記事・レポート
橘・フクシマ・咲江氏が語る、グローバル人財獲得競争・最前線
~ヘッドハンター第一人者に聞く、世界で必要とされる人財~
アカデミーヒルズセミナー政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2011年11月14日
(月)
第1章 チャレンジがキャリアを育てる
日本にはグローバルな人財が足りない ーー ヘッドハンターとして長年活躍してきた橘・フクシマ・咲江氏は、この問題に悩まされ続けてきたと言います。企業のニーズと転職希望者のミスマッチはなぜ起こるのか、必要とされる人財の要件とは何か、どうすればなれるのか。グローバル化時代を生き抜くキャリア戦略術を徹底解説!
講師:橘・フクシマ・咲江 G&S Global Advisors Inc. 代表取締役社長
橘・フクシマ・咲江: きょうは「グローバル・リーダーの要件」というテーマでお話をしたいと思っています。初めに、私がどういうキャリアを積んできたのかをご説明して「私の視点」をご理解いただき、それから「グローバルな人財市場で何が起きているのか」「求められているグローバル・リーダーの要件とは何か」「グローバル・リーダーになるにはどうすればいいのか、どう育成すればいいのか」というお話をします。
まず私の経歴ですが、大学時代に出席した「日米学生会議」で人生を変える大きな出来事が起きました。後に夫となるグレン・S・フクシマに出会ったのです。二人は大学卒業と同時に結婚しましたが、夫は日本でしばらく仕事をしたらアメリカの大学院に行くと言っていましたので、私は自分がアメリカでできる仕事は何だろうと考えて、日本語教師ならと思い、国際基督教大学大学院に行って日本語教授法を学びました。
その後ハーバード大学で日本語講師をしながら、これを一生の仕事にしようと思い、同大学院で教育学の修士を取得しました。ところが学生の友人が「新設のアメリカと日本の経営コンサルティング会社にこないか」と誘ってくれたのです。この会社は「日本の専門家でビジネスを知らない人と、ビジネスの専門家で日本のことを知らない人とでチームを組み、お互いに教え合おう」という趣旨で設立された面白い会社でした。
私はどうするか悩みましたが、夫に「やってみなければわからないじゃない? きっと向いているよ」と背中を押され、誘われた会社、ブラックストン・インターナショナルに入ったのです。入ってみたら、これが大変おもしろくてビジネスに興味を持ちましたので、今度はスタンフォードの経営大学院に行ってMBAを取りました。
その後ベイン・アンド・カンパニーに入り、1年間ボストンで仕事をした後に日本に転勤になりました。当時、米国通商代表部で日本との通商交渉を担当していた夫は毎月1、2回は来日していたので会えましたが、民間に戻ることになり、今後あまり来日できないとのことでしたので、私もべインを辞めてアメリカに戻りました。ところが、夫が転職先の米国企業の日本支社に配属になり、また日本に戻ることとなりました。そして、かつてべインで一緒に仕事をしていた元同僚に誘われてコーン・フェリー・インターナショナルに入社したのです。最初は自信がありませんでしたので、昼も夜も土日も関係なく一所懸命仕事をしました。不安だったのです。するとクライアントさんにもチームにも恵まれるようになり、結果アジアで一番の売上を上げるという夢にも思わなかった状況になりました。
1995年にはアメリカ本社の取締役に選挙で選ばれ、12年間取締役を務めました。この経験は、その後さまざまな企業の社外取締役を務めるうえでの基礎になりました。2000年には日本法人の社長に、2009年には会長に就任。2010年からはアジア・パシフィック地域の最高顧問として仕事をすると同時に、G&S Global Advisors Inc.という自分の会社をつくり、会社同士の契約としてもらいました。この会社では社外取締役のガバナンスの仕事に加え、企業の人財のグローバル化戦略のお手伝いをしています。
最近は経済同友会の副代表幹事として人材育成・活用委員会や、文科省の人材委員会の委員もしており、忙しくしています。これはやはり、グローバル人財の必要性が日本でも認識されてきたからだと思います。
まず私の経歴ですが、大学時代に出席した「日米学生会議」で人生を変える大きな出来事が起きました。後に夫となるグレン・S・フクシマに出会ったのです。二人は大学卒業と同時に結婚しましたが、夫は日本でしばらく仕事をしたらアメリカの大学院に行くと言っていましたので、私は自分がアメリカでできる仕事は何だろうと考えて、日本語教師ならと思い、国際基督教大学大学院に行って日本語教授法を学びました。
