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グローバル・アジェンダ・シリーズ
2人の起業家に学ぶブレークスルーを生み出す力

個人の思いとつながりから始まる21世紀の地球貢献

ビジネススキルキャリア・人政治・経済・国際グローバル
更新日 : 2013年06月14日 (金)

第6章 新しいビジネスを生み出すためのステップ

大澤 亮(㈱Piece to Peace代表)

 
サイクルを回せばブレークスルーはやってくる

大澤亮: 私がどうやって新しいアイデアを作ったり、新しい枠組みを作ったりしているのか。それには次のようなステップがあります。

1つ目は、既存の仕組みに疑問を持つ。はじめは、自分がすごくやりたいものを見つけることが大切です。一生続けられないと感じられるものであれば、必ずどこかで挫折してしまうでしょう。また、1つの目標を掲げて懸命に頑張っていると、現状に対する違和感、課題が見えてくるようになります。

2つ目は、枠組みを抜け出す。もちろん、その前には冷静にプラスとマイナスを分析し、できるだけプラスに転じられるような経営的な判断も必要になります。しかし、新しいことを始めるには、やはりどこかで勇気を持って現状から飛び出さなければなりません。たとえ飛び出して失敗しても、飛び出さなかった場合に比べれば、後味の悪い後悔は残りません。

3つ目は、新しい枠組みを作る。これは非常に難しいのですが、私の場合は大きい課題から考えるのではなく、もう少し小さな課題に落とし込んでいます。例えば、「地球への貢献」では大きすぎるので、自分の興味・関心、自分の持つスキルといったフィルターをかけて考える。すると、私の場合は「多くの人々に地球の課題に興味を持ってもらう」という具体的なテーマが現れ、そこから手段を考えていけるようになりました。

また、海外のトレンドや情報をできる限り調べて、少なくとも国内では誰もやっていないビジネスを選び出すこと。それから、数多くのアイデアを得るために、とにかく多くの人に会い、話すこと。これらも、私が新しいアクションを起こす時に必ず行っていることです。新しい枠組みを考えていく際には、「調べる・学ぶ」「会う・話す」「考える」というサイクルをひたすら回し続け、その中で100個、200個とアイデアを出し、ビジネスとしての冷静な判断を加えながら選択しています。

自由にシェアして学び合う場「shAIR」

大澤亮: 「shAIR」という事業も、そうしたプロセスの中から生まれました。コンセプトは「人生のヒケツを教え合う場所」。社会人になれば、誰もが何かしらの経験・スキルを持つようになります。調べてみると、そういうものをシェアしたい個人、あるいは企業や団体がたくさんある。そこで、誰もが容易に少人数の教室やイベントを開くことができるサイトを立ち上げて、教える・学ぶ・つながるための新たな場としてご提供しています。

大きな特徴は、学ぶことを通して寄付もできるシステムとしていること。教室やイベントへの参加費に応じてポイント(受講料100円につき1ポイント)が貯まるシステムになっており、あらかじめ決められた国際機関やNGO・NPOなどの中から、自分の好きな団体に寄付できるようになっています。貯まったポイントは、次回の受講費にあてることも可能なので、寄付するかどうかは自分の判断で決めることができます。このような仕組みを創ることで、地球上の様々な課題と、それらに対してどのような国際機関や団体がどのような活動をしているかの告知もできます。

shAIRという名称は「share the AIR!」、もっと空気を共有しよう、という意味合いを込めています。学校や本が教えてくれない生きた知恵を、緩やかなつながりの中でシェアすることで、人生を豊かにしていける。なおかつ、自分が関心を持った団体に寄付もできる。まさに「えらぼう 地球貢献」なのです。このようにPiece to Peaceは、地球上の課題とそれに対して活動するNPOやファッションブランド等を紹介し、消費者が興味・関心を持って地球への貢献に参加できる機会を提供することに力を注いでいます。


該当講座

2人の起業家に学ぶブレークスルーを生み出す力

~既存の枠組みから飛び出し、たどり着いた地球貢献のかたち~

2人の起業家に学ぶブレークスルーを生み出す力
中村俊裕 (コペルニク共同創設者兼CEO)
大澤亮 (株式会社Piece to Peace 創業者・代表取締役社長)
石倉洋子 (一橋大学名誉教授)

中村 俊裕(米国NPOコペルニク共同創業者・CEO)
大澤 亮(㈱Piece to Peace代表)
石倉 洋子(慶應義塾大学大学院教授)
今回のセミナーでは、過去に伝統的な途上国支援の現場に携わり、そこからブレークスルーを生み出した2人の若き起業家にゲストとしてお越しいただきます。BOPビジネスに熱い視線を送る日本企業との関係や、グローバル人材育成、ファッション大国の日本ができること等にも触れながら、2人のスピーカーを通じて既存の枠組みを超えて活動するために必要な力について考えます。


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