記事・レポート
ビジネスマンは人権問題と無縁か?
マネックスグループ 松本大社長、ノーベル平和賞受賞のNGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ代表とともに人権問題について考える
更新日 : 2009年09月02日
(水)
第1章 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが東京に進出した理由
人権問題に関心が低い日本では、ノーベル平和賞を受賞したヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の活躍すら伝えられることはほとんどありません。しかし日本ビジネス界のリーダーたちは、同NGOの活動をバックアップしています。それはなぜか? ボランティアという考えは通用しない、プロのNGOともいえるHRWの全貌に迫ります。
講師:松本大(マネックスグループ株式会社 代表取締役社長CEO/
マネックス証券株式会社 代表取締役社長CEO)
講師:ケネス・ロス(ヒューマン・ライツ・ウォッチ最高責任者)
*セミナー冒頭、ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京ディレクターの土井香苗氏によるご挨拶がありました。
松本大: 経済や金融の話をすることは多いのですが、きょうは人権についてということで、慣れない話題でちょっと緊張しています。
我々は今、人権を享受していますがそれは昔からあったわけではありませんし、日本の中でも人によって享受している人権には違いがあったと思います。そして本来であれば誰もが同じ権利を与えられていてしかるべきなのに、今でも世界中には人権を与えられていない人がいっぱいいます。
こうした問題に対して、「身近に起きている問題じゃないからしょうがない」という意見もあると思います。でも、身近に起きていないために問題が見えないならば、見る努力をしなければいけないのではないか——と私は以前から気になっていたのですが、機会がなく、ずっとそのままになっていたのです。
けれど、これからご紹介する弁護士の土井香苗さん(※編注:ヒューマン・ライツ・ウォッチの東京ディレクター)にお会いしたことがきっかけで、自分なりに世界の人権問題にかかわっていくことができるということに気がつきました。そしてきょうのような講演にも至ることになったのです。
土井香苗: 大学生のときにアフリカのエリトリアという小さな国に行き、難民の支援をしたことがあります。そのときから、世界中に難民がいたり、紛争があったりするということを放っておけず、自分にできることを何かしたいと思ってやってきました。
ニューヨークに留学をしたことが、ヒューマン・ライツ・ウォッチに入るきっかけになりました。世界中で紛争や難民、拷問や拉致などの問題が常に起きています。これらの話題を日本で耳にしても、日常的に起きている問題だとは感じられないかもしれませんが、実際にたくさんの人が苦しんでいるのです。ヒューマン・ライツ・ウォッチはこうした問題をプロが集まって解決していくという数少ない団体の1つで、ニューヨークに本部があります。
日本はビジネス面で大きな影響力があるので、その影響力を世界中の人々が尊厳を持って生きていけるために使ってほしいという気持ちが募り、日本にもヒューマン・ライツ・ウォッチのオフィスを開設しました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界の約80カ国で人権問題をモニターしています。個人の尊厳と基本的人権を守るために、世界中のリーダーたちに行動を呼びかけ、社会に変革をもたらすということをやっています。
設立は30年前(1978年)です。声をあげられない人権侵害の被害者たちを代弁し、弾圧の責任者たちが負うコストを高めていくために仕事をしてきました。人権侵害の調査をし、それに基づいて解決のためのアドボカシー、つまり政策提言やロビイングを行い、世界の政治を変えていくことで人権問題を解決するという手法をとっています。
戦時下での民間人の保護、人権を重視した外交政策の実施、法による正義の国際的な実現、これらのために世界中の弾圧者たちを裁判にかけたり、ビジネスにおいても人権を尊重した形で行われるようにしたり、活動しています。
また、紛争や危機にすぐに対応したり、人権を守る形でテロ対策が行われるようにしたり、女性の権利の保護、あるいはこれまで人権として語られてこなかったような問題についても、世界中のリーダーがしっかり取り組むような問題にしていくという活動もしています。
今、世界に14カ所程オフィスがあり、一番新しいオフィスが東京になります。こうしたオフィスを拠点にしながら、世界中の政府やポリシーメーカーといわれる人たちに人権問題を解決するための行動を呼びかけています。
きょうは私どもの活動と世界の人権状況、そしてそれがビジネスパーソンの皆様とどう関係するのかということについて、来日したヒューマン・ライツ・ウォッチの最高責任者からお話させていただきます。
我々は今、人権を享受していますがそれは昔からあったわけではありませんし、日本の中でも人によって享受している人権には違いがあったと思います。そして本来であれば誰もが同じ権利を与えられていてしかるべきなのに、今でも世界中には人権を与えられていない人がいっぱいいます。
こうした問題に対して、「身近に起きている問題じゃないからしょうがない」という意見もあると思います。でも、身近に起きていないために問題が見えないならば、見る努力をしなければいけないのではないか——と私は以前から気になっていたのですが、機会がなく、ずっとそのままになっていたのです。
