記事・レポート
料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio
~創立者が見つけた「食を学ぶ」本当の楽しさとは~
BIZセミナーマーケティング・PR経営戦略キャリア・人
更新日 : 2011年03月30日
(水)
第1章 「自分たちが通いたい料理教室」だから日本一を目指す!
ポップなデザイン、ガラス張りのスタジオ——今や全国に100を超える教室を持つABC Cooking Studioは、「成熟した市場」と言える日本において、新たな価値を常に提案し続けながら、25年間かけて成長してきました。その創立者・志村なるみ氏が、これまでの道のりと、ブランディング成功の背景を語ります。
ゲスト講師:志村なるみ 株式会社ABC Holdings 取締役 株式会社ABC Cooking Studio 創立者
講師:田中洋 中央大学大学院ビジネススクール 教授
田中洋: 本日は「成熟市場におけるブランド構築シリーズ」の1回目として、ABC Cooking Studioの創立者である志村なるみさんにお話を伺います。
「成熟社会」「成熟経済」「閉塞状況」などと表現される今の時代ですが、このような状況下でも、これまで誰も考えなかったことを考え、起業を成功させたという例は少なからずあります。本日はこうした実例を参考に、「この時代に一体何を行えばうまく行くのか」ということを考えてみたいと思います。志村さんは色々なアイデアをお持ちだと思いますので、ぜひお話を聞かせていただきましょう。
志村なるみ: 本題に入る前に自己PRも兼ねて、ABC Cooking Studioを作った経緯についてお話しましょう。
ABC Cooking Studioは全国に112校を展開し(2010年10月15日現在)、社員および講師数は3,566名(2010年6月1日現在)、生徒数は約22万人と、料理教室としては国内最大級と言われています。
もともと私たちの事業は、静岡県藤枝市からスタートしました。藤枝市はサッカーの町として有名なところで、小学校や中学校のサッカークラブの活躍がいつも地元の新聞紙面をにぎわせていました。そのため全国大会で優勝するということ、つまり「日本一」になるということをいつも身近に感じていました。「会社を日本一に」という目標に向かってまっすぐがんばれたのは、このような環境がベースになっていると思います。
1985年11月、藤枝市の雑居ビルのワンフロアに1号店をオープンしました。実は、当初は料理教室ではなく、調理器具の販売を行っていました。たまたま仕入可能だったのがキッチンツールだったという、そんな理由からです。しかし、特に広告も行いませんでしたし、目立った特徴のあるすてきな器具というわけでもなかったので、全然売れませんでした。
そこで友人に相談してみたところ、「料理を作らないから調理器具など要らない。それに、台所に立つとお母さんに怒られる」と返ってきました。そのころ私は20歳くらいだったと思いますが、確かに当時は、台所に立つのはほとんど専業主婦だけでした。ほかの人が台所に立とうとすると、「汚れるから」などと簡単に追い出されてしまう、そんな時代でした。
つまり、私と同年代の女性たちは、料理はしてみたいけれど台所を自由に使わせてもらえないという状況だったのです。ハンバーグや肉じゃがを作ってみたいと思っても、そのチャンスが全然なかったのです。それなら、料理から教えてしまおうと思い立ちました。「私と同年代の女性が学びたい、通いたいと思えるスクールを」という想い、これがABC Cooking Studioのもとになっています。
「成熟社会」「成熟経済」「閉塞状況」などと表現される今の時代ですが、このような状況下でも、これまで誰も考えなかったことを考え、起業を成功させたという例は少なからずあります。本日はこうした実例を参考に、「この時代に一体何を行えばうまく行くのか」ということを考えてみたいと思います。志村さんは色々なアイデアをお持ちだと思いますので、ぜひお話を聞かせていただきましょう。
志村なるみ: 本題に入る前に自己PRも兼ねて、ABC Cooking Studioを作った経緯についてお話しましょう。
ABC Cooking Studioは全国に112校を展開し(2010年10月15日現在)、社員および講師数は3,566名(2010年6月1日現在)、生徒数は約22万人と、料理教室としては国内最大級と言われています。
もともと私たちの事業は、静岡県藤枝市からスタートしました。藤枝市はサッカーの町として有名なところで、小学校や中学校のサッカークラブの活躍がいつも地元の新聞紙面をにぎわせていました。そのため全国大会で優勝するということ、つまり「日本一」になるということをいつも身近に感じていました。「会社を日本一に」という目標に向かってまっすぐがんばれたのは、このような環境がベースになっていると思います。
1985年11月、藤枝市の雑居ビルのワンフロアに1号店をオープンしました。実は、当初は料理教室ではなく、調理器具の販売を行っていました。たまたま仕入可能だったのがキッチンツールだったという、そんな理由からです。しかし、特に広告も行いませんでしたし、目立った特徴のあるすてきな器具というわけでもなかったので、全然売れませんでした。
そこで友人に相談してみたところ、「料理を作らないから調理器具など要らない。それに、台所に立つとお母さんに怒られる」と返ってきました。そのころ私は20歳くらいだったと思いますが、確かに当時は、台所に立つのはほとんど専業主婦だけでした。ほかの人が台所に立とうとすると、「汚れるから」などと簡単に追い出されてしまう、そんな時代でした。
つまり、私と同年代の女性たちは、料理はしてみたいけれど台所を自由に使わせてもらえないという状況だったのです。ハンバーグや肉じゃがを作ってみたいと思っても、そのチャンスが全然なかったのです。それなら、料理から教えてしまおうと思い立ちました。「私と同年代の女性が学びたい、通いたいと思えるスクールを」という想い、これがABC Cooking Studioのもとになっています。
料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio インデックス
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第1章 「自分たちが通いたい料理教室」だから日本一を目指す!
2011年03月30日 (水)
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第2章 「世界中に笑顔のあふれる食卓を」という理念に支えられた
2011年03月31日 (木)
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第3章 講師には過酷な教室運営の仕組み
2011年04月01日 (金)
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第4章 kidsから婚活まで——挑戦は続く
2011年04月04日 (月)
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第5章 ABCの個性が生まれた2つのブレーク・ポイント
2011年04月05日 (火)
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第6章 道を究める場ではなく、楽しく料理する仲間が集まる場
2011年04月07日 (木)
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第7章 創立当初から積極的に女性を採用して、企業成長を遂げた
2011年04月08日 (金)
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第8章 必要なものは、パズルが埋まるように出来上がる
2011年04月11日 (月)
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第9章 「趣味としての料理」を日本のカルチャーとして世界に広げる
2011年04月12日 (火)
該当講座
料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio
~創業者が見つけた「食を学ぶ」本当の楽しさとは~
志村 なるみ(㈱ABC Holdings 取締役)
田中 洋(中央大学大学院ビジネススクール教授)
成熟市場において新たな価値を提案することでブランディングの成功を果たした企業からゲスト講師をお迎えする2回シリーズ。第1回目の本講座では、ポップなカラーに全面ガラス張りのスタジオに象徴されるABC Cooking Stduio の創立者、志村なるみ氏をお招きします。既にある市場の中で新たな女性向けのビジネスを拡大してきたプロセスについて伺うことで、成熟した市場においてブランドを構築する思考法について学びます。
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