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グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた

辻野晃一郎氏が語る「真のグローバル企業」とは?

アカデミーヒルズセミナー政治・経済・国際キャリア・人
更新日 : 2011年10月28日 (金)

第8章 クラウド導入の肝は、経営のスピードアップ

辻野晃一郎氏

辻野晃一郎: 「クラウドが世の中を変えている1つの大きなキーワードだ」というお話しをしました。クラウドでは手元でやっていたことを全部サーバー側でできるので、ユーザーは手ぶらでいいわけです。クラウドに重要なデータを預けておけば、津波で被災してもデータがなくなることはありません。もちろん、移行期ですからいろいろ課題はありますが、クラウドは我々の仕事や生活にとってすぐれた考え方であり、すぐれたインフラだと思います。

しかし、企業がクラウドを“ITのインフラ”としての視点のみで導入し、それまでインハウスでやっていたものを単にクラウドに置き換えるというだけでは十分ではありません。企業がクラウドを導入する本質は、経営のスピードを上げる点にあります。情報のシェアを促進して経営のスピードを上げるのです。

例えば、このセミナーの様子を今ツイッターで発信している人がいるかもしれませんが、ネットを使えばここにいない人といくらでもシェアできます。同じように、会社の会議中にクラウドにある同じドキュメントに全員でアクセスして一緒に議事録をつくり上げて、それを全社に公開すれば、出席していない人とも会議の内容や結論をシェアできます。

しかし文書を全社に公開するとき、まずは課長の承認、次に部長の承認、それから担当役員の承認……という具合では、いくらクラウドを導入してもそのよさを活かせません。クラウドを導入する目的が、最終的には経営のスピードを上げるということだとすれば、クラウドの導入と一緒に組織のマネジメントスタイルやワークスタイルも変えなければいけないのです。ここが一番重要です。

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辻野晃一郎
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辻野晃一郎 (アレックス株式会社 代表取締役社長 兼 CEO)

辻野 晃一郎(アレックス株式会社 代表取締役社長 兼 CEO)
ソニーとグーグルという時代を象徴する2つの企業において、「アナログからデジタルへ」、「ウォークマンからiPodへ」、「マイクロソフトからグーグルへ」という多くのパラダイムシフトが起きた時代の変化の渦中を駆け抜けてきた辻野氏に、真のグローバル企業にとって必要なことは何かを伺います。


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