けれど、これからご紹介する弁護士の土井香苗さん(※編注:ヒューマン・ライツ・ウォッチの東京ディレクター)にお会いしたことがきっかけで、自分なりに世界の人権問題にかかわっていくことができるということに気がつきました。そしてきょうのような講演にも至ることになったのです。
土井香苗: 大学生のときにアフリカのエリトリアという小さな国に行き、難民の支援をしたことがあります。そのときから、世界中に難民がいたり、紛争があったりするということを放っておけず、自分にできることを何かしたいと思ってやってきました。
ニューヨークに留学をしたことが、ヒューマン・ライツ・ウォッチに入るきっかけになりました。世界中で紛争や難民、拷問や拉致などの問題が常に起きています。これらの話題を日本で耳にしても、日常的に起きている問題だとは感じられないかもしれませんが、実際にたくさんの人が苦しんでいるのです。ヒューマン・ライツ・ウォッチはこうした問題をプロが集まって解決していくという数少ない団体の1つで、ニューヨークに本部があります。
日本はビジネス面で大きな影響力があるので、その影響力を世界中の人々が尊厳を持って生きていけるために使ってほしいという気持ちが募り、日本にもヒューマン・ライツ・ウォッチのオフィスを開設しました。
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、世界の約80カ国で人権問題をモニターしています。個人の尊厳と基本的人権を守るために、世界中のリーダーたちに行動を呼びかけ、社会に変革をもたらすということをやっています。
設立は30年前(1978年)です。声をあげられない人権侵害の被害者たちを代弁し、弾圧の責任者たちが負うコストを高めていくために仕事をしてきました。人権侵害の調査をし、それに基づいて解決のためのアドボカシー、つまり政策提言やロビイングを行い、世界の政治を変えていくことで人権問題を解決するという手法をとっています。
戦時下での民間人の保護、人権を重視した外交政策の実施、法による正義の国際的な実現、これらのために世界中の弾圧者たちを裁判にかけたり、ビジネスにおいても人権を尊重した形で行われるようにしたり、活動しています。
また、紛争や危機にすぐに対応したり、人権を守る形でテロ対策が行われるようにしたり、女性の権利の保護、あるいはこれまで人権として語られてこなかったような問題についても、世界中のリーダーがしっかり取り組むような問題にしていくという活動もしています。
今、世界に14カ所程オフィスがあり、一番新しいオフィスが東京になります。こうしたオフィスを拠点にしながら、世界中の政府やポリシーメーカーといわれる人たちに人権問題を解決するための行動を呼びかけています。
きょうは私どもの活動と世界の人権状況、そしてそれがビジネスパーソンの皆様とどう関係するのかということについて、来日したヒューマン・ライツ・ウォッチの最高責任者からお話させていただきます。
ビジネスマンは人権問題と無縁か? インデックス
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第1章 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチが東京に進出した理由
2009年09月02日 (水)
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第2章 人権を侵害している政府に圧力をかける3つの方法
2009年10月14日 (水)
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第3章 事例紹介:ヒューマン・ライツ・ウォッチの交渉術
2009年10月01日 (木)
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第4章 資金の3分の2は、個人からの寄付
2009年10月14日 (水)
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第5章 日本には、世界から尊敬される国になれるポテンシャルがある
2009年10月22日 (木)
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第6章 ビジネス界からの寄付が多い理由~プロのNGOと企業の共通点~
2009年11月02日 (月)
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第7章 大きな力と対峙するには、「公」と「集団」がリスクヘッジになる
2009年11月13日 (金)
該当講座
ビジネスマンは人権問題と無縁か?マネックスグループ・松本社長が緊急提起
~ノーベル平和賞受賞NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ代表と考える~
松本大(マネックスグループ㈱代表取締役社長CEO)
ケネス・ロス(国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ代表)
一人のビジネスマンとして、国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)の活動を側面から個人的に支援するマネックス・グループの松本氏と、ノーベル平和賞受賞団体であるHRWを率いて15年になるロス代表が、人権とビジネスマンの関係について議論します。
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