記事・レポート
「世界の都市総合ランキング 2011」で4位だった東京の将来性は?
~東京の磁力を回復し、優秀な人材や企業を惹きつけろ~
東京政治・経済・国際経営戦略
更新日 : 2012年04月13日
(金)
第7章 東京のブレークスルー・ポイント~例えば多様性~
竹中平蔵: 「東京は何を伸ばせばいいのか。何がブレークスルーになるのか」ということに関しては、みなさんどうお考えですか。
グレン・S・フクシマ: 東京のいい面を伸ばす策として「知的センターとしての東京」が考えられると思います。東京には大学がたくさんあるし、知的レベルも高い。でもシンガポールやニューヨーク、ロンドンに行って帰ってくると、日本では知的刺激をそれほど感じられません。それはなぜかというと、多様性がないからだと思います。多様な人たちがいると、それぞれがいろいろな意見を持っているので議論が起こります。それで刺激を受けるのです。東京はそういう環境を意図的につくれば、もっと活発になると思います。
猪瀬直樹: 先ほど「恐怖感」が挙げられていましたが、日本でこれは無理ですよ。例えばシンガポールは、マレーシアから「水の供給を止める」と言われたら生き残れない、だから水の会社をつくったわけです。韓国は人口が5,000万もないので国内市場が限られている、だからソンドなどに大都市をつくって海外から人を呼んだり、自分たちが海外に出て行ったりするわけです。そういう厳しさがあります。でも日本は人口が約1億3,000万人で、中途半端に国内市場が成立してしまうので、そういう恐怖心はなかなか出てきません。
今、日本は国民全員が東京電力の社員みたいになっているんです。「リスクを負わないで、定年まで勤めれば年金がもらえる。このままいくのが一番いい」と考えた結果、危機管理ができなくて、あの原発事故を起こしたわけです。なぜ日本は危機管理ができない国になったのかというと、戦争に負けた結果、戦争を想定外にしたからです。戦争を想定外にした世界というのは、おとぎの国の遊園地ですよ。そんなところに本当の危機管理なんてありません。それを反省しないといけない。
竹中さんはご存じだと思いますが、小泉純一郎さんって変人でしょう? 石原慎太郎さんも変人なんです(笑)。この2人ぐらい変わっていないとダメなんです、そうでないと東電の社員になっちゃうんです。こういう変人の下で動いた竹中さんや僕も変人になるわけですが、変人になりきらないと、多分日本は変えられないし、東京の魅力を引き出すこともできないと思います。
グレン・S・フクシマ: 私は東京の魅力を高めるための一番いい方法は、多様性を積極的に導入することだと思います。猪瀬さんがおっしゃった変人とか、多様な人たちにもっと責任を与えるのです。多様な人が東京にいないわけではありません。若者と女性が十分いるのですから、彼らがもっと活躍できる環境をつくり、そして外国人をもっと増やせばいいのです。そうすれば相当東京の活力は高まり、議論も起こるし、創造性も高まると思います。
私は2005年からエアバスというヨーロッパの会社に勤めています。84カ国の社員が働いている企業ですので、多様な力をどう管理し、どう経営していい結果を出すかという点で、私自身、多様性の強みや重要性を感じています。
猪瀬直樹: 少し付け加えると、日本人は大縄跳びとか、三十人三十一脚は上手ですよね。でもサッカーのように動きながらチームをつくるのは苦手。サッカーは野球のように守備位置が決まっているわけではないので、一人ひとりが論理的に動かないとゴールにつながりません。僕は長友(佑都)選手のファンなんですけど、彼がいつも必ずいい場所にいるのは、チームの中で論理的に動いているからです。
チームは一見まとまっているように見えても、必ずどこかに偏っているものです。だからフィールド上に空いている空間が必ずどこかにできてしまう。長友選手はそこにカバーに行っているんです。つまり、論理的なんです。それが変人と呼ばれるだけで、論理的であることが一番大事だと思います。
多様性というのは、得意技を持った個々人が、論理的に動いてチームを構成するということです。それを身に付けるには「変人と仕事をすること」と、「自分が変人であろうとすること」です。
グレン・S・フクシマ: 東京のいい面を伸ばす策として「知的センターとしての東京」が考えられると思います。東京には大学がたくさんあるし、知的レベルも高い。でもシンガポールやニューヨーク、ロンドンに行って帰ってくると、日本では知的刺激をそれほど感じられません。それはなぜかというと、多様性がないからだと思います。多様な人たちがいると、それぞれがいろいろな意見を持っているので議論が起こります。それで刺激を受けるのです。東京はそういう環境を意図的につくれば、もっと活発になると思います。
猪瀬直樹: 先ほど「恐怖感」が挙げられていましたが、日本でこれは無理ですよ。例えばシンガポールは、マレーシアから「水の供給を止める」と言われたら生き残れない、だから水の会社をつくったわけです。韓国は人口が5,000万もないので国内市場が限られている、だからソンドなどに大都市をつくって海外から人を呼んだり、自分たちが海外に出て行ったりするわけです。そういう厳しさがあります。でも日本は人口が約1億3,000万人で、中途半端に国内市場が成立してしまうので、そういう恐怖心はなかなか出てきません。
