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本当にエコカーは環境負荷を低減するのか。生き残るエコカーの条件とは?

『日経エコロジー』提携講座:過熱するエコカー市場の真相

更新日 : 2010年03月03日 (水)

第1章 エコカー開発の背景には、環境問題とエネルギー問題がある

エコカーといっても、電気自動車、燃料電池車、クリーンディーゼル車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車など、多岐にわたります。エコをうたう全てのクルマが本当に環境に優しいのか、厳しい競争の中で生き残るクルマの条件とは何なのか——ジャーナリストの木野龍逸氏が、エコカー市場の現状と未来を語ります。

講師:木野龍逸(フリーランス ライター兼カメラマン)

木野龍逸氏

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木野龍逸: なぜ今、電気自動車、ハイブリッド車などが必要なのでしょうか。きょうは自動車メーカーが開発を進める理由と、それぞれのエコカーの特徴、そして電気自動車に関する各国の状況などをご紹介したいと思います。

まず、自動車メーカーがエコカーに取り組み始めた背景には、「地球環境問題」と「エネルギー問題」の2本の柱があります。

2007年、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が出した第4次評価報告書では、今の温暖化は人為的な温室効果ガスの増加が原因であるとほぼ断定しています。これが企業活動に対して大きなプレッシャーになってきています。

京都議定書の約束期間(2008年~2012年)に昨年からすでに入っていますが、2007年度の温室効果ガスの総排出量を見ると、対1990年比で9.0%以上も増えています。運輸部門は14.5%増です。それでも運輸部門は2001年以降、ジリジリとCO2排出量が減ってきています。(参考:環境省「2007年度の温室効果ガス排出量(確定値)について」)

ただこれは、基本的には経済的な要因で車を手放したり、普段の生活を公共交通機関にシフトしたりした人が多いということがあり、自動車産業の努力というよりも、近年の自動車離れが大きく影響していると思います。

エネルギー問題は、自動車メーカーにとって死活問題です。日本にいると原油価格の高騰についてあまり実感がないと思うのですが、アメリカでは日常生活を直撃するため、大きい車から小型車や、プリウスのようなハイブリッド車に需要が移っていくというのは、必然的な流れだと思います。

では、原油価格の高騰の背景には何があるのかというと、OECD以外の国のエネルギー消費量が急増していることが1つ、そしてもう1つ、実際に石油がとれなくなっているという状況があります。

IEA(国際エネルギー機関)のレポートを見ると、採掘しても原油が見つかりにくくなっているので、油田探査や掘削、採掘、輸送などの上流部門にかかる投資がここ何年かで急激に増加しています。「ピークオイル」という説では、石油産出量がピークを過ぎるとあとは減産に向かい、いずれは枯渇するとされます。実際、アメリカの油田ではピークオイル説のとおりに推移しました。当然、枯渇していく物質の値段は上がっていきます。

トヨタは数年前から、「2040年ぐらいにピークオイルがくる」と公式な場で発言していて、「そのためには25年かけて準備をしていかなければいけない。だから今、ハイブリッド車や燃料電池車、電気自動車の開発をしている」と言っています。

先日、ダイムラーの副社長で、エンジン・パワートレイン開発部門担当のレオポルド・ミクリッチ氏にインタビューしたとき、ピークオイルの話をたら、「トヨタの意見には賛同する。我々は、ピークオイルは2015年のプラスマイナス3年、つまり遅くとも2020年までにはくると考えている。それを考慮し、かつCO2が温暖化に寄与しているという事実を考えると、燃料消費を削減しないわけにはいかない」と言っていました。

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~本当にエコカーは環境負荷を低減するのか。5年後に生き残るエコカーの条件とは~

過熱するエコカー市場の真相
木野龍逸 (フリーランス ライター兼カメラマン )

木野 龍逸(フリーランス ジャーナリスト・カメラマン)
いま、エコカーが注目されています。トヨタやホンダのハイブリッドカーが市場を席巻し、三菱自動車、富士重工、日産自動車が電気自動車を発表するなど、各社がしのぎを削る中、政府もエコカー減税を実施してバックアップします。
多岐に渡る環境対応車の「いま」と今後のエコカー市場の展望について木野氏が解説します。


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