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料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio

~創立者が見つけた「食を学ぶ」本当の楽しさとは~

BIZセミナーマーケティング・PR経営戦略キャリア・人
更新日 : 2011年04月07日 (木)

第6章 道を究める場ではなく、楽しく料理する仲間が集まる場

田中洋氏(左)志村なるみ氏(右)

田中洋: 今、お話しいただいたことを踏まえ、私が考えるABC Cooking Studio成功の秘訣を3つほどのポイントにまとめてみました。合っているかどうか診断してください。

まず1つめは、そもそも料理学校という業態が、志村さんが始めるまでは未開発の業態だったのではないかということです。料理教室というと、テレビに出てくるような、いかにも偉ぶった人が教えるイメージ。その点、ABC Cooking Studioは非常に民主的なシステムですよね。

志村なるみ: そうですね。私たちは「女性に好かれる女性を採用する」という項目を設けています。なぜなら、二十数万人もの生徒さんのほとんどが女性ですから。

それに、私たちの世代は、偉そうな先生の自慢話を聞きながら、手に入らないような高価な食材を用いた料理を作ることに価値を感じなかったんです。「自分たちが通いたい教室はどんなのだろう?」と考えたら、自然にこのようなコミュニティの場になったのです。

そして、口コミによる紹介で人が増えていき、今のようなびっくりするほどの人数になりました。実際、私たちは集客のための広告をほとんど行わないことで有名です。最初から一貫して、口コミで生徒さんの周りの方を集客してきました。

田中洋: 面白いと思うのは、日本人は非常にまじめで、料理も「包丁一丁で料理道を極めるのだ」と、道を追求しがちです。そうではなくて、みんなでワイワイ楽しんでやろうというスタイルですよね。つまり「料理+エンターテインメント」ということを意識されているのでしょうか。

志村なるみ: 例えば採用のとき、料理教室の講師を募集すると、お料理が好きな人や上手な人が面接に来ます。しかし、そういう女性の中には、私たちが求めているような「エンターテイナー」はあまりいませんでした。そのころは元気で明るい女性に料理を教えたほうが早いのか、料理のできる女性からエンターテイナーの力を引き出すべきなのかと模索しました。過去には、料理はあまりできないけれど人柄がすばらしいという講師も少なくありませんでした。その後、試行錯誤を繰り返しながら、現在の形に落ち着きました。

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該当講座

料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio

~創業者が見つけた「食を学ぶ」本当の楽しさとは~

料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio
志村なるみ (株式会社ABC Holdings 取締役/株式会社ABC Cooking Studio 創立者)
田中洋 (中央大学大学院ビジネススクール 教授 )

志村 なるみ(㈱ABC Holdings 取締役)
田中 洋(中央大学大学院ビジネススクール教授)
成熟市場において新たな価値を提案することでブランディングの成功を果たした企業からゲスト講師をお迎えする2回シリーズ。第1回目の本講座では、ポップなカラーに全面ガラス張りのスタジオに象徴されるABC Cooking Stduio の創立者、志村なるみ氏をお招きします。既にある市場の中で新たな女性向けのビジネスを拡大してきたプロセスについて伺うことで、成熟した市場においてブランドを構築する思考法について学びます。


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