記事・レポート

「東京オンリーピックができるまで」

更新日 : 2009年03月17日 (火)

第6章 プロデューサーとクリエーターの立場の違いからくる対立

東京オンリーピック
「男子親離れ」
(c)2008 東京オンリーピック連盟/国際オンリーピック委員会

亀田卓: DVDは割と自由が利くのですが、映画にもなったことでいろいろありました。例えば映画の尺の問題。何とか2時間切りたいなというのがプロデューサーサイドとしてあったのですけれど。

真島理一郎: そうですね。劇場で公開することになってから、各クリエーターさんに「短くしてくれ」という、つらいやりとりがあったんです。

僕は15組のクリエーターの代表みたいな立場だったので、クリエーティブ面は僕が守らなきゃ、というとこともあって、製作委員会側とのやりとりに苦労しました。最終的には海外の3作品を、もう泣く泣く外させてもらってですね。

自分の作品だったら訳ないのですが「やっぱり人の作品は切れない」と、劇場で収まらない3時間を超えるような総尺になってしまった。個々は凝縮された5分とか10分の作品なんで、もう切れない状態で、「でも切らないと成立しない」という話で、そこはもう悩みに悩みました。「ごめんなさい、これ以上はもうどうにもなりません」ということで、最終的に2時間20分になりました。

亀田卓: アメリカなんかだと、映画のファイナルカット権というのですけれど、最後に編集する権利はプロデューサーが持っているから、今回みたいなことがあったら、プロデューサーの方で1時間58分ぐらいにバッと切っちゃうんですけれど、日本の場合、映画監督がファイナルカット権を大体持っていますから、最終的に監督をプロデューサーが説得できない限りは監督の思ったようになりますね。

真島理一郎: プロデューサーの言っていること、本当によくわかるんですよ。「おっしゃることはよくわかるんだけれど、15人の代表として、ほかの人のは切れません!」と、もう半分意地になって頑張ってというか、譲らずに……。

亀田卓: そんなこともあったりしましたね。

真島理一郎: はい。でも結果的には、短くして正解だったなとは思います。劇場でお客さんに椅子に座らせっぱなしで3時間はさすがに拷問ですね。
(その7に続く、全8回)

※この原稿は、2008年9月30日にアカデミーヒルズで開催した「東京オンリーピックができるまで」を元に作成したものです。

該当講座

東京オンリーピックができるまで
真島理一郎 (映像作家/IDIOTS代表)
亀田卓 (デジタルハリウッド大学大学院教授 広告会社勤務/映画プロデューサー )

「only」+「pictures」=「onlypic」唯一無二のスポーツ映像。世界中を熱狂と興奮の渦に巻き込み、DVD販売累計50万枚を記録した大ヒット作「スキージャンプ・ペア」。その生みの親・真島理一郎待望の最新作「東京オンリーピック」。 本作では真島総監督のもと、国内外で活躍する個性派トップク....


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