記事・レポート
“面白い”ビジネスのつくり方
小澤隆生、南壮一郎が語るスタートアップ
BIZセミナー経営戦略キャリア・人
更新日 : 2015年05月27日
(水)
第10章 優れた経営者ほど、バランスが悪い
失敗を失敗と思わない人たち
会場からの質問(4): お小澤さんが惹かれる、スタートアップの経営者とは?
小澤隆生: 何事にも杓子定規で臨み、マニュアル好きの人は、僕としてはビジネスパートナーや投資対象にはなりません。反対に、良い意味で無鉄砲な人、大切な一部がスコンと抜け落ちている人、異様に諦めの悪い人など、基本的にバランスの崩れている人に惹かれます。三木谷浩史さんや孫正義さんなど、僕がお会いした優れた経営者は、どなたも非常にバランスが悪い(笑)。つまり、常人ではないわけです。
皆さんは、自動車に乗っているとき、「これ以上スピードを出したら怖い」と感じることがあると思います。ビジネスで言えば、「これぐらいやれば、もう十分だ」という上限ラインです。普通の人は、物事の上限について一定のラインをもっています。しかし、バランスの悪い人は、「こうだ!」と決めたら、上限ラインなどお構いなしに猛スピードで突き抜けていきます。
たとえば、三木谷さんのすごい点は、徹底的にやり抜くこと。進むべき方向を決めたら、とにかくアクセルをベタ踏みする。そのほうが絶対に速いという明確なロジックをもち、徹底的に実行する。同じく孫さんも、半年に1回のペースで「千載一遇のチャンスが来た! 絶対に逃すわけにはイカン!」と、新しいことにチャレンジし、没頭しています。もちろん、すべてがうまく行くわけではありませんが、本人はおそらく、失敗したとは微塵も考えず、次に進んでいきます(笑)。
僕自身も、毎回のように「これはいける!」とワクワクしながら実験をしていますが、十中八九失敗します。しかし、僕はとにかく数を打つタイプで、成功が約束されたアイデアなど面白くないと思っているため、すぐに「別の方法でチャレンジだ!」となる。反対に、何事も1点勝負の人は、失敗すると「もうダメだ」となりがちです。チャレンジに失敗はつきもの。失敗を悔やむよりも、前に進み続けることが大切だと思います。
会場からの質問(5): 最近、お二人が最も面白いと感じた出来事を教えてください。
小澤隆生: 先日行われたソフトバンクの株主総会で、最後に孫さんとPepperくんが登場しました。その際、「Pepperくんの主題歌」が流れました。
♪~いまはまだできないこと多いけど/全然気にしてない/だって僕には/白い企業がついている/ソフトでバンクラガッタ、バンクラガッタ~♪
5,000人の参加者が突然、この歌を聞かされたわけです。いまや、国内第2位の時価総額を誇る会社を率いる男は、壇上でニコニコ笑っている。愕然としたのと同時に、背筋が凍るような思いがしました(笑)。
南壮一郎: 僕は、毎月1回は海外に行くようにしています。日本と世界の間にある、リアルタイムのギャップを感じに行くためです。先日、長年の夢でもあったケニヤを訪れました。マサイマラという広大な草原を数時間走り、マサイ族の村にたどり着くと、驚くべき光景が目に飛び込んできました。村人全員がスマホを手にしていたのです(笑)。赤い服を着て、槍をもって生活している彼らが、慣れた手つきでスマホを操作し、ゲームで遊んでいた。それを見た瞬間、ITの世界に飛び込んで本当に良かったなと思いました。固定電話さえもったことのない人たちが、スマホを使いこなしている。ITやインターネットの世界は、今後ますます可能性が広がっていくだろうと確信しました。
日本で過ごしているだけでは、絶対に気づけなかった事実です。このようなギャップを味わい続けることが、ビジネスに役立つだけでなく、何より僕の人生を楽しく、面白くするのだと考えています。
佐々木紀彦: 最後はPepperくんとマサイ族という、見事な締めでしたね(笑)。お二人とも、素晴らしいお話をありがとうございました。(了)
小澤隆生: 先日行われたソフトバンクの株主総会で、最後に孫さんとPepperくんが登場しました。その際、「Pepperくんの主題歌」が流れました。
♪~いまはまだできないこと多いけど/全然気にしてない/だって僕には/白い企業がついている/ソフトでバンクラガッタ、バンクラガッタ~♪