今、日本は国民全員が東京電力の社員みたいになっているんです。「リスクを負わないで、定年まで勤めれば年金がもらえる。このままいくのが一番いい」と考えた結果、危機管理ができなくて、あの原発事故を起こしたわけです。なぜ日本は危機管理ができない国になったのかというと、戦争に負けた結果、戦争を想定外にしたからです。戦争を想定外にした世界というのは、おとぎの国の遊園地ですよ。そんなところに本当の危機管理なんてありません。それを反省しないといけない。
竹中さんはご存じだと思いますが、小泉純一郎さんって変人でしょう? 石原慎太郎さんも変人なんです(笑)。この2人ぐらい変わっていないとダメなんです、そうでないと東電の社員になっちゃうんです。こういう変人の下で動いた竹中さんや僕も変人になるわけですが、変人になりきらないと、多分日本は変えられないし、東京の魅力を引き出すこともできないと思います。
グレン・S・フクシマ: 私は東京の魅力を高めるための一番いい方法は、多様性を積極的に導入することだと思います。猪瀬さんがおっしゃった変人とか、多様な人たちにもっと責任を与えるのです。多様な人が東京にいないわけではありません。若者と女性が十分いるのですから、彼らがもっと活躍できる環境をつくり、そして外国人をもっと増やせばいいのです。そうすれば相当東京の活力は高まり、議論も起こるし、創造性も高まると思います。
私は2005年からエアバスというヨーロッパの会社に勤めています。84カ国の社員が働いている企業ですので、多様な力をどう管理し、どう経営していい結果を出すかという点で、私自身、多様性の強みや重要性を感じています。
猪瀬直樹: 少し付け加えると、日本人は大縄跳びとか、三十人三十一脚は上手ですよね。でもサッカーのように動きながらチームをつくるのは苦手。サッカーは野球のように守備位置が決まっているわけではないので、一人ひとりが論理的に動かないとゴールにつながりません。僕は長友(佑都)選手のファンなんですけど、彼がいつも必ずいい場所にいるのは、チームの中で論理的に動いているからです。
チームは一見まとまっているように見えても、必ずどこかに偏っているものです。だからフィールド上に空いている空間が必ずどこかにできてしまう。長友選手はそこにカバーに行っているんです。つまり、論理的なんです。それが変人と呼ばれるだけで、論理的であることが一番大事だと思います。
多様性というのは、得意技を持った個々人が、論理的に動いてチームを構成するということです。それを身に付けるには「変人と仕事をすること」と、「自分が変人であろうとすること」です。
「世界の都市総合ランキング 2011」で4位だった東京の将来性は? インデックス
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第1章 都市の“磁力”が優秀な人材や企業を惹きつける
2012年04月03日 (火)
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第2章 東京は経営者からの評価が低い
2012年04月05日 (木)
-
第3章 迫り来るアジアの都市
2012年04月06日 (金)
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第4章 東京の実力と将来性~水道技術と天然ガス発電所~
2012年04月09日 (月)
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第5章 日本はグローバル競争に対する危機感が足りない
2012年04月10日 (火)
-
第6章 東京の弱点を克服する方法
2012年04月12日 (木)
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第7章 東京のブレークスルー・ポイント~例えば多様性~
2012年04月13日 (金)
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第8章 世界に類を見ない「東京モデル」の行方
2012年04月16日 (月)
該当講座
東京の磁力を回復する
~「世界の都市総合力ランキングGPCI-2011」からみた東京の未来展望~
猪瀬直樹 (東京都副知事・作家)
GLEN S. FUKUSHIMA (エアバス・ジャパン株式会社 取締役会長 元在日米国商工会議所会頭 )
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学名誉教授)
市川宏雄 (明治大学専門職大学院長 公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授 )
GLEN S. FUKUSHIMA (エアバス・ジャパン株式会社 取締役会長 元在日米国商工会議所会頭 )
竹中平蔵 (アカデミーヒルズ理事長/慶應義塾大学名誉教授)
市川宏雄 (明治大学専門職大学院長 公共政策大学院ガバナンス研究科長・教授 )
猪瀬 直樹(東京都副知事)グレン・S・フクシマ(エアバス・ジャパン㈱取締役会長)竹中平蔵(慶應義塾大学教授)市川 宏雄(明治大学専門職大学院長)
東京」の磁力を回復させ世界から人々を呼び込むために、何が課題で、何をすべきかを明確にすることは、日本全体の未来を考えるうえで、必須命題ではないでしょうか。『都市総合力ランキング』という客観的データを基に、多面的な視点からの意見を交わし、日本そしてグローバル・シティ「東京」が緊急に解決すべき課題を明らかにします。
東京
政治・経済・国際 経営戦略
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