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人を巻き込む人脈力。好奇心と行動力が人を動かす

島田昭彦 X 藤巻幸夫が語った、一流の人脈術

更新日 : 2009年08月14日 (金)

第4章 目力と本音が人脈を築く最強の武器になる

島田昭彦氏(左)藤巻幸夫氏(右)
島田昭彦氏 株式会社クリップ代表取締役

島田昭彦: 『一流の人脈術』で巻末に対談を掲載させていただいた藤巻幸夫さんをゲストにお迎えしています。僕もいろんな節目でお世話になっている方です。藤巻さんが書かれた『人脈の教科書』は僕もずいぶん読ませていただきました。自分がこの著書を書くときに参考にさせてもらい、また、内容がかぶらないように研究させていただいた一冊です。

藤巻幸夫: 「人脈」というと、人を利用して、一発当ててやろうみたいな胡散臭い意味をもつこともあります。島ちゃん——普段はこう呼んでいるのですが、島田さんには全然、それを感じないんですね。

初対面の人と会ったとき、相手を見極める一番の判断材料になるのはやっぱり「目」です。1分もかからない、30秒ぐらいかな。目力(めぢから)ですよ。目をパッと見た瞬間に「あっ、ピュアな人だな」って感じる。昨日、ビートたけしさんとテレビ番組に共演させていただいたのですが、たけしさんも「目を見てだいたいわかる」とおっしゃっていました。僕もずっとそう思っていたんですね。

人脈とは「この人のために動きたい」「この人と関わっていきたい」という気分を起こさせる相手との間に生まれるものだと思います。人脈というのは、「つくろう」と思ってつくれるものではないなと。だから、島田さんが著書を出すにあたって対談させてもらって、本当にうれしいなと思ったのです。

島田昭彦: 藤巻さんには、僕の本をあちこちで宣伝していただいて、それもちゃんと人から伝わってくるんですよ。ありがたかったですね。やっぱり人のつながりって、すごく大切だと感じました。

藤巻幸夫: 人とのつながりで大切なのは「認め合う」こと。あまりやりすぎると嫌らしいけれど、僕の場合、「あいつ普段はしょうもないんだけれど、実際はすごいんだぞ」と言って、落として上げる、これをすごくやるんです。「あいつさ、デブだけど、案外食が細いんだ」みたいな。これはちょっと褒めてないか(笑)。この例はともかく、ちょっと落として持ち上げるって、普通に褒めるよりも相手との距離が縮まる気がしています。

島田昭彦: 藤巻さんは、そのあたりすごくうまいですよね。かつて京都でつくった新しいプロダクツをどう流通までもっていけばいいか、そんな相談を藤巻さんに持ち掛けたことがありました。

藤巻幸夫氏
アカデミーヒルズセミナー会場の様子
藤巻幸夫: 島田さんがお連れになったデザイナーを僕が怒っちゃったことがありましたよね。日本の伝統品を世界に出したいという思いがあるけれど、商売にするにはツメが甘いところがあった。だから、「そんな甘いことじゃあ商売できんぞ、お前」と怒っちゃったのです。

日本人の奥ゆかしさはいいんだけど、「人脈」を築いていくには、相手と本音でぶつからないと嘘の関係になると僕は思っているのです。人脈ついて考えると、やっぱり大切なのは、人と人のコミュニケーションなんですよ。言うべきところはきちんと言わないと、前に進めない。

島田昭彦: 日本人は発信が上手じゃないというのもありますね。特に京都もそうなんです。いい物をつくっているのに、なぜ売れないのかとか、買いに来てくれないのか。本の中にも書きましたけれど、自分が取り組んでいることを、シンプルなメッセージで、相手に伝えること、これはすごく大切で、伝えていないと人脈以前に、人とのつながりも生まれてこないんですね。

藤巻幸夫: 例えば、知らないことを「知らない」と言える勇気も必要じゃないのかなと。僕も若いときは「こんなこと聞いたら、バカにされちゃう」とか考えていました。そうではなく、人脈を使って自分のまだ知らないことをどんどん聞いていく。そこで知識をつけて、それを持ち帰って自分で深く調べて教養にする。僕はそういう面では、人脈というのは教養を得るきっかけになると思っているんです。

島田昭彦: 藤巻さんとよく本屋に「人脈コーナーをつくろう」という話をするんです。本屋に行くと、ビジネス書やマーケティング、MBAのコーナーは多いのですが、人脈とか人とのつながりを大切にする、そういうテーマを扱ったコーナーってないんですよね。

「人脈」というと、計算高いみたいなネガティブ・イメージもありますが、実はそうではない。藤巻さんがおっしゃったように、人とつながっていくコミュニケーション、そのためのきっかけになるんです。

関連書籍

一流の人脈術—デキる人は皆やっている

島田昭彦
明日香出版社