記事・レポート
いま、環境の何が問題なのか
環境問題を取り巻く世界の動向と、問題の本質を捉える
更新日 : 2009年09月17日
(木)
第7章 なぜ「外圧」による「Change(政策転換)」しかできないか?
竹中平蔵: 先ほど、「化石燃料への依存を減らすということは、敵を助けないことだ」というお話がありました。なかなか強烈な言葉ですが、良い悪いはともかく、そこには国家の強烈な意思が見えます。つまり、「どういう国をつくるか」ということが先ずないと、そもそも国際交渉は始まらないということですね。
小島敏郎: よくある「外圧による変化」とか、外国の人たちが集まって決めたルールを受け入れて一所懸命頑張る、という日本の行動パターンを変えたいですね。
竹中平蔵: 私の経験から言っても、Proactive(積極的)に動くと、必ず叩かれます。しかし、「圧力に屈してやった」ということになれば、エクスキューズ(弁解・言い訳)ができます。結局人の顔色ばかり見てReactive(受動的)になっているのが現実の日本の構図です。そこに日本のメディアがかけるバイアスもあり、それはものすごく大きいと感じます。
小島敏郎: 実際にやってきて、政治のリーダーシップが必要なのに、なぜ外圧になるかというと、後援会政治でずっとやっているから後ろを見てしまうのです。後援会長を説得するか、ここで大幅に妥協してとるかというと、やっぱり後援会長の顔を見て、「私は頑張ってきたけれど、やむを得なかった」というパターンになる、これが日本の政治だと思います。
例えば、福田元首相にしても、安倍元首相にしても、ブレアやメルケルに会って、「国際政治では、こういうことがアジェンダなんだな」ということがわかって、それから「日本の総理として国際社会で話すには、これだけのことを言わないとだめだ」となった。そこで「国内」とのギャップの中で福田元首相も安倍元首相も、ギリギリのところで国際社会におけるプレーヤーのポジションをとったのです。やはり、そういう感覚が必要だと思います。
小島敏郎: よくある「外圧による変化」とか、外国の人たちが集まって決めたルールを受け入れて一所懸命頑張る、という日本の行動パターンを変えたいですね。
竹中平蔵: 私の経験から言っても、Proactive(積極的)に動くと、必ず叩かれます。しかし、「圧力に屈してやった」ということになれば、エクスキューズ(弁解・言い訳)ができます。結局人の顔色ばかり見てReactive(受動的)になっているのが現実の日本の構図です。そこに日本のメディアがかけるバイアスもあり、それはものすごく大きいと感じます。
小島敏郎: 実際にやってきて、政治のリーダーシップが必要なのに、なぜ外圧になるかというと、後援会政治でずっとやっているから後ろを見てしまうのです。後援会長を説得するか、ここで大幅に妥協してとるかというと、やっぱり後援会長の顔を見て、「私は頑張ってきたけれど、やむを得なかった」というパターンになる、これが日本の政治だと思います。
例えば、福田元首相にしても、安倍元首相にしても、ブレアやメルケルに会って、「国際政治では、こういうことがアジェンダなんだな」ということがわかって、それから「日本の総理として国際社会で話すには、これだけのことを言わないとだめだ」となった。そこで「国内」とのギャップの中で福田元首相も安倍元首相も、ギリギリのところで国際社会におけるプレーヤーのポジションをとったのです。やはり、そういう感覚が必要だと思います。
竹中平蔵: 環境政策に関しては、特にこの2年ぐらいは総理のリーダーシップが発揮されていると思いますが、恐らく一般の皆さんには伝わっていないのではないでしょうか。メディアが報じてくれないので、十分伝わっていないのが残念です。
それから、今日、かなり詳しい説明をしてくださいましたが、やはり環境の話はわかりにくいですね。専門家が示す数字で「どうも大変なことになっているらしい」ということはわかるのですが、最近では「それは専門家のごまかしである」という声も聞きます。国際世論がここまで動いているので「やはり大変なことなんだ」と私は思いますが。このあたりはどうなのでしょう?
小島敏郎: 本屋さんに行くと、「環境のウソ」というような本ばかりですが、出版社に聞くと「そういう本しか売れないんです」と言われてしまうのです。IPCCの報告書は、きちんとした本が出ていないのです。これでは国際社会との認識のギャップが広がるのでいけないと感じています。
メディアは事件報道なので、すぐ忘れてしまいます。いわゆる検証があまりできていないのです。国内だけでなくて、もう少し「国際的に気候変動の科学の議論はどうなっているのか」という目で見ていった方がいいと思います。
海外では30代、40代の科学者が、どんどん気候変動の科学の分野に参入してきていますが、日本は学者の世界も年功序列になっていて、昔すごい実績を上げた先生がいつまでも偉いのです。科学の分野でも新しい人たちがもっと出てきて、そういう人たちの意見を取り上げていけば活性化するし、鎖国的な状況から世界に目が開かれていくのではないでしょうか。
それから、今日、かなり詳しい説明をしてくださいましたが、やはり環境の話はわかりにくいですね。専門家が示す数字で「どうも大変なことになっているらしい」ということはわかるのですが、最近では「それは専門家のごまかしである」という声も聞きます。国際世論がここまで動いているので「やはり大変なことなんだ」と私は思いますが。このあたりはどうなのでしょう?
小島敏郎: 本屋さんに行くと、「環境のウソ」というような本ばかりですが、出版社に聞くと「そういう本しか売れないんです」と言われてしまうのです。IPCCの報告書は、きちんとした本が出ていないのです。これでは国際社会との認識のギャップが広がるのでいけないと感じています。
メディアは事件報道なので、すぐ忘れてしまいます。いわゆる検証があまりできていないのです。国内だけでなくて、もう少し「国際的に気候変動の科学の議論はどうなっているのか」という目で見ていった方がいいと思います。
海外では30代、40代の科学者が、どんどん気候変動の科学の分野に参入してきていますが、日本は学者の世界も年功序列になっていて、昔すごい実績を上げた先生がいつまでも偉いのです。科学の分野でも新しい人たちがもっと出てきて、そういう人たちの意見を取り上げていけば活性化するし、鎖国的な状況から世界に目が開かれていくのではないでしょうか。
いま、環境の何が問題なのか インデックス
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第1章 環境問題における国際交渉のリアリティを語る
2009年06月24日 (水)
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第2章 日本のグリーン・ニュー・ディールが陥りやすい落とし穴
2009年07月10日 (金)
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第3章 国際交渉に必要な意思と判断力
2009年07月27日 (月)
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第4章 国際的ルールをどのように合意に導いていくか
2009年08月10日 (月)
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第5章 国内政策の方向性と意思決定方式
2009年08月21日 (金)
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第6章 アメリカの環境政策の実現可能性
2009年09月03日 (木)
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第7章 なぜ「外圧」による「Change(政策転換)」しかできないか?
2009年09月17日 (木)
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第8章 国際社会で求められる日本という国の意思決定
2009年10月05日 (月)
該当講座
小島 敏郎(前環境省地球環境審議官)×竹中 平蔵(アカデミーヒルズ理事長)
地球温暖化問題が注目を集める中で環境関連の情報が氾濫しており、本質が見失われがちな現在、改めて「環境問題」とは何かを小島氏と竹中理事長に議論していただきます。
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