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日本型ビジネス文化の特徴とグローバルコミュニケーションスキル

世界で活躍するために必須のノウハウを解説:ロッシェル・カップ

BIZセミナーグローバル文化ビジネススキル
更新日 : 2014年07月23日 (水)

第6章 ネガティブ・フィードバック〜相手の行動に不満をもったとき


 
人はフィードバックを受けたい

ロッシェル・カップ: 部下が望ましくない行動を続けているとき、日本人に多い傾向は「いつか自分で気づき、直してくれるだろう」と期待することです。しかし、直接的なコミュニケーションを好む人は、ネガティブ・フィードバックを行わなければ、自分から行動を変えることはありません。

たとえば、ある日本人上司が、外国人の部下の問題行動に対して不満をもっている。しかし、上司は直接指摘しない。部下はまったく気にしていないため、我慢比べのようになり、最終的に上司は「この人は改善する意思がない、辞めさせるべきだ」と考えてしまう。一度もフィードバックをせずに、ある日突然解雇を告げてしまうのです。

部下としては、フィードバックがないのは自分に悪い点はないからだ、と考えているため、突然の解雇通告に対して大きなショックを受けます。そのため、差別など仕事以外の問題により解雇されたと誤解し、訴訟を起こしてしまうことさえあります。寝耳に水のような解雇の仕方は、やはりお勧めできません。このようなケースでは、望ましくない行動が明らかになった時点で、早めにフィードバックを行い、相手に改善するチャンスを提供することが重要です。

そもそも多くの外国人は、異なる背景をもつ上司や同僚が、自分の仕事ぶりをどのように捉えているのかを知りたいと考えています。したがって、正しい形で行われるネガティブ・フィードバックは、自分を成長させてくれるものであると認識しているため、むしろ、フィードバックを望んでいるとも言えるのです。
できるだけ早期かつ具体的に伝える

ロッシェル・カップ: ネガティブ・フィードバックは、相手の問題点を上手に指摘し、改善を促していくためのマネジメント方法です。まずはそのポイントをご紹介します。

問題行動が起きたら、すぐにフィードバックすることが大切です。時間が空くほど記憶が曖昧になり、相手に反論の余地を与えてしまい、問題が複雑化する可能性が高くなります。また、早期の対応は、自らのストレスにも関係します。問題行動を繰り返されるうちに、自分の不満も蓄積し、どこかでパンクしてしまうかもしれません。自らの心を軽くする意味でも、早めのフィードバックが大切になるのです。

日本の場合、人が集まるオフィスや会議の場で特定の個人を叱責するといった話をよく聞きますが、それはお勧めできません。特に多くの外国人にとり、人前で叱責されるのは最大の侮辱と言えます。必ず1対1の場を設けて話し合いましょう。なお、メールを使った間接的なネガティブ・フィードバックは避けましょう。直接会う機会がとれなければ、電話で話すようにしてください。

また、ネガティブ・フィードバックを行う際は、事前に「フィードバックを行いたいので、後でオフィスに来てください」などと、ひと声かけましょう。ワンクッションを与えることで、相手に聞く姿勢をもってもらうことができます。さらに、十分話し合えるタイミング、時間帯を選んだほうが良いでしょう。日本人同士の場合は、部下が謝罪の言葉を述べて終わり、といったケースが多いと思います。しかし、外国人の場合は質問をしたり、自分なりの意見を述べたりすることは当然の行為だと考えています。ですから、相手の思いを深く知る絶好の機会と考え、時間にも心にも十分な余裕をもつことが大切です。


該当講座

日本型ビジネス文化の特徴とグローバル・コミュニケーション・スキル
Rochelle Kopp (ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社 社長)

Rochelle Kopp(ジャパン・インターカルチュラル・コンサルティング社 社長)
本セミナーでは来日するカップ氏をお招きして、グローバルにビジネスを展開する際に日本型文化が海外でどう見られており、コミュニケーションで気をつける点はどこにあるのか、ワークショップを交えながらお話いただきます。


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