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DeNA流「強いチームのつくりかた」

Harvard Business Schoolアラムナイ・スピーカー・シリーズ:南場智子

BIZセミナーグローバルキャリア・人
更新日 : 2014年05月28日 (水)

第8章 起業を考えています。立ち上げメンバーを選ぶコツは何ですか?

南場智子(株式会社ディー・エヌ・エー ファウンダー / 取締役)

 
会場からの質問(1): 面接において「頑張れるかどうか」を見極めるコツについて、詳しく教えてください。

南場智子: 私としては面接官と就活生ではなく、人間同士の会話をしたいと考えており、面接ではできる限り「人と人」の関係になれるよう工夫しています。こうした関係が構築できると、相手の人間性や頑張りの背景まで深く理解できるようになり、一緒に仕事をしたいという気持ちや、尊敬の念が生まれてきます。もちろん、内容は私の胸に秘めておきます。

会場からの質問(2): DeNAが世界一のインターネットサービス企業を目指すうえで、グローバル化についてはどのように考えていますか?

南場智子: 日本発のIT系企業で世界の頂点を極めた企業はないため、絶対に自分たちが成し遂げてやろうと思っています。そのためには、出自は日本の企業ですが、チームはグローバルにならなければと考えています。とは言いつつ、当社の経営陣はほとんど英語が話せません。私はペラペラと英語を話す人が一番危険だと考えています。ペラペラ話していると、一瞬「この人は仕事ができるだろう」という錯覚に陥ります。それで色々と任せてみたら、全部バーストすることも多いのです。英語は話せないけれど、仕事はできるという人のほうが遙かに良い。現在はとにかく言語能力に関係なく、仕事のできる人にアサインしています。

グローバル、イコール、英語の公用語化ではないと考えていますが、たしかに言葉の面で苦労することも増えています。たとえば、PMI(Post Merger Integration/※編注)です。まずは、相手先とのミューチュアル・リスペクト(mutual respect/相互尊重)から始めますが、異なる背景で育ってきた企業やチームを新しい仲間に迎え入れるのは非常に難しい。グローバルについては大きなチャレンジだと捉えています。



会場からの質問(3): 人材を追い続けるというお話がありましたが、反対に「引き抜かれる」ことはないのですか?

南場智子: 当社の離職率は業界のなかでも非常に低いのですが、ヘッドハンターからの電話は頻繁にかかってきます。メールやSNS経由はさらに多いと思います。逆に、誰からも引っ張られないような人は心配してしまうくらいです。たしかに、強いチームをつくるために、優秀な人には長く在籍してほしいですが、会社の都合で個人を縛り付けることはできません。社員と会社の関係には「社員はどこに行くか分からない」という、ある種の緊張感があります。いま、この瞬間も誘われているかもしれません。

しかし、そうした優秀な社員に選択の機会が訪れても、DeNAを選び続けてもらう。そのために何をすべきなのか、常に緊張感を持ってしっかり考えなければならないと思っています。会社の発展を考えるうえでは当然のことだと思います。

報酬もありますが、それ以上に大切なことは、社員をワクワクさせるような仕事がどれだけあるのか。未知の分野や大きな目標にチャレンジできるステージを常に用意しておくのです。私としても「世界というステージに立ち、思い切り輝きたい!」という人材にこそ来てほしいと思っています。

会場からの質問(4): 現在、起業の準備を進めています。立ち上げのメンバーを探すことに非常に難しさを感じています。何かアドバイスやポイントがあれば教えてください。

南場智子: 人柄がポイントになると思います。世界には能力の高い人、仕事ができる人はたくさんいます。そのなかで、できる限り自分とフィーリングが合う人、目指すべきコトを共有できる人を選ぶのです。起業して軌道に乗り出したあと、将来のビジョンや報酬、ポジションなどについて創業メンバーがもめるという話をよく聞きますが、DeNAは仲間の人柄に助けられ、そうしたことはありません。

人柄と言えば、特に創業メンバーの川田尚吾(現・株式会社ディー・エヌ・エー顧問)はすごいです。おそらく、エスタブリッシュメントの人は、彼のことは好きにならないと思います。そもそも、エスタブリッシュメントを尊敬する心がまったくない(笑)。彼は常にすべての人をフラットな視点で見ます。私にとっては、自分の良い面を最大限引き出してくれる存在であり、彼はそのための環境を率先してつくってくれました。非常に感謝しています。

私はビジネス書をほとんど読みませんが、そのなかで唯一、なるほどと感じたのは『ビジョナリー・カンパニー2』(日経BP社)のなかにあった「誰をバスに乗せるのか」という言葉です。ビジネスモデルは起業したあとも柔軟に変えていくことができますが、人を変えることはなかなかできません。世の中に大きなインパクトを与える企業へと成長していくためには、はじめのメンバー選びが大きなポイントになります。(了)

※編注
PMI(Post Merger Integration)

M&Aの効果を具現化し、長期的な成長を支えるマネジメントの仕組みを構築するための統合プロセス。経営戦略・管理運営方針などマネジメント体制の統合とともに、企業文化の融和も大きなカギとなる。

<気づきポイント>

●トップの役割は、常にアンリーズナブルな目標を掲げ、必ず達成できると信じてもらうこと。
●大切なのは誰が言ったのかではなく、何を言ったのか。それが新たな価値創造につながる。
●強いチームづくりの第一歩は、目指すべき夢や目標を共有できる仲間を集めること。

関連書籍


不格好経営 - チ−ムDeNAの挑戦

南場智子
日本経済新聞出版社



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強いチームをどう作るか
南場智子 (株式会社ディー・エヌ・エー ファウンダー / 取締役)

南場 智子(株式会社ディー・エヌ・エーファウンダー / 取締役)
今回は近著「不格好経営」が話題となっている、株式会社ディー・エヌ・エーの創業者であり取締役である南場氏をお招きして開催いたします。


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