記事・レポート
ビジネスマンは人権問題と無縁か?
マネックスグループ 松本大社長、ノーベル平和賞受賞のNGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表とともに人権問題について考える
更新日 : 2009年10月22日
(木)
第5章 日本には、世界から尊敬される国になれるポテンシャルがある
ケネス・ロス: もしかすると、私たちは「問題の種を引き起こすだけだ。どこかに消えていなくなってくれればいい」と思われているかもしれません。しかし私たちは活用できる専門知識を持っていますし、政府は「それぞれの国で何が起こっているのか」「人権問題をどう改善することができるのか」という分析や調査を望んでいると思います。
ですから、大統領、外務大臣、首相レベルの方々が聞く耳を持ってくださいます。驚かれるかもしれませんが、小さな部隊ではありますが、政府と同じような対応をしてくださるのです。その信頼というのが私たちの成功の鍵の1つだと思います。
大変長い時間をかけて、公平でかつ精度が高いという信頼を得て、それを礎として、私たちは政府を動かすことができるようになりました。小さな部隊ではありますが、大きな政府を動かすことができる力を持ち、真実そして価値を盾に、人権改善につなげることができているのです。
ぜひ日本の政府にも、もっと人権擁護の活動にかかわってほしいと思っています。例えば北朝鮮の拉致被害者についてはよく語られますが、それ以外の、例えばビルマ、スリランカ、ベトナム、フィリピンなどでの人権侵害の話を日本の政府はあまりしたがりません。
我々としては日本政府と協力することによって、このような国で行われている人権躊躇を取り払っていきたいと思っています。人権に関する各国の情報をこちらから提供することで少し後押しをすれば、日本政府ももう少しはっきりと語るようになるのではないかと期待しています。
日本は大きなポテンシャルを持っています。日本は民主主義国家で、非常に大きな経済力があり、影響力を持っています。だからこそ東京にオフィスをつくり、この影響力をもっと使いたいと考えたのです。我々に協力してくれれば、日本は世界からより尊敬される国になるだろうと思います。
東京ではサポーター委員会を立ち上げていて、この活動にぜひ参加したいという方々を招待しています。もちろん財政的な支援も必要です。この組織を紹介して、いろいろな方に貢献をしていただいて、日本での活動を進めていきたいと思っています。
松本大: ありがとうございました。ヒューマン・ライツ・ウォッチの仕組みというのは持続可能でプロフェッショナル、そして優秀なスタッフをきちんと雇っている、その結果、効果的なことができているということがよくわかりました。そういう仕組みを持ったNGOは、ほかにもあるのでしょうか。
ケネス・ロス: あります。例えば環境保護活動では特定のNGOが同じようなテクニックを使っています。つまり専門家、科学者、弁護士などを雇って、政策に関する討議に影響力を与えようとしています。
やはり組織に1つにまとめることによって専門知識はどんどん豊かに、そして深くなっていきます。我々としては、学術的に使えるクオリティのものを出していると思います。
こういったいわゆるプロフェッショナルNGOというのは、専門知識が集まる集団であるということと、価値観を共有できる人たちがプロセスに対して投資をしてくれるということの両方が必要で、我々の場合には、幸いにも両方を活かすことができています。
松本大: 物事をやる仕組みが持続可能でなければいけないというのは、すごく大切なことだと思います。私も新しい金融をつくっていこうと思っていますが、ちゃんと人が集まってきて、継続的にそれをやり続けられる仕組みがないと変えられないと思うのです。企業が新しい価値をつくっていこう、何かを変えていこうということと、サステナブルな形でNGOが何かを変えていこうということは、同じだと思います。
ですから、大統領、外務大臣、首相レベルの方々が聞く耳を持ってくださいます。驚かれるかもしれませんが、小さな部隊ではありますが、政府と同じような対応をしてくださるのです。その信頼というのが私たちの成功の鍵の1つだと思います。
大変長い時間をかけて、公平でかつ精度が高いという信頼を得て、それを礎として、私たちは政府を動かすことができるようになりました。小さな部隊ではありますが、大きな政府を動かすことができる力を持ち、真実そして価値を盾に、人権改善につなげることができているのです。
ぜひ日本の政府にも、もっと人権擁護の活動にかかわってほしいと思っています。例えば北朝鮮の拉致被害者についてはよく語られますが、それ以外の、例えばビルマ、スリランカ、ベトナム、フィリピンなどでの人権侵害の話を日本の政府はあまりしたがりません。
