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DeNA流「強いチームのつくりかた」

Harvard Business Schoolアラムナイ・スピーカー・シリーズ:南場智子

BIZセミナーグローバルキャリア・人
更新日 : 2014年05月20日 (火)

第6章 純粋な高揚感にドライブされ成長するチームへ

南場智子(株式会社ディー・エヌ・エー ファウンダー / 取締役)

 
大好きな1枚の写真

南場智子: 現在はチーム・ビルディングに関する本がたくさん売られています。私自身、マッキンゼー時代にはチームを合理的・効率的にマネジメントしていく方法をたくさん学びました。しかし、そうしたものをすべて放り出し、「これ一本でやるぞ!」と決めた瞬間があります。

私の人生において一番好きな写真があります。オークションサイト「ビッダーズ」が誕生した瞬間の写真です。中央に写る現社長の守安(功/代表取締役社長兼CEO)ほか、開発に携わったエンジニアたちが、嬉しそうにPCの画面を見つめています。彼らの価値観やモチベーションの源、得意な分野は1人ひとりまったく異なります。こうした多様性のある仲間が、共通の目的に向かって全力を傾け、それを達成した瞬間に覚えた純粋な喜び、高揚感が写し出されています。誰がこの成功を導いたのか、誰が一番貢献したかなど、まったく気に懸けていません。

この写真から、私はチームとして目指すべき姿を見いだしました。純粋な高揚感をドライブとして、皆が1つの目標(コト)に向かって邁進し、成長していくチームをつくろうと思ったのです。

DeNAではチームを球体のイメージで捉えています。誰ひとり陰に隠れることなく、全員に球の表面積を担ってもらうために、年齢や社歴に関係なく、実力に応じて際限なく仕事を任せています。各々の持ち場でオーナーシップを100%発揮し、互いを尊敬し合いながらアンリーズナブルな目標に向かって一丸となり、切磋琢磨する。そうすることにより、目標達成の瞬間には純粋な高揚感を覚えることができるようになります。またそれは、次のアイデアを生み出すための大きなモチベーションとなるのです。



良い面を引き出してくれる仲間の存在

南場智子: 階層に縛られず、政治的にならず、1人ひとりが伸び伸びと力を発揮し、チームとして成果を上げ、成長する。現在のDeNAは常にコトに向かう、フラットで清々しいチームだと言えます。この清々しさこそ、私がDeNAを愛する一番の理由です。

清々しいチームができた理由は、メンバーの人柄に助けられた部分が非常に大きいと思います。一緒に会社を立ち上げた川田尚吾(現・株式会社ディー・エヌ・エー顧問)は、尋常ではないほどコトに集中する人間でした。人に集中する、政治に集中するという点が完全に欠落し、常にコトを前に進めることしか考えていませんでした。現社長の守安も同じです。彼は現在に至るまで、一分の曇りもなくコトに集中し続けてきました。

私は彼らによってピュリファイ(purify)されたと感じています。負けず嫌いで常に真っ向勝負の私が14年もの間、精神に破綻をきたさず続けてこられたのは、こうした素晴らしい仲間に恵まれたからだと思います。

関連書籍


不格好経営 - チ−ムDeNAの挑戦

南場智子
日本経済新聞出版社



該当講座

強いチームをどう作るか
南場智子 (株式会社ディー・エヌ・エー ファウンダー / 取締役)

南場 智子(株式会社ディー・エヌ・エーファウンダー / 取締役)
今回は近著「不格好経営」が話題となっている、株式会社ディー・エヌ・エーの創業者であり取締役である南場氏をお招きして開催いたします。


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