記事・レポート

「縄文の思考」~日本文化の源流を探る

更新日 : 2009年08月14日 (金)

第13章 文化的遺伝子を継承するために

小林達雄 考古学者/國學院大學名誉教授

会場からの質問: 今、経済では100年に1度の世界恐慌みたいなことになっていて、これから価値観が大きく変わるのではないかとか、いろいろなことが言われています。そういう中で、「日本文化の源流を探る」という今日のタイトルではありませんが、今の私たち日本人が縄文人から学ぶべきというか、「今こそ、こういうことを縄文から学ぶべきではないか」ということがあればお教えいただきたいのですが。

小林達雄: 縄文人からたくさんのメッセージを僕たちは受けているので、それを評価するのは私たちです。ただ真似をすればいいというのではなく、評価するだけの土台を私たちは持たないといけない。つまり現代に身を置く僕たちは、今を考えないといけないのです。
考えていろいろな問題点を具体的に自分で意識したときに、縄文を見ていくといろいろなメッセージがあることに気づくのです。

今日のテーマの1つ「自然との共生」、そしてそこから生まれてくる「文化」、それが「日本的心、心情」になっているというところは、まだそう簡単には消えません。遺伝子が簡単に消えないのと同じように、文化的遺伝子としての言葉、日本語が消えない限りはこの理論的考え方は残ると思います。

だから、それを大切にするというのでしょうか。日本語を大切にすること、日本文化を大切にすることが、縄文時代の文化遺伝子を継承することにつながるのだと思います。


該当講座

『縄文の思考』〜日本文化の源流を探る
小林達雄 (考古学者/國學院大學名誉教授)

人類史を三段階に分け、第一段階を旧石器時代、第二段階を新石器時代とし、この契機を「農業」の開始に焦点を当てて評価する説があります。ところが、大陸の新石器時代に匹敵する独自の文化が、大陸と隔てられた日本に生み出されました。それが農業を持たない「縄文時代」「縄文文化」です。 縄文文化は土器の制作・使用が....


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