我々としては日本政府と協力することによって、このような国で行われている人権躊躇を取り払っていきたいと思っています。人権に関する各国の情報をこちらから提供することで少し後押しをすれば、日本政府ももう少しはっきりと語るようになるのではないかと期待しています。
日本は大きなポテンシャルを持っています。日本は民主主義国家で、非常に大きな経済力があり、影響力を持っています。だからこそ東京にオフィスをつくり、この影響力をもっと使いたいと考えたのです。我々に協力してくれれば、日本は世界からより尊敬される国になるだろうと思います。
東京ではサポーター委員会を立ち上げていて、この活動にぜひ参加したいという方々を招待しています。もちろん財政的な支援も必要です。この組織を紹介して、いろいろな方に貢献をしていただいて、日本での活動を進めていきたいと思っています。
松本大: ありがとうございました。ヒューマン・ライツ・ウォッチの仕組みというのは持続可能でプロフェッショナル、そして優秀なスタッフをきちんと雇っている、その結果、効果的なことができているということがよくわかりました。そういう仕組みを持ったNGOは、ほかにもあるのでしょうか。
ケネス・ロス: あります。例えば環境保護活動では特定のNGOが同じようなテクニックを使っています。つまり専門家、科学者、弁護士などを雇って、政策に関する討議に影響力を与えようとしています。
やはり組織に1つにまとめることによって専門知識はどんどん豊かに、そして深くなっていきます。我々としては、学術的に使えるクオリティのものを出していると思います。
こういったいわゆるプロフェッショナルNGOというのは、専門知識が集まる集団であるということと、価値観を共有できる人たちがプロセスに対して投資をしてくれるということの両方が必要で、我々の場合には、幸いにも両方を活かすことができています。
松本大: 物事をやる仕組みが持続可能でなければいけないというのは、すごく大切なことだと思います。私も新しい金融をつくっていこうと思っていますが、ちゃんと人が集まってきて、継続的にそれをやり続けられる仕組みがないと変えられないと思うのです。企業が新しい価値をつくっていこう、何かを変えていこうということと、サステナブルな形でNGOが何かを変えていこうということは、同じだと思います。
ビジネスマンは人権問題と無縁か? インデックス
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第1章 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが東京に進出した理由
2009年09月02日 (水)
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第2章 人権を侵害している政府に圧力をかける3つの方法
2009年10月14日 (水)
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第3章 事例紹介:ヒューマン・ライツ・ウォッチの交渉術
2009年10月01日 (木)
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第4章 資金の3分の2は、個人からの寄付
2009年10月14日 (水)
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第5章 日本には、世界から尊敬される国になれるポテンシャルがある
2009年10月22日 (木)
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第6章 ビジネス界からの寄付が多い理由~プロのNGOと企業の共通点~
2009年11月02日 (月)
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第7章 大きな力と対峙するには、「公」と「集団」がリスクヘッジになる
2009年11月13日 (金)
該当講座
ビジネスマンは人権問題と無縁か?マネックスグループ・松本社長が緊急提起
~ノーベル平和賞受賞NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ代表と考える~
松本大(マネックスグループ㈱代表取締役社長CEO)
ケネス・ロス(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ代表)
一人のビジネスマンとして、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の活動を側面から個人的に支援するマネックス・グループの松本氏と、ノーベル平和賞受賞団体であるHRWを率いて15年になるロス代表が、人権とビジネスマンの関係について議論します。
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