記事・レポート
一人ひとりが世界を変える方法
マイクロソフトから途上国の子供たちに教育支援をする“天職”に出会うまで
更新日 : 2009年08月20日
(木)
第5章 マイクロソフトで学んだこと
米倉誠一郎: この本(『マイクロソフトでは出会えなかった天職 僕はこうして社会起業家になった』)は今年(2008年)僕が読んだ、ワン・オブ・ザ・ベスト・ビジネスブックでした。あえて“ビジネス”という言葉を使うのは、リーダーシップとか、どうやってチームをつくるかという本としてもすばらしいと思ったからです。
さて、私にはこのような動きがマイクロソフトの方から来るというのは、全く予想もつかないことでした。このNPOの動き、あるいはカルチャーというものに関して、マイクロソフトの成功と何か関係があったのでしょうか?
ジョン・ウッド: テクノロジーの世界は新しい業界ということで、人々は今までと違ったことを考えることができるということがあります。グーグルとかヤフー、ソフトバンク、マイクロソフトなどは若い会社ですので、革新的な考え方をすることができます。
日本でも、私たちに興味を持ってくれた初めての会社は、非常に若い、起業家精神を持った会社だったので、早く意思決定をすることができたわけです。歴史のある会社は受け入れないということではないのですけれども、やはり起業家精神を持った会社の方がクリエーティブに考えることができるのではないかと思います。
米倉誠一郎: ビジネスでやってきたこと、マイクロソフトで学んだことが、NPOの運営にどれくらい役に立っていると思いますか?
ジョン・ウッド: いくつかあるのですが、マイクロソフトで私たちが教えられたのは、「大きく考えろ」ということです。
例えばグローバルな市場シェアで、マイクロソフトのワードプレセッサ・スプレッドシートは5%だったのですが、「それを3年間で19%にしろ」と。私のボスは、「交渉の余地はない。もしできないのであれば、チームから出ていけ」と言いました。
ルーム・トゥ・リードを始めたときに、私は、「1,000万人の子どもたちにリーチする」ということを目標にしました。「まず大きく考えよう」ということです。
さて、私にはこのような動きがマイクロソフトの方から来るというのは、全く予想もつかないことでした。このNPOの動き、あるいはカルチャーというものに関して、マイクロソフトの成功と何か関係があったのでしょうか?
ジョン・ウッド: テクノロジーの世界は新しい業界ということで、人々は今までと違ったことを考えることができるということがあります。グーグルとかヤフー、ソフトバンク、マイクロソフトなどは若い会社ですので、革新的な考え方をすることができます。
日本でも、私たちに興味を持ってくれた初めての会社は、非常に若い、起業家精神を持った会社だったので、早く意思決定をすることができたわけです。歴史のある会社は受け入れないということではないのですけれども、やはり起業家精神を持った会社の方がクリエーティブに考えることができるのではないかと思います。
米倉誠一郎: ビジネスでやってきたこと、マイクロソフトで学んだことが、NPOの運営にどれくらい役に立っていると思いますか?
