記事・レポート
ビジネスマンは人権問題と無縁か?
マネックスグループ 松本大社長、ノーベル平和賞受賞のNGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表とともに人権問題について考える
更新日 : 2009年10月14日
(水)
第4章 資金の3分の2は、個人からの寄付
ケネス・ロス: ヒューマン・ライツ・ウォッチは現在280名の正規のスタッフを抱え、約80カ国で活動をしているNGOです。NGOというと、ボランティアが週に1回でも集まって何かするというイメージがあるかもしれませんが、私たちそうではなく、NGOのプロと言った方がいいかもしれません。スタッフは給与を得て働き、家族を養い、家計を支えています。
当然お金がかかります。現在、米ドルベースで4,000万ドルぐらいの年間予算を持っていますが、毎年こうした基金を募っていかなければならないのです。基金を募るのは大変ですが、政府からの支援は一切受けていません。拒んでいます。これは、あくまでも独立した団体としての立場を貫かなければいけないからです。
資金の3分の1は財団から、3分の2は個人からの支援です。ビジネスコミュニティの方々が我々の活動をサポートしてくれています。1,000ドル、5,000ドル、中には年間200万ドル以上の寄附をしてくださっている方もいらっしゃいます。私たちにはきちんとした結果を出す団体であるという自負がありますし、その重要性を理解してくださるから、こういった寄附が得られるのだと思っています。
また、大変優秀な人材を採用できています。スタッフは弁護士、ジャーナリスト、研究者の人たちがほとんどです。何らかの修士号もしくは博士号を持っており、多数言語を使いこなす人たちです。スタッフのバックグラウンドは多様で、スタッフの国籍は約45国籍に上り、60カ国語ぐらいを使いこなします。
例えば、ビルマでの調査研究員を1名募ると、大体300名ぐらいの方々が応募してきます。ですので、その中から最も優れた人を選んで採用することができているのです。
私の一番難しい役どころは、こうしたリソースをどういった形で配備するかです。世界各国で多くの不正が行われているという現実がある中で、どこに調査員を配備するかを決めなければなりません。280名は大きな部隊だと思われるかもしれませんが、一人のスタッフが一時に抱えることができるのは1つか2つの問題ですから、一番大きな虐待、侵害は何なのか、そして私たちが改善できる侵害はどこにあるのか、先ほど語った方法論によって大きな違いをもたらすことができるところはどこなのかを見極めなくてはなりません。
資源にしても資金にしても、私たちの力を効果的に活用しなければいけないという使命があり、それが私の直面する経営上の問題です。
また、世界各国に散らばっている人たちをいかに管理するかという課題もあります。1つの団体文化をどうやって保つのか、公平性を重んじる姿勢をどう徹底するのか、仕事に関してはどのような手段を講じるのか、やる気が出る文化をどう構築するのかということです。
ルワンダにいる調査員に、毎朝何をするか指示することはできませんから、独自の行動の中で何が一番重要なのか、どう違いを起こすことができるのかということを自分で見出せる目を持った人を採用しなければなりません。
経営管理という点では、こういう能力に長けた人たちを選び出し、スキルを活用する場を与える。その個人を信頼し、その力をフルに発揮できるような場を与えるということが必要だと思います。
当然お金がかかります。現在、米ドルベースで4,000万ドルぐらいの年間予算を持っていますが、毎年こうした基金を募っていかなければならないのです。基金を募るのは大変ですが、政府からの支援は一切受けていません。拒んでいます。これは、あくまでも独立した団体としての立場を貫かなければいけないからです。
資金の3分の1は財団から、3分の2は個人からの支援です。ビジネスコミュニティの方々が我々の活動をサポートしてくれています。1,000ドル、5,000ドル、中には年間200万ドル以上の寄附をしてくださっている方もいらっしゃいます。私たちにはきちんとした結果を出す団体であるという自負がありますし、その重要性を理解してくださるから、こういった寄附が得られるのだと思っています。
また、大変優秀な人材を採用できています。スタッフは弁護士、ジャーナリスト、研究者の人たちがほとんどです。何らかの修士号もしくは博士号を持っており、多数言語を使いこなす人たちです。スタッフのバックグラウンドは多様で、スタッフの国籍は約45国籍に上り、60カ国語ぐらいを使いこなします。
例えば、ビルマでの調査研究員を1名募ると、大体300名ぐらいの方々が応募してきます。ですので、その中から最も優れた人を選んで採用することができているのです。
私の一番難しい役どころは、こうしたリソースをどういった形で配備するかです。世界各国で多くの不正が行われているという現実がある中で、どこに調査員を配備するかを決めなければなりません。280名は大きな部隊だと思われるかもしれませんが、一人のスタッフが一時に抱えることができるのは1つか2つの問題ですから、一番大きな虐待、侵害は何なのか、そして私たちが改善できる侵害はどこにあるのか、先ほど語った方法論によって大きな違いをもたらすことができるところはどこなのかを見極めなくてはなりません。
資源にしても資金にしても、私たちの力を効果的に活用しなければいけないという使命があり、それが私の直面する経営上の問題です。
また、世界各国に散らばっている人たちをいかに管理するかという課題もあります。1つの団体文化をどうやって保つのか、公平性を重んじる姿勢をどう徹底するのか、仕事に関してはどのような手段を講じるのか、やる気が出る文化をどう構築するのかということです。
ルワンダにいる調査員に、毎朝何をするか指示することはできませんから、独自の行動の中で何が一番重要なのか、どう違いを起こすことができるのかということを自分で見出せる目を持った人を採用しなければなりません。
経営管理という点では、こういう能力に長けた人たちを選び出し、スキルを活用する場を与える。その個人を信頼し、その力をフルに発揮できるような場を与えるということが必要だと思います。
ビジネスマンは人権問題と無縁か? インデックス
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第1章 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが東京に進出した理由
2009年09月02日 (水)
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第2章 人権を侵害している政府に圧力をかける3つの方法
2009年10月14日 (水)
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第3章 事例紹介:ヒューマン・ライツ・ウォッチの交渉術
2009年10月01日 (木)
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第4章 資金の3分の2は、個人からの寄付
2009年10月14日 (水)
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第5章 日本には、世界から尊敬される国になれるポテンシャルがある
2009年10月22日 (木)
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第6章 ビジネス界からの寄付が多い理由~プロのNGOと企業の共通点~
2009年11月02日 (月)
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第7章 大きな力と対峙するには、「公」と「集団」がリスクヘッジになる
2009年11月13日 (金)
該当講座
ビジネスマンは人権問題と無縁か?マネックスグループ・松本社長が緊急提起
~ノーベル平和賞受賞NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ代表と考える~
松本大(マネックスグループ㈱代表取締役社長CEO)
ケネス・ロス(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ代表)
一人のビジネスマンとして、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の活動を側面から個人的に支援するマネックス・グループの松本氏と、ノーベル平和賞受賞団体であるHRWを率いて15年になるロス代表が、人権とビジネスマンの関係について議論します。
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