5,000人の参加者が突然、この歌を聞かされたわけです。いまや、国内第2位の時価総額を誇る会社を率いる男は、壇上でニコニコ笑っている。愕然としたのと同時に、背筋が凍るような思いがしました(笑)。
南壮一郎: 僕は、毎月1回は海外に行くようにしています。日本と世界の間にある、リアルタイムのギャップを感じに行くためです。先日、長年の夢でもあったケニヤを訪れました。マサイマラという広大な草原を数時間走り、マサイ族の村にたどり着くと、驚くべき光景が目に飛び込んできました。村人全員がスマホを手にしていたのです(笑)。赤い服を着て、槍をもって生活している彼らが、慣れた手つきでスマホを操作し、ゲームで遊んでいた。それを見た瞬間、ITの世界に飛び込んで本当に良かったなと思いました。固定電話さえもったことのない人たちが、スマホを使いこなしている。ITやインターネットの世界は、今後ますます可能性が広がっていくだろうと確信しました。
日本で過ごしているだけでは、絶対に気づけなかった事実です。このようなギャップを味わい続けることが、ビジネスに役立つだけでなく、何より僕の人生を楽しく、面白くするのだと考えています。
佐々木紀彦: 最後はPepperくんとマサイ族という、見事な締めでしたね(笑)。お二人とも、素晴らしいお話をありがとうございました。(了)
気づきポイント
●人間は、心の底から「面白い!」と感じた時、自然と体が動いてしまう生き物である。
●ビジネスの本質は、徹底的な情報収集と要素分解、小さな実験を繰り返すことでつかめる。
●アイデアを具現化するためには、大義名分やビジョンを語り続け、仲間をつくることも大切。
●ビジネスの本質は、徹底的な情報収集と要素分解、小さな実験を繰り返すことでつかめる。
●アイデアを具現化するためには、大義名分やビジョンを語り続け、仲間をつくることも大切。
“面白い”ビジネスのつくり方 インデックス
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第1章 面白いことをやるために、稼ぐ
2015年05月13日 (水)
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第2章 「EasySeek」でインターネットの本質に触れる
2015年05月13日 (水)
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第3章 1.5トンの豆を投げ合う「すごい豆まき」
2015年05月13日 (水)
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第4章 鳥肌が立つほど感動する仕事がしたい
2015年05月20日 (水)
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第5章 僕が楽天イーグルス創業を通じて学んだこと
2015年05月20日 (水)
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第6章 問題をつくり出す人、問題を解く人
2015年05月20日 (水)
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第7章 アイデアをビジネスに変換する方法
2015年05月27日 (水)
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第8章 ビジネスの本質を見抜くコツとは?
2015年05月27日 (水)
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第9章 スタートアップと、使命感・大義名分
2015年05月27日 (水)
-
第10章 優れた経営者ほど、バランスが悪い
2015年05月27日 (水)
該当講座
小澤隆生(㈱ヤフー 執行役員 ショッピングカンパニー長)
南壮一郎(㈱ビズリーチ代表取締役)
佐々木紀彦(㈱東洋経済新報社『東洋経済オンライン』編集長)
今注目の起業家をゲストにお迎えする「東洋経済スタートアップシリーズ」。今回は「成功するビジネスのつくり方」をテーマにお二人のゲストにご登壇頂きます。セミナー後は簡単な懇親会もございます。
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