記事・レポート
一人ひとりが世界を変える方法
マイクロソフトから途上国の子供たちに教育支援をする“天職”に出会うまで
更新日 : 2009年09月01日
(火)
第6章 「批判家のための銅像は1つもない」
米倉誠一郎: NPOは神聖な職業だからビジネスを語ってはいけない、Money is dirtyという考え方があるのですが、アメリカでもNPOの人たちがビジネスライクであることはあまり好かれなかったのではないですか?
ジョン・ウッド: ビジネスワールドの人たちからは、クレージーだと言われました。でも、実際、世界中で見られている現象として、企業がより社会的なことを考えるようになってきています。でも、それぞれの仕事は辞めたくはない。ルーム・トゥ・リードのような社会的なことを始めたいとみんなが思うわけではありませんし、思わなくてもいいわけです。
私はお会いするリッチなビジネスピープルに対して、「皆さんはお金をつくってください。どんどんこれからも稼いで、毎年寄附をして、20から30人ぐらいの子どもたちに援助してください。私は変化を起こします」と言っています。
私たちは、資本主義の力というものを強く信じておりますし、それによって富がつくられていくわけですが、ビジネスリーダーやCEOに対して、「今お金持ちの人をもっとお金持ちにするというだけでは十分ではない」ということを言いたいのです。
私の父も貧困層から出てきて奨学金を得たのですが、「大きなお金を稼ぐことだけがいい人をつくるわけではない。そのお金をもって何をするかということが重要だ」ということを父から学びました。
会場からの質問: ルーム・トゥ・リードをやっていて困難なことというのは何でしょうか?
ジョン・ウッド: 私はとにかく、「ここにニーズがあるな」と思ったから、それを何とか埋めようとしました。けれど何をしたらいいか、最初は見えないところがありました。
初期の段階で、私のことを真剣に取り上げてくれる人はなかなかいなくて、批判的に言う人、「これがうまくいかない理由は、こうだ」とあげつらう人はたくさんいました。
ビル・ドレーパー(ドレーパー・リチャーズ財団)、あるいはドン・バレンタイン(セコイア・キャピタル)は、初期に投資をしてくれました。ベンチャーキャピタリストの歴史でも大変成功を収めている有名な2人がサポートをしてくれたのです。ほかの人たちが批判をしても、この人たちは「これはうまくいくと思う」と言ってくれました。
オスカー・ワイルドが「批判家のための銅像は1つもない」ということを言っています。夢を語る本人が、その障害についてちゃんとわかったうえで夢を語っているわけですから、「それはいいことだね」というふうに褒め、「やりたいと思うのだったら、やったらいいよ」と言ってあげるべきです。
ジョン・ウッド: ビジネスワールドの人たちからは、クレージーだと言われました。でも、実際、世界中で見られている現象として、企業がより社会的なことを考えるようになってきています。でも、それぞれの仕事は辞めたくはない。ルーム・トゥ・リードのような社会的なことを始めたいとみんなが思うわけではありませんし、思わなくてもいいわけです。
私はお会いするリッチなビジネスピープルに対して、「皆さんはお金をつくってください。どんどんこれからも稼いで、毎年寄附をして、20から30人ぐらいの子どもたちに援助してください。私は変化を起こします」と言っています。
私たちは、資本主義の力というものを強く信じておりますし、それによって富がつくられていくわけですが、ビジネスリーダーやCEOに対して、「今お金持ちの人をもっとお金持ちにするというだけでは十分ではない」ということを言いたいのです。
私の父も貧困層から出てきて奨学金を得たのですが、「大きなお金を稼ぐことだけがいい人をつくるわけではない。そのお金をもって何をするかということが重要だ」ということを父から学びました。
会場からの質問: ルーム・トゥ・リードをやっていて困難なことというのは何でしょうか?
ジョン・ウッド: 私はとにかく、「ここにニーズがあるな」と思ったから、それを何とか埋めようとしました。けれど何をしたらいいか、最初は見えないところがありました。
初期の段階で、私のことを真剣に取り上げてくれる人はなかなかいなくて、批判的に言う人、「これがうまくいかない理由は、こうだ」とあげつらう人はたくさんいました。
ビル・ドレーパー(ドレーパー・リチャーズ財団)、あるいはドン・バレンタイン(セコイア・キャピタル)は、初期に投資をしてくれました。ベンチャーキャピタリストの歴史でも大変成功を収めている有名な2人がサポートをしてくれたのです。ほかの人たちが批判をしても、この人たちは「これはうまくいくと思う」と言ってくれました。
オスカー・ワイルドが「批判家のための銅像は1つもない」ということを言っています。夢を語る本人が、その障害についてちゃんとわかったうえで夢を語っているわけですから、「それはいいことだね」というふうに褒め、「やりたいと思うのだったら、やったらいいよ」と言ってあげるべきです。
会場からの質問: 活動をやっていて、一番ハッピーなのはどういうときですか?
ジョン・ウッド: いろいろありますけれども、一番ハッピーに感じるのは、その国に行って子どもたちと会うときです。
例えばメコン川流域でベトナムの地域に行ったときのことです。1,100人の子どもが通う学校に図書館をつくって、開所式のセレモニーを子どもたちが行ったのですが、そのなかの15歳ぐらいの男の子がこう言いました。
「ようこそ、私たちの村に来てくださいました。私の目標はここにある図書館の本を1冊残らず読むことです。まずベトナム語のものから始めて、それが終わったら今度は英語の本を読みます。全部読むんですよ。どう思いますか?」と。私が「ここには1,000冊もの本があるんだよ」と言うと、「大丈夫。昨日の夜やってきて、もう12冊読んだよ」と言ったのです。本当にうれしかったですね。
子どもたちが、これだけ一所懸命、本当に学びたいという思いでいっぱいだということを知るとき、そして私たちがその子たちの人生を変えることができたということを感じられるときが一番ハッピーです。皆さんにも、そういった体験をしていただきたいと思います。
ジョン・ウッド: いろいろありますけれども、一番ハッピーに感じるのは、その国に行って子どもたちと会うときです。
例えばメコン川流域でベトナムの地域に行ったときのことです。1,100人の子どもが通う学校に図書館をつくって、開所式のセレモニーを子どもたちが行ったのですが、そのなかの15歳ぐらいの男の子がこう言いました。
「ようこそ、私たちの村に来てくださいました。私の目標はここにある図書館の本を1冊残らず読むことです。まずベトナム語のものから始めて、それが終わったら今度は英語の本を読みます。全部読むんですよ。どう思いますか?」と。私が「ここには1,000冊もの本があるんだよ」と言うと、「大丈夫。昨日の夜やってきて、もう12冊読んだよ」と言ったのです。本当にうれしかったですね。
子どもたちが、これだけ一所懸命、本当に学びたいという思いでいっぱいだということを知るとき、そして私たちがその子たちの人生を変えることができたということを感じられるときが一番ハッピーです。皆さんにも、そういった体験をしていただきたいと思います。
関連書籍
マイクロソフトでは出会えなかった天職—ぼくはこうして社会起業家になった
ウッド,ジョン, 矢羽野 薫【訳】ランダムハウス講談社
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該当講座
『マイクロソフトでは出会えなかった天職(原題:Leaving Microsoft To Change the World)』の著者、ソーシャルアントレプレナーのジョン・ウッド氏による特別セミナーです。 マイクロソフトのエグゼクティブであった氏が、非営利団体ルーム・トゥ・リード(Room to Re....
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