その後ハーバード大学で日本語講師をしながら、これを一生の仕事にしようと思い、同大学院で教育学の修士を取得しました。ところが学生の友人が「新設のアメリカと日本の経営コンサルティング会社にこないか」と誘ってくれたのです。この会社は「日本の専門家でビジネスを知らない人と、ビジネスの専門家で日本のことを知らない人とでチームを組み、お互いに教え合おう」という趣旨で設立された面白い会社でした。
私はどうするか悩みましたが、夫に「やってみなければわからないじゃない? きっと向いているよ」と背中を押され、誘われた会社、ブラックストン・インターナショナルに入ったのです。入ってみたら、これが大変おもしろくてビジネスに興味を持ちましたので、今度はスタンフォードの経営大学院に行ってMBAを取りました。
その後ベイン・アンド・カンパニーに入り、1年間ボストンで仕事をした後に日本に転勤になりました。当時、米国通商代表部で日本との通商交渉を担当していた夫は毎月1、2回は来日していたので会えましたが、民間に戻ることになり、今後あまり来日できないとのことでしたので、私もべインを辞めてアメリカに戻りました。ところが、夫が転職先の米国企業の日本支社に配属になり、また日本に戻ることとなりました。そして、かつてべインで一緒に仕事をしていた元同僚に誘われてコーン・フェリー・インターナショナルに入社したのです。最初は自信がありませんでしたので、昼も夜も土日も関係なく一所懸命仕事をしました。不安だったのです。するとクライアントさんにもチームにも恵まれるようになり、結果アジアで一番の売上を上げるという夢にも思わなかった状況になりました。
1995年にはアメリカ本社の取締役に選挙で選ばれ、12年間取締役を務めました。この経験は、その後さまざまな企業の社外取締役を務めるうえでの基礎になりました。2000年には日本法人の社長に、2009年には会長に就任。2010年からはアジア・パシフィック地域の最高顧問として仕事をすると同時に、G&S Global Advisors Inc.という自分の会社をつくり、会社同士の契約としてもらいました。この会社では社外取締役のガバナンスの仕事に加え、企業の人財のグローバル化戦略のお手伝いをしています。
最近は経済同友会の副代表幹事として人材育成・活用委員会や、文科省の人材委員会の委員もしており、忙しくしています。これはやはり、グローバル人財の必要性が日本でも認識されてきたからだと思います。
橘・フクシマ・咲江氏が語る、グローバル人財獲得競争・最前線 インデックス
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第1章 チャレンジがキャリアを育てる
2011年11月14日 (月)
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第2章 BRICsの台頭で、グローバルな人財市場は大きく変化した
2011年11月15日 (火)
-
第3章 日本にはグローバルな人財が決定的に不足している
2011年11月17日 (木)
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第4章 グローバル・リーダーの要件とは?
2011年11月18日 (金)
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第5章 グローバルなプロフェッショナルの変革者の要件とは?
2011年11月21日 (月)
-
第6章 グローバル・リーダーになるには
2011年11月22日 (火)
-
第7章 実際に成功したエグゼクティブの共通点
2011年11月24日 (木)
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第8章 必要なのは「外柔内剛」
2011年11月25日 (金)
該当講座
academyhills + Hills Life presents 知の人、知の時間
グローバル人財獲得競争・最前線 ~ヘッドハンター第一人者に聞く、世界で必要とされる人財~
橘・フクシマ・咲江 (G&S Global Advisors Inc. 代表取締役社長)
橘・フクシマ・咲江(G&S Global Advisors Inc.代表取締役社長)
本セミナーでは日本のヘッドハンター第一人者として世界的に知られている、橘・フクシマ・咲江氏をお招きします。世界の人材市場のいまについて、そしてグローバルな視点から日本の人財開発・日本人のキャリア形成に必要なことをお話いただきます。
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