として迎えた女性に基本的なところをお任せしたのですが、彼女がすばらしい成果を上げたのです。

ちょっと話は逸れますが、ゴーン氏が日産に入ってきたときは、2,500人ぐらいのマネジャーがいました。その中でマネジャー以上の職制である女性は5人。ゴーン氏は「クレイジーだ」と言ったらしいです。その2年後ぐらいに私が入るのですが、そのときには30人ぐらいに増えていました。一挙に6倍ですが、それでも2,500人中の30人で、ほとんど海中に落としたダイヤの指輪を拾うようなものです。

そこから5年経ちまして、今現在120人。その比率が高ければいいというものでもないですし、職制のパイプラインに女性が入っていないと今後続かないのですが、そういう大きな作業を実際に現場でやっていったのがこのDDOでした。