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“面白い”ビジネスのつくり方

小澤隆生、南壮一郎が語るスタートアップ

BIZセミナー経営戦略キャリア・人
更新日 : 2015年05月27日 (水)

第7章 アイデアをビジネスに変換する方法


 
センターピンを狙え!

会場からの質問(1): 「これは絶対に面白い!」と思うアイデアがあったとしても、それをビジネスとして具現化することは非常に難しいと思います。具現化において、最も重要なこととは?

南壮一郎: 僕は、誰よりも先に自分が取り組んだ課題、自分が考えたアイデアなど、この世にはないと考えています。必ず、同じような課題に取り組んだ人、アイデアを実現しようとした人がいるはず。その中で、うまくできた人と、できなかった人もいるはず。したがって、アイデアを思いついたときは、過去の事例を徹底的に収集・分析します。調べる対象は日本だけでなく、世界です。これは楽天イーグルスにいた頃、小澤さんから学んだことでもあります。

ビズリーチについても、自分のアイデアに近しい事例を探したところ、米国で似たようなビジネスを実現している人がいた。話を聞きに行くと、「ベンチマークしたのはmatch.comだ」と教えてくれました。世界中で利用されている婚活サイトです。そこで僕は、自社の最初の役員としてmatch.com日本支社の元責任者を招き、たくさんのヒントをもらいました。そして、どのようなエッセンスが隠されているのかを分析しながら、ビジネスモデルを固めていったのです。

佐々木紀彦: 新しいビジネスをつくり出すとき、海外に目を向けることは大切なのでしょうか?

小澤隆生: 非常に大切です。楽天イーグルスのときは、日本の球団やメジャーリーグはもちろん、Jリーグや欧州サッカー、NFL、NBAなどの成功事例をたくさん集め、南と一緒に何度も現地に足を運びました。重要なのは、単純に成功事例を真似するのではなく、成功した理由を要素分解して本質的な部分を抽出し、自らの目標・目的に合わせて再構築することです。

僕はよく、スタートアップの方々に「センターピンを狙え」と言います。ボウリングでは、センターピンに当てさえすれば、少なくとも7本は倒れます。最初はとにかく、本質的な部分を徹底的に考え抜く。次に、正しいかどうかを検証するために、小さな実験を行う。そして、実験の成果をベースにビジネスモデルを構築する。このサイクルを回しながらアイデアを洗練化できれば、センターピンに当たる可能性はグッと高まっていきます。

南壮一郎: もう1つ付け加えたいのは、「人の大切さ」です。ビズリーチを立ち上げる前、楽天の三木谷さんと会食したのですが、「南は、どのくらいの規模の会社をつくりたいの?」と尋ねられました。僕は生意気にも「楽天のような会社をつくります!」と答えました(笑)。三木谷さんは真面目な顔で、「数千人規模の組織になれば、絶対にピラミッド型になる。いまからやらなければいけないのは、ピラミッドの最上部を構成する100~200人の仲間を集めることだ」と教えてくれました。

三木谷さんも楽天を創業する前は、自分より優秀な人を毎日のように探し続け、事業に対する情熱やビジョンを語り続けたそうです。仲間の大切さ、チームがもたらすインパクトの強大さを知っていたのでしょう。新しいビジネスを具現化していくためには、人を巻き込む力、仲間をつくる力も大切になると思います。


該当講座

“面白くて、稼げる”ビジネスのつくり方
小澤隆生 (ヤフー株式会社 執行役員 ショッピングカンパニー長)
南 壮一郎 (株式会社ビズリーチ代表取締役)
佐々木紀彦 (PIVOT CEO)

小澤隆生(㈱ヤフー 執行役員 ショッピングカンパニー長)
南壮一郎(㈱ビズリーチ代表取締役)
佐々木紀彦(㈱東洋経済新報社『東洋経済オンライン』編集長)
今注目の起業家をゲストにお迎えする「東洋経済スタートアップシリーズ」。今回は「成功するビジネスのつくり方」をテーマにお二人のゲストにご登壇頂きます。セミナー後は簡単な懇親会もございます。


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