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本当にエコカーは環境負荷を低減するのか。生き残るエコカーの条件とは?

『日経エコロジー』提携講座:過熱するエコカー市場の真相

更新日 : 2010年04月02日 (金)

第5章 EUのCO2規制が電気自動車の開発に拍車をかける

木野龍逸氏

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木野龍逸: 各社が電気自動車を開発するにあたり、現実的な問題があります。

昨年(2008年)末にEU議会で、EU域内でのCO2の規制法案が通りました。その内容は、「走行距離1km当たりのCO2排出量を130g/km以下に抑える」というものです。実際には、自動車メーカー各社が作っているクルマの重量が関係してくるので、各社毎に規制値が異なります。例えばダイムラーは137g-CO2/kmになるようです。また各社のCO2排出量は、各車種に販売台数を掛けて、加重平均したものが、その企業の数値になります。

2012年には販売台数の65%を規制値内にし、順次割合を上げていき、2015年には販売しているクルマすべてを含めた平均値を規制値以下にしなければなりません。未達の場合は1gにつき何ユーロという形で罰金をとることになっていて、それに販売した台数を掛け算するため、ペナルティの金額は会社の経営を揺るがすような額になるともいわれています。

この規制はヨーロッパのメーカーはもちろん、日本のメーカーにとっても切実な問題です。これを達成するために何をしたらいいかと考えると、電気自動車ならCO2排出量をゼロにカウントできるので、「一番手っ取り早いのが電気自動車だ」と、メーカーは考えているのです。

また、現在の規制の目標年度は2015年ですが、規制値を見直すことも決まっています。実はこの法案が通ったときに、2020年までにCO2の排出量を95g/kmにするという暫定目標が出ていて、それが実際に可能かどうかを含めて、2013年以降に見直しをしていくことになっているのです。

ダイムラーのミクリッチ氏は、「2020年までに95g/kmという数値は残るのではないか」と予想しています。しかし95g/kmというのはさすがに今のエンジン車では無理な数字なので、「電気自動車あるいは燃料電池車という、CO2排出量がゼロになる車を開発して市場に出さなければいけない」と考えています。

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木野龍逸 (フリーランス ライター兼カメラマン )

木野 龍逸(フリーランス ジャーナリスト・カメラマン)
いま、エコカーが注目されています。トヨタやホンダのハイブリッドカーが市場を席巻し、三菱自動車、富士重工、日産自動車が電気自動車を発表するなど、各社がしのぎを削る中、政府もエコカー減税を実施してバックアップします。
多岐に渡る環境対応車の「いま」と今後のエコカー市場の展望について木野氏が解説します。


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