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DeNA流「強いチームのつくりかた」

Harvard Business Schoolアラムナイ・スピーカー・シリーズ:南場智子

BIZセミナーグローバルキャリア・人
更新日 : 2014年05月07日 (水)

第3章 リーダーの使命は“ビジョンを示す”こと

南場智子(株式会社ディー・エヌ・エー ファウンダー / 取締役)

 
仲間の心を震わせる目標

南場智子: リーダーの使命として「ビジョン(目標)を示す」ことがあります。目標には、定性的なものと定量的なものがあり、どちらも高い志を持つ仲間が情熱を傾けるに足ると感じるようなアンリーズナブル(unreasonable)なレベルに設定します。そして、事あるごとに様々な言葉を通して語りかけ、必ずできると信じてもらうのです。実は、こうしたことがリーダーの仕事の半分を占めているように思います。

たとえば、オークションサイト「ビッダーズ」を立ち上げた際、「日本で一番のオークションサイトにしよう」という定性的な目標を掲げました。ソーシャル・ゲームに参入したときは「スマホのソーシャル・ゲームにおいて世界一になろう」と宣言しました。

現在は「パズドラ」(パズル&ドラゴンズ)を提供するガンホー・オンライン・エンターテイメントや、イギリスのキング・ドット・コムなどが全世界にユーザーを持つソーシャル・ゲームを生み出し、とてつもない成長を遂げています。私たちの業界は、わずか数年でプレーヤーが入れ替わる、変化の激しい業界です。そうしたなかでどのように市場を攻略していこうかと常に試行錯誤し、向かう先が決まれば、仲間の心を震わせるようなアンリーズナブルな目標を立てます。



グラフのY軸を変えてみせる

南場智子: 利益とは社会への貢献度を示す通信簿と言いましたが、定量的に評価する指標としても、数字のシビアさに勝るものはありません。もちろん、目標はアンリーズナブルなレベルで掲げます。

苦しい時期を乗り越え、売上高が約16億円に達した2003年のこと。私は「次の3年で100億円にいこう」と宣言しました。16億円をスタートに、毎年倍々で進んでいこうと言ったのです。守安(功/現・代表取締役社長兼CEO)は「ようやく16億円に到達したのに、100億円なんてどうやって達成するの?」と驚いていました。ほかの仲間も口々に「無理だ」と言いました。

私は「心配するな。あとから振り返ったら、売上高のグラフは絶対にこう見えるようになる」と示しました。Y軸に置く数字の単位を増やし、現在の売上高の縮尺を小さくしてみせたのです。そこからは私自身、率先して頑張り、事あるごとに「必ずできる」と言い続けました。最終的に2007年3月期の売上高は約141億円に達しました。

皆が喜んでいる傍らで、私は「今度は4年後に1,000億円に到達しよう!」と言い出しました。この頃には社員もかなりの人数になり、3年前を知らない社員からは「無理だ」という声が挙がりました。私は「4年後にはグラフはこうなる」と、再びY軸を変えてみせました。

2011年度3月期の売上高は1,127億円となりました。1,000億円超えを達成したとき、私は当たり前のように宣言しました。「次は4,000億円だ。グラフもこうなる」と。しかし、そうした無茶ぶりをしたまま、私は家庭の事情を理由にCEOから退いてしまいました。そのため、現場に復帰した現在は貢献できなかった分を取り戻すべく、全社員の貢献本能を刺激しながら「アタック4,000」に向けて邁進しています。

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南場智子
日本経済新聞出版社



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南場智子 (株式会社ディー・エヌ・エー ファウンダー / 取締役)

南場 智子(株式会社ディー・エヌ・エーファウンダー / 取締役)
今回は近著「不格好経営」が話題となっている、株式会社ディー・エヌ・エーの創業者であり取締役である南場氏をお招きして開催いたします。


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