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「アメリカ大統領選挙から、アメリカ社会を考える」

更新日 : 2008年07月07日 (月)

第18章 中国が目指しているのは「超大国」。「経済大国」ではない!

ジェラルド・カーティスさんのライブラリートーク

ジェラルド・カーティス: この前、中国のある戦略研究所に呼ばれて行きました。胡錦濤が5月に日本に来る前に、日中関係について私の意見を聞きたいということで、2日間レクチャーをしてきました。

その間、彼らも本音を出していました。私が今回あらためて思ったのは、今、中国は軍事予算を毎年17、18%増やしていますが、これは台湾の問題があるからではないのです。中国はアメリカに並ぶ超大国になるという長期戦略を持っています。

昔、1983年に鄧小平に会ったことがあります。台湾問題について聞いたときの、彼の返事が非常に印象的でした。「これは50年は掛かる、いや、100年掛かるかもしれない。けど、いずれ台湾は中国に戻ってくる」と。鄧小平の時間の概念は50年は中期的、長期的というのは100年なんですね。日本人やアメリカ人はずっと気が短くて、長期は10年、中期は5年ぐらいですが、中国人は長い時間を掛けた戦略を当然のこととしてやっているんです。

超大国になろうとする中国に対してどういう戦略を持てばいいのか。これは日本とアメリカがよく考えて、戦略的な対話をして中国を巻き込まなければなりません。また、上手くバランスを取りながら、中国の人権問題、チベットの問題などについても上手に対話しなければなりません。これは非常に難しいことで す。

あまりロマンティシズムに陥るような対中の見方をしないで、現実主義的な目で見たほうがいい。日本と違って経済大国になろうとしている国ではないの です。「政治大国」「軍事大国」「経済大国」——つまりアメリカのような超大国になろうとしているんだという前提の上に立たないと、いい戦略を練ることが できません。中国を敵に回せと言っているのではないんです。仲良くしなければならないと思っている面もありますから。

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