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グローバル・アジェンダ・シリーズ
2人の起業家に学ぶブレークスルーを生み出す力

個人の思いとつながりから始まる21世紀の地球貢献

ビジネススキルキャリア・人政治・経済・国際グローバル
更新日 : 2013年06月05日 (水)

第2章 ラストマイルにテクノロジーを届けたい

中村 俊裕(米国NPOコペルニク共同創業者・CEO)

 
中村俊裕: コペルニクは、オンライン・マーケット・プレイスを通じて、優れたテクノロジーを持つ企業や教育機関、途上国の第一線で活動するNGOなどの団体、そして支援していただく個人・企業の3者をつなぐことで、ラストマイルが抱える課題解決に直接的に貢献する事業を行っています。

2010年2月に設立し、4年目に入りましたが、これまで13カ国約9万人にテクノロジーを届けています。現在はインドネシアに拠点を置き、同国とその隣にある東ティモールを中心に、インドやフィリピン、ケニアなどでもプロジェクトを進めています。スタッフは私の妻であり、共同創設者のエヴァをはじめ、インドネシア人が半分、そのほかオーストラリア、アメリカ、スイスなどグローバルなメンバー20名ほどで運営しています。

コペルニクが取り扱うのは、途上国向けに生み出されたシンプルかつ優れたテクノロジーです。こうしたものを本当に必要とする人々はその存在すら知らず、反対にテクノロジーの生産者の大半は遠隔地へのアクセス手段を持っていません。仲介者を通すことなく、より良い形で両者をつなぐことが私たちの仕事です。

世界中で誕生する途上国向けのテクノロジー

中村俊裕: ここで、テクノロジーの一部をご紹介しましょう。
【バイオマス燃料を使った高効率調理用コンロ】
通常はかまどに薪をくべて、モクモクと煙が立ちこめた状態で調理しています。実は、この煙による室内空気汚染のため、年間約130万人が亡くなっています。これはマラリア(年間約120万人)よりも深刻な問題となっています。このコンロは煙をほとんど排出せず、使う燃料も少量で済み、燃焼効率もよいので調理時間を大幅に短縮することができます。
【太陽光LEDランタン】
電気の通っていない地域では、灯油で明かりをとっています。しかし灯油代はとても高いので家計を圧迫しますし、燃焼時に出る煙には有害物質が含まれています。そこで明かりをソーラーライトに替えると、経済的にも健康的にも改善されます。さらに、夜でも作業ができるようになり内職の収入が増え、子どもが勉強できるようになるなど、副次的効果もたくさんあります。
【Qドラム/ライフストロー】
「Qドラム」は、約50リットルの水を、転がしながら簡単に運べるものです。通常、頭の上に大きなタンクを乗せて、ときには何時間もかけて家と水源の間を往復します。これなら女性や子どもでも大量の水を容易に運ぶことができます。また、水については質の問題もあります。微生物や細菌を含んだ水を飲むことで、1日あたり数千人の子どもが死亡していると言われています。これを解決できるような非常にシンプルな携帯型浄水ストロー「ライフストロー」があります。

こうしたものの多くは、いわゆるスタートアップから生まれています。先進国の企業や教育機関だけでなく、新興国や途上国に暮らす市井の起業家も、数多くのテクノロジーを生み出しています。こうしたテクノロジーは、価格が安いことはもちろん、使いやすい、壊れにくいなど、途上国のニーズを満たしていることも大きな特徴です。


該当講座

2人の起業家に学ぶブレークスルーを生み出す力

~既存の枠組みから飛び出し、たどり着いた地球貢献のかたち~

2人の起業家に学ぶブレークスルーを生み出す力
中村俊裕 (コペルニク共同創設者兼CEO)
大澤亮 (株式会社Piece to Peace 創業者・代表取締役社長)
石倉洋子 (一橋大学名誉教授)

中村 俊裕(米国NPOコペルニク共同創業者・CEO)
大澤 亮(㈱Piece to Peace代表)
石倉 洋子(慶應義塾大学大学院教授)
今回のセミナーでは、過去に伝統的な途上国支援の現場に携わり、そこからブレークスルーを生み出した2人の若き起業家にゲストとしてお越しいただきます。BOPビジネスに熱い視線を送る日本企業との関係や、グローバル人材育成、ファッション大国の日本ができること等にも触れながら、2人のスピーカーを通じて既存の枠組みを超えて活動するために必要な力について考えます。


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