ジョン・ウッド: いくつかあるのですが、マイクロソフトで私たちが教えられたのは、「大きく考えろ」ということです。
例えばグローバルな市場シェアで、マイクロソフトのワードプレセッサ・スプレッドシートは5%だったのですが、「それを3年間で19%にしろ」と。私のボスは、「交渉の余地はない。もしできないのであれば、チームから出ていけ」と言いました。
ルーム・トゥ・リードを始めたときに、私は、「1,000万人の子どもたちにリーチする」ということを目標にしました。「まず大きく考えよう」ということです。
2番目に学んだことは、チャリティでもビジネスのように運営していこうということです。チャリティの世界では、よくカオスのようになります。「でも、まあチャリティだし、善意でやっているからいいんじゃないか」みたいなことを言うのですが、それではうまくいかないと思います。私は、すべて子どもたちのためにやっているので、もし何かうまくいかなくなると、子どもたちに影響があります。
3番目はビジネスです。ルーム・トゥ・リードのマネジメントチームの多くは、以前企業に勤めていた経験を社会分野に適用していこうという人々です。日本でも、多くのボランティアの方々が、やはり企業セクターから来ています。組織を効率的にオペレーションしていくことや、結果重視というところに興味を持っているからです。
米倉誠一郎: スティーブ・バルマーさんに関して、私はよい印象を持っていなかったのですが、本を読んで感銘を受けたのは、彼が部下に関しての忠誠心を持っているということです。
ジョン・ウッド: 彼は、声がすごく大きいのです。私がなぜネパールに行ったかというと、スティーブ・バルマーに大声でどなられることから逃げたかったからというぐらいなのですが、スティーブ・バルマーのことを好きだった1つの理由は、よい人たちを雇って、よい仕事をさせていた、それに関して細かく介入せず、最後までやらせたということです。
それは私たちルーム・トゥ・リードのチームでもやっています。
例えば、昨日香港でクリントンのグローバル・イニシアティブに参加しました。ある人に、「家族がカンボジアの孤児院の支援をしているのですが、本がありません。そこに図書館をつくってくれますか?」と聞かれました。それはいいアイディアなのですが、私は「あなたのカンボジアのチームの人たちから、私たちのカンボジアのチームの人に話をして、カンボジアのために何がいいのかということを決めてほしい」と言いました。
「創立者でCEOなのに、なぜあなたが決められないのですか?」と言われましたので、「私が決めることはできるけれど、それが正しいことだとは思いません。そういうことをしてしまうと、カンボジアの人たちがきちんと権限を与えられていると思えないからです」と答えました。
3番目はビジネスです。ルーム・トゥ・リードのマネジメントチームの多くは、以前企業に勤めていた経験を社会分野に適用していこうという人々です。日本でも、多くのボランティアの方々が、やはり企業セクターから来ています。組織を効率的にオペレーションしていくことや、結果重視というところに興味を持っているからです。
米倉誠一郎: スティーブ・バルマーさんに関して、私はよい印象を持っていなかったのですが、本を読んで感銘を受けたのは、彼が部下に関しての忠誠心を持っているということです。
ジョン・ウッド: 彼は、声がすごく大きいのです。私がなぜネパールに行ったかというと、スティーブ・バルマーに大声でどなられることから逃げたかったからというぐらいなのですが、スティーブ・バルマーのことを好きだった1つの理由は、よい人たちを雇って、よい仕事をさせていた、それに関して細かく介入せず、最後までやらせたということです。
それは私たちルーム・トゥ・リードのチームでもやっています。
例えば、昨日香港でクリントンのグローバル・イニシアティブに参加しました。ある人に、「家族がカンボジアの孤児院の支援をしているのですが、本がありません。そこに図書館をつくってくれますか?」と聞かれました。それはいいアイディアなのですが、私は「あなたのカンボジアのチームの人たちから、私たちのカンボジアのチームの人に話をして、カンボジアのために何がいいのかということを決めてほしい」と言いました。
「創立者でCEOなのに、なぜあなたが決められないのですか?」と言われましたので、「私が決めることはできるけれど、それが正しいことだとは思いません。そういうことをしてしまうと、カンボジアの人たちがきちんと権限を与えられていると思えないからです」と答えました。
関連書籍
マイクロソフトでは出会えなかった天職—ぼくはこうして社会起業家になった
ウッド,ジョン, 矢羽野 薫【訳】ランダムハウス講談社
一人ひとりが世界を変える方法 インデックス
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第1章 子どもの教育は世界を変える
2009年06月17日 (水)
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第2章 フォーカスしている5つのプログラム
2009年07月06日 (月)
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第3章 強いチームワークと世界に広がるチャプター
2009年07月24日 (金)
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第4章 組織の成長とパートナーシップでめざす持続可能な社会
2009年08月07日 (金)
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第5章 マイクロソフトで学んだこと
2009年08月20日 (木)
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第6章 「批判家のための銅像は1つもない」
2009年09月01日 (火)
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第7章 組織のマネジメントとコミュニケーションのポイント
2009年09月14日 (月)
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第8章 現地の文化を尊重すること、熱意を持ってやり遂げること
2009年09月29日 (火)
該当講座
『マイクロソフトでは出会えなかった天職(原題:Leaving Microsoft To Change the World)』の著者、ソーシャルアントレプレナーのジョン・ウッド氏による特別セミナーです。 マイクロソフトのエグゼクティブであった氏が、非営利団体ルーム・トゥ・リード(Room to Re....
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