記事・レポート
日本型ビジネス文化の特徴とグローバルコミュニケーションスキル
世界で活躍するために必須のノウハウを解説:ロッシェル・カップ
BIZセミナーグローバル文化ビジネススキル
更新日 : 2014年07月25日
(金)
第7章 ネガティブ・フィードバックの3つのステップ
具体的に事実のみを伝える
ロッシェル・カップ: ネガティブ・フィードバックには、基本となる3つのステップがあります。フィードバックの目的は指導と改善を促すことですから、相手がイメージしやすいよう、事実や理由を明確に説明することが大切です。
1つ目のステップは、「問題行動を指摘する」です。指摘する内容は、客観的な事実だけに絞ります。重要な点は、形容詞を使わないことです。「くだらないミスをして」など人格を否定するような形容詞を使うと、相手が感情的になり、論点が別の方向に外れてしまいます。直接的な表現や憶測はできる限り避け、何が問題であったかについて、事実だけを分かりやすく指摘するのです。
2つ目のステップは、「望ましくない行動がもたらした結果を指摘する」です。このステップは、「なぜ、その行動が望ましくないのか」に関する理由の説明となります。日本的な感覚で指導を行う場合は、「皆まで言わなくても分かるだろう」という意識が働きがちです。しかし、「相手は日本の文化の当たり前を知らない」という前提に立ち、具体的に説明することが大切になります。
3つ目のステップは、「今後どのような行動をとってほしいのかを伝える」です。この場合、言い方によっては命令とも依頼とも受け取られてしまうことに注意しましょう。部下に対しては「〜してください」「〜してほしい」でも良いですが、それ以外の人には「〜してもらえるとありがたい」といった柔らかいニュアンスで伝えます。ここでも、期待する行動とそれが必要である理由、その行動がもたらす結果を具体的に伝えることがポイントになります。
日本には「叱る」という言葉があります。多くの国では、叱るとは親から子どもに向かうものであり、大人同士には馴染まないと考えられています。荒い言葉遣いや感情的な表現は、相手の自尊心を傷つけ、人間関係にも悪い影響を与えます。事実と問題点を指摘しながらも、相手の感情を傷つけないよう、尊敬を込めた表現を用いるようにしましょう。
それでは、ネガティブ・フィードバックについて練習してみましょう。皆さんが普段接している外国人をイメージし、その人に対するネガティブ・フィードバックを3つのステップで書き出し、お隣の方と意見交換してみてください。最後に、どなたかプレゼンテーションしていただけますか?
会場からのコメント(1): 先日、短時間のミーティングがあり、各自の発言時間が限られていました。しかし、外国人の女性社員が意見を述べ続け、そのままミーティング時間が終了してしまいました。積極的に物事にコミットする姿勢は高く評価できることです。その反面、周りの人の意見を聞く、あるいは自分の発言に対するフィードバックを得るチャンスを逃していると感じました。私としては、全員に意見を出してもらうことで、より良いアイデアも早く出せると考えています。また、1人ひとりが発言することで、チームワークやコミットメントは高まっていくとも考えています。こうした流れで、彼女にフィードバックしたいと思います。
ロッシェル・カップ: 非常によくできています。事実の説明や問題行動の理由が明確で、改善に向けた指導がどのような効果につながるのかについても明確に提示できています。また、最初に相手の行動の良い点を評価していることも素晴らしいと思います。
会場からのコメント(2): 私の会社では米国で開発されたIT関連の商品を、日本の顧客に販売しています。トラブルサポート業務には多くの外国人がいますが、問い合わせに対する回答が遅くなり、顧客に迷惑をかけることがたびたびありました。最初に事実として、問い合わせから回答までにかかった日数や時間を指摘します。それが問題行動になる背景については、「日本の顧客はトラブルに対してフラストレーションを感じやすく、一刻も早く改善・解決につながる情報を求めている」などと説明します。そのうえで、「今後、質問が来たときは2日以内に返答してほしい」と説明します。
ロッシェル・カップ: 非常に分かりやすい流れでした。実は、時間に対する考え方もさまざまです。日本のように「時間は貴重だ」と考える文化もあれば、ラテンアメリカやアフリカ諸国のように「時間は十分にある」と考える文化もあります。時間に対する尺度の違いから生じる問題は、たくさんあるのです。したがって、相手への説明のなかに、日本人の時間感覚に関する説明を加えると、より深い理解につながると思います。
ロッシェル・カップ: 非常によくできています。事実の説明や問題行動の理由が明確で、改善に向けた指導がどのような効果につながるのかについても明確に提示できています。また、最初に相手の行動の良い点を評価していることも素晴らしいと思います。
会場からのコメント(2): 私の会社では米国で開発されたIT関連の商品を、日本の顧客に販売しています。トラブルサポート業務には多くの外国人がいますが、問い合わせに対する回答が遅くなり、顧客に迷惑をかけることがたびたびありました。最初に事実として、問い合わせから回答までにかかった日数や時間を指摘します。それが問題行動になる背景については、「日本の顧客はトラブルに対してフラストレーションを感じやすく、一刻も早く改善・解決につながる情報を求めている」などと説明します。そのうえで、「今後、質問が来たときは2日以内に返答してほしい」と説明します。
ロッシェル・カップ: 非常に分かりやすい流れでした。実は、時間に対する考え方もさまざまです。日本のように「時間は貴重だ」と考える文化もあれば、ラテンアメリカやアフリカ諸国のように「時間は十分にある」と考える文化もあります。時間に対する尺度の違いから生じる問題は、たくさんあるのです。したがって、相手への説明のなかに、日本人の時間感覚に関する説明を加えると、より深い理解につながると思います。
日本型ビジネス文化の特徴とグローバルコミュニケーションスキル
インデックス
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第1章 日本型ビジネス文化は、海外からどう見られている?
2014年07月02日 (水)
-
第2章 異文化コミュニケーションの基本的な考え方
2014年07月07日 (月)
-
第3章 直接的/間接的なコミュニケーション・スタイル
2014年07月14日 (月)
-
第4章 ビジネスコミュニケーションにおける言葉への依存度
2014年07月16日 (水)
-
第5章 異文化コミュニケーションに役立つ「フィードバック」
2014年07月18日 (金)
-
第6章 ネガティブ・フィードバック〜相手の行動に不満をもったとき
2014年07月23日 (水)
-
第7章 ネガティブ・フィードバックの3つのステップ
2014年07月25日 (金)
-
第8章 ポジティブ・フィードバック〜相手の望ましい行動を評価する
2014年07月28日 (月)
-
第9章 異文化コミュニケーションQ&A
2014年08月01日 (金)
該当講座
Rochelle Kopp (ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社 社長)
Rochelle Kopp(ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社 社長)
本セミナーでは来日するカップ氏をお招きして、グローバルにビジネスを展開する際に日本型文化が海外でどう見られており、コミュニケーションで気をつける点はどこにあるのか、ワークショップを交えながらお話いただきます。
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