記事・レポート
料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio
~創立者が見つけた「食を学ぶ」本当の楽しさとは~
BIZセミナーマーケティング・PR経営戦略キャリア・人
更新日 : 2011年04月05日
(火)
第5章 ABCの個性が生まれた2つのブレーク・ポイント
田中洋: 以前、志村さんを取材したときに私が印象的だったのが、「いくつかのブレークがあった」とおっしゃっていたことです。静岡県をだいたい制覇して、横浜の元町に出たのが1990年頃、その際に『ケイコとマナブ』に広告を掲載したら、ものすごく反響があったというお話でした。
志村なるみ: 小さな広告枠でしたが、なんと1日500本もの電話をいただきました。「初心者のための料理教室」とうたうだけでそんなに集客ができるというのは、郊外にいたら発見できなかったことですから、すごく感動しました。その次のブレークは1992年から1993年頃です。
田中洋: そのころに料理だけでなく、パンやケーキを始めて、それが第2のブレークですよね。パンは通常、作るのに半日かかるところを2時間に短縮したメニューを開発したということですが、パンというのは女性にとって、そんなに魅力的なアイテムだったのでしょうか。
志村なるみ: たぶん、当時はそれほど魅力的なアイテムではなかったと思います。パン作りを教える「ブレッドコース」は、売り上げを倍増させるために考えたアイデアだったのです。そのころのABC Cooking Studioは料理だけを教えていましたが、それだけで会社の体力を上げて大手になるには限界がある。だから早く「売り上げを2倍にしたい」と、いつもそんなことを考えていました。1.2倍や1.3倍だと考えるのが難しいのですが、「2倍にしよう」となると、色々なアイデアが出てくるものです。
例えば「売り上げを2倍にするために、2倍の店舗数にするか?」と考えると、それには資金もかかるし、すごく大変です。でも当時の教室に通っていた約3万人の生徒さんが「同時に買ってくれる商品」を開発できれば、それは会員が6万人になったようなもので、売り上げが2倍になったのと同じことです。そんな発想で、「みんなが同時に買ってくれるパンのコース」を考えました。
当時、20代の女性がパンを作るという習慣が日本のマーケットにはありませんでした。年配の方が機械を使ってパンを作るという文化はありましたが、私たちの世代の女性が自宅でパンを焼くなんて、びっくりするような話でした。これは日本にないものですから、うまくいけばきっと大ヒットするだろうと考えたのです。
田中洋: 第3のブレークは1999年の大宮ロフト出店ですね。ここで初めてガラス張りのスタジオができました。それから、今ではABC Cooking Studioのトレードマークになっている、あのカラフルでポップなカラーリング。私も国際ビルにある店舗をたまたま通りかかって見ましたが、ものすごいインパクトがありました。1回見たら忘れられません。
志村なるみ: それまでは白を基調とした落ち着いた教室でした。でも、何十店舗も出店していると個性が弱く、飽きられてしまうとわかりました。せっかくガラス張りにしてもらったので、もっとパンチのあるものをということで3社くらいにデザインしてもらい、一番斬新だったものにしました。やはり反対派もいましたよ。「幼稚園みたい」と言われたり。でも、一度見たら忘れられないならよかったです(笑)。
志村なるみ: 小さな広告枠でしたが、なんと1日500本もの電話をいただきました。「初心者のための料理教室」とうたうだけでそんなに集客ができるというのは、郊外にいたら発見できなかったことですから、すごく感動しました。その次のブレークは1992年から1993年頃です。
田中洋: そのころに料理だけでなく、パンやケーキを始めて、それが第2のブレークですよね。パンは通常、作るのに半日かかるところを2時間に短縮したメニューを開発したということですが、パンというのは女性にとって、そんなに魅力的なアイテムだったのでしょうか。
志村なるみ: たぶん、当時はそれほど魅力的なアイテムではなかったと思います。パン作りを教える「ブレッドコース」は、売り上げを倍増させるために考えたアイデアだったのです。そのころのABC Cooking Studioは料理だけを教えていましたが、それだけで会社の体力を上げて大手になるには限界がある。だから早く「売り上げを2倍にしたい」と、いつもそんなことを考えていました。1.2倍や1.3倍だと考えるのが難しいのですが、「2倍にしよう」となると、色々なアイデアが出てくるものです。
例えば「売り上げを2倍にするために、2倍の店舗数にするか?」と考えると、それには資金もかかるし、すごく大変です。でも当時の教室に通っていた約3万人の生徒さんが「同時に買ってくれる商品」を開発できれば、それは会員が6万人になったようなもので、売り上げが2倍になったのと同じことです。そんな発想で、「みんなが同時に買ってくれるパンのコース」を考えました。
当時、20代の女性がパンを作るという習慣が日本のマーケットにはありませんでした。年配の方が機械を使ってパンを作るという文化はありましたが、私たちの世代の女性が自宅でパンを焼くなんて、びっくりするような話でした。これは日本にないものですから、うまくいけばきっと大ヒットするだろうと考えたのです。
田中洋: 第3のブレークは1999年の大宮ロフト出店ですね。ここで初めてガラス張りのスタジオができました。それから、今ではABC Cooking Studioのトレードマークになっている、あのカラフルでポップなカラーリング。私も国際ビルにある店舗をたまたま通りかかって見ましたが、ものすごいインパクトがありました。1回見たら忘れられません。
志村なるみ: それまでは白を基調とした落ち着いた教室でした。でも、何十店舗も出店していると個性が弱く、飽きられてしまうとわかりました。せっかくガラス張りにしてもらったので、もっとパンチのあるものをということで3社くらいにデザインしてもらい、一番斬新だったものにしました。やはり反対派もいましたよ。「幼稚園みたい」と言われたり。でも、一度見たら忘れられないならよかったです(笑)。
料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio インデックス
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第1章 「自分たちが通いたい料理教室」だから日本一を目指す!
2011年03月30日 (水)
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第2章 「世界中に笑顔のあふれる食卓を」という理念に支えられた
2011年03月31日 (木)
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第3章 講師には過酷な教室運営の仕組み
2011年04月01日 (金)
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第4章 kidsから婚活まで——挑戦は続く
2011年04月04日 (月)
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第5章 ABCの個性が生まれた2つのブレーク・ポイント
2011年04月05日 (火)
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第6章 道を究める場ではなく、楽しく料理する仲間が集まる場
2011年04月07日 (木)
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第7章 創立当初から積極的に女性を採用して、企業成長を遂げた
2011年04月08日 (金)
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第8章 必要なものは、パズルが埋まるように出来上がる
2011年04月11日 (月)
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第9章 「趣味としての料理」を日本のカルチャーとして世界に広げる
2011年04月12日 (火)
該当講座
料理を「花嫁修行」から「趣味」へと変えた ABC Cooking Studio
~創業者が見つけた「食を学ぶ」本当の楽しさとは~
志村 なるみ(㈱ABC Holdings 取締役)
田中 洋(中央大学大学院ビジネススクール教授)
成熟市場において新たな価値を提案することでブランディングの成功を果たした企業からゲスト講師をお迎えする2回シリーズ。第1回目の本講座では、ポップなカラーに全面ガラス張りのスタジオに象徴されるABC Cooking Stduio の創立者、志村なるみ氏をお招きします。既にある市場の中で新たな女性向けのビジネスを拡大してきたプロセスについて伺うことで、成熟した市場においてブランドを構築する思考法について学びます。
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