記事・レポート

完全デジタル化がもたらすメディア変革

~これからのテレビメディアはこう変わる:日本テレビの取り組み~

更新日 : 2009年05月22日 (金)

第8章 インターネット広告に期待されるブランディング

田村和人 日本テレビ放送網株式会社 編成局デジタルコンテンツセンター長

神 原: 先ほどクロスメディア広告の話がありましたが、インターネット広告は伸びるのではないかと言われ続け、アメリカではディスプレイ広告の量が減ってきているという話も出ています。どんな見通しをお持ちでしょうか。

田 村: 4マス媒体(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)に対する不信感は、実態よりも大きすぎると思うことが正直あります。だから、時間が経過することによってある程度取り戻せるかなという気はするのです。ただ、テレビでコマーシャルを流しても、お茶の間で家族全員が見てくれることを望めない時代だというのも事実ですよね。我々がクロスメディアを展開しているのも、そういったことに対応するつもりがあるのです。各企業の宣伝費用の問題は当然ありますが、バジェットが回復してきたときに、こちら側としてどういう態勢で対応できるかということです。

神 原: マス4媒体の広告がネットにシフトされている中で、クロスメディア展開を提案するには、どうしても広告代理店の提案力が重要になってくると思うのですが、何か課題とか期待とかはありますか。

田 村: 広告代理店は、やっぱりそういうことは肌で感じられていますし、いろいろな提案もいただいています。ただ、すごくいい実例が出てくるのはこれからだと思いますね。

神 原: 広告主からすると、テレビに期待するものとネットに期待するものは今までは違っていたと思うのですが、クロスメディアの広告タイアップのサイトだと、お客さまはどういったレポートを期待されているのでしょう。

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田 村: 当然ながら商品やサービスの認知率とか、最終的には購買ですよね。あとは、ブランディングを非常に期待なさっているところが多いのかなと思います。

神 原: ネットでのブランティング広告は、私も注目しています。そういったところで「日本テレビ」というブランドが持っているからこそできるブランディング広告、新しい広告みたいなものも可能性としてはあるのかなと期待しています。

それから、例えば新聞社がポータルにニュースコンテンツを提供しているのと同じように、日本テレビさんもYahoo!動画などにコンテンツ提供をしていらっしゃいますよね。そういったコンテンツ提供の目的や、Yahoo!動画やニコニコ動画とはどのような関係を築いていらっしゃるのかお伺いしたいのですが。

田 村: マイクロソフトもオープン化の路線に踏み出したように、我々も自分たちだけで閉じられる時代ではなくなってきたと思っています。

ですから、今Yahoo!動画に「第2日本テレビ」の一部のコンテンツをライセンスさせていただいているのですが、ランキングで『伊東家の裏ワザ・ベストセレクション』が4位に入っているのです(講座実施の2008年10月頃)。こういった真面目なコンテンツがきちんと4位に入っているのが嬉しかったですね。

自前主義に陥りたくないといった意味では、むしろ進めていきたいと思っています。


該当講座

完全デジタル化がもたらすメディア変革
〜これからのテレビメディアはこう変わる:日本テレビの取り組み 〜
田村和人 (日本テレビ放送網株式会社 編成局デジタルコンテンツセンター長)
神原弥奈子 (株式会社ニューズ・ツー・ユー 代表取締役)

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