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橘・フクシマ・咲江氏が語る、グローバル人財獲得競争・最前線

~ヘッドハンター第一人者に聞く、世界で必要とされる人財~

アカデミーヒルズセミナー政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2011年11月25日 (金)

第8章 必要なのは「外柔内剛」

橘・フクシマ・咲江氏

橘・フクシマ・咲江: 最後に、私自身が本当に痛い思いをして学んだことを皆さんにお伝えしたいと思います。多様性への対応能力の中で非常に大切なのは、わかってもらう努力をすることです。人は聞きたいことしか聞きません。自分の立場で理解しやすいこと、聞きたいことしか記憶に残らないのです。社長業をしていて一番感じたのは、わかってもらう大変さです。

Aと言ったときに、ストレートにAと理解してくれる人は100人に1人です。みんなそれぞれの立場や考え方、信じたいことに従って聞きますので、AがA'になり、やがてB'になる「伝言ゲーム」が起こるのです。例えば大企業で幹部が中間職に言って、中間職が部下に言ってとなると、中間職の人の理解や「こうしてほしい」「こうなってほしい」という希望が入ってくるので、最後に部下に伝わるときには話が全く違っていることがよくあります。

わかってもらう努力をするためには、「あの人はアメリカ人だから」などと人を先入観で決めつけないことです。それから事実ベースで話をすることです。事実に対する解釈は人の数だけありますが、何が起こったのかという事実は1つしかありません。「コップに半分しか水がない」と見るか「半分もある」と見るか、それと同じです。だから事実という万国共通のデータで話をすることです。

それから、これは私が信条としていることですが、人によって態度を変えないことが大切です。かつて、私には大変丁寧に話してくださるのに、私の秘書に対しては乱暴な口をきく方がいらっしゃいました。人によって態度を変えるというのは、やはりいいことではありません。

「きれいな言葉は丁寧な気持ちをつくる」ということも、コミュニケーションを取るうえで大切です。サーチの仕事では、どうしても「あの人は」とか「あの候補者は」と人を商品のように話してしまいがちですが、たかが言葉、されど言葉です。私は部下に報告をしてもらうときでも「あの候補者の方は、こうおっしゃいました」と話してもらうようにしています。そうするとこちらも気持ちがいいですし、その候補者の方に対する気持ちが全く違ってきます。

私はグローバル・リーダーの要件として「外柔内剛」という言葉をずっと使ってきましたし、私自身もそうありたいと思い、スローガンにしています。この言葉の意味は、内には絶対に譲れない自分の価値観を持っているけれど、外では国や場所に合わせて柔軟に、したたかに対応していくということです。

今回の災害で海外メディアにおいて「日本人は大変落ちついていて、礼儀正しくて~」という報道が随分されました。「高潔さと品位をもって行動する」ことは、日本人の特性として失いたくないことです。そういう真面目さはぜひとも内剛の部分で譲らないという信念のもと確保しつつ、外は柔らかく、柔軟に、したたかに対応することがグローバル・リーダーには必要です。

私の夢は、日本人にGEやコカ・コーラといったグローバル企業の社長になってほしいということです。そして、日本の女性には、商社などの日本の大企業の社長になって活躍してほしいと思っています。ご清聴ありがとうございました。(終)

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橘・フクシマ・咲江 (G&S Global Advisors Inc. 代表取締役社長)

橘・フクシマ・咲江(G&S Global Advisors Inc.代表取締役社長)
本セミナーでは日本のヘッドハンター第一人者として世界的に知られている、橘・フクシマ・咲江氏をお招きします。世界の人材市場のいまについて、そしてグローバルな視点から日本の人財開発・日本人のキャリア形成に必要なことをお話いただきます。


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