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「東京オンリーピックができるまで」

更新日 : 2009年03月03日 (火)

第4章 好き嫌いが分かれてもいい。自分が本当に好きなことにこだわる

亀田卓さん
亀田卓: 北京五輪の開会式と『東京オンリーピック』の両方を見た人が、「かなり似ていた」と何人も言っていました。

真島理一郎: そうですね、似ているところがありましたね。こっちはCGにしかできないことをやろうと思って無茶をやったのですが、向こうもCG使っていた。あれはちょっとショックでしたね。

僕は録画した開会式を見て、「やっぱり人間の力にはかなわないや」と思って感動したんですよ。マスゲームとか、どんどん足跡が近づいてくる花火の演出とか。

亀田卓: 花火がCGだった、と。

真島理一郎: 今回、僕は会場全体が聖火台になるというのをやりたくて最後に会場をバンバン燃やしたのですが、それでも火薬の量もやっぱりチャン・イーモウに負けましたね。さすが中国、4000年の歴史!

『開会式』はちょっと間違ったら本当にこうなってしまうんじゃないか、みたいな間違ったエスカレートの方向を描けたのはよかったですね。

亀田卓: 個別の競技『男子親離れ』は、真島さんが考えたわけですね?

真島理一郎: はい。『スキージャンプ・ペア』とは違う面白さを出したかったんです。ハンマー投げの選手って、投げるとき叫ぶじゃないですか、そこで何を叫ばせようかということで、やっぱり、男が一番恥も外見も忘れて叫ぶ言葉は「お母さん」だろうと。

亀田卓: ハンマー投げの試合を見た後にこれ見たら、本当に笑いました。

真島理一郎: あの"叫びシーン"が見せ場だったんです。あとは全部これを見せるための前段。しっとりとした母との別れ、大の男が最後の別れの言葉を叫ぶ姿、というものを見せたかったんです。

亀田卓: デジタルハリウッドの後輩の大学4年生の澤田君と一緒に、『男子ヒューマニズム』という作品をつくりましたね?

真島理一郎: はい。コマ録りでしか出せない面白さに昔からチャンレンジしたかったのですが、僕は経験がないので、デジタルハリウッドで面白いパペットをやっていた澤田君と一緒に作っていきました。

『男子ヒューマニズム』はボーリングによく似た競技なんです、要するに人間がピンのように並んで、そこにいろいろなものをぶつけるんですね。「何を投げてもいい」という設定で、その物がだんだんエスカレートしていくということで、物がぶつかる瞬間だけは動画で撮っているんですよ。野球のボールなどを思いっきり人形にぶつけてぶっ壊したい、というだけでつくり続けたバイオレンスな作品です。

亀田卓: あのへんは好き嫌いがかなりあると思いますけれどね。

真島理一郎: 『スキージャンプ・ペア』に比べると、マニアックというか、僕の趣味が出ちゃったところもあって、本当に好き嫌いが分かれる作品ではあるでしょう。
(その5に続く、全8回)

※この原稿は、2008年9月30日にアカデミーヒルズで開催した「東京オンリーピックができるまで」を元に作成したものです。

該当講座

東京オンリーピックができるまで
真島理一郎 (映像作家/IDIOTS代表)
亀田卓 (デジタルハリウッド大学大学院教授 広告会社勤務/映画プロデューサー )

「only」+「pictures」=「onlypic」唯一無二のスポーツ映像。世界中を熱狂と興奮の渦に巻き込み、DVD販売累計50万枚を記録した大ヒット作「スキージャンプ・ペア」。その生みの親・真島理一郎待望の最新作「東京オンリーピック」。 本作では真島総監督のもと、国内外で活躍する個性派トップク....


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