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ロボットは人間になれるのか? ~ロボット、人間らしさの追求~

読みたい本が見つかる「カフェブレイク・ブックトーク」

カフェブレイクブックトーク
更新日 : 2011年02月25日 (金)

第1章 はじめに—「ロボット」、その名の起こり

ロボットというと、最近では兵器や掃除機がありますが、日本人にとっては鉄腕アトム、鉄人28号、ASIMOなど、人型のイメージが強いのではないでしょうか。
人型ロボットの創造意欲の根源には何があるのか、今以上に進化したら生身の人間にどんな影響を与えるのか。そんな疑問を解決する手がかりになる本を紹介します。

講師:澁川 雅俊(アカデミーヒルズフェロー/前慶應義塾大学環境情報学部教授)

六本木ライブラリー カフェブレイクブックトーク 紹介書籍

澁川雅俊: ツイッターで検索してみると、いま非常に多くの人たちがロボットに関心をもっていることがわかります。もっとも盛んに呟かれているのは、アニメ・ロボット(あるいは漫画ロボット)とフィギュア・ロボット(あるいは人形ロボット)のことです。

ひとくちでロボットといってもいろいろで、たとえば『ロボット兵士の戦争』(P.W.シンガー著、小林由香利訳、10年日本放送出版協会)では、巡航ミサイルとか無人飛行機とか無人戦車などのハイテク兵器による現代および近未来の戦争スタイルを考察し、それが人類の安全保障にどのようにかかわるのかを論じています。書名の「ロボット兵士」は、兵器およびそれによる戦術のメタファーとなっています。

「ロボット」と呼ばれているものは、大雑把に分けると、それら兵器や掃除機ルンバのように特定の作業を全自動で行うように作られた作業機械と、人型機械、つまり人に近い形体で、かつ人と同じ機能をもつ機械(本当のところは「人間と同じ機能を持たせることを目標としている未完の機械」というべきでしょうか)があります。 今回のブックトークでは、人型機械に類するロボットの本を集めました。

ところでロボットという名前についてですが、『ロボット(R.U.R.)』(カレル・チャペック著、千野栄一訳、89年岩波文庫)という本があります。この本の原作は1921年に発表されていますが、岩波文庫本カバー表紙にその内容についてこう解説されています。

「ロボットという言葉はこの戯曲で生まれて世界中に広まった。舞台は人造人間の製造販売を一手にまかなっている工場。人間の労働を肩代わりしていたロボットたちが団結して反乱を起こし、人類抹殺を開始する。機械文明の発達がはたして人間に幸福をもたらすか否かを問うたチャペック(1890~1938)の予言的作品。」

人造人間とロボット
岩波文庫『ロボット』の編集者は、そのカバー解説で人造人間とロボットを同義語として扱っています。調べてみると、「人造人間とは、主に人によって製造された人間を模した機械や人工生命体のことであり、人型のロボット、アンドロイド(女性名はガイノイド)、バイオロイドなどの総称である」などと解説されています。つまり人造人間がロボットの上位概念にあり、ロボットはアンドロイドとバイオロイドなどと並列のものであるということになります。

これにヒューマノイドなどという用語がさらに加わると、なにがどれなのかよくわからなくなります。しかし、もともとロボットという用語を生み出したのがフィクションであり、しばしばそれが、たとえばゴーレムとかタロスといった神話や伝説上の創造物や、怪物・妖怪などを素材として創作されてきたので、概念的にはさらに広がりをもつことになります。まして『気分はサイボーグ』(原克著、10年角川学芸出版)で、映画ロボコップでお馴染みのサイボーグなどを思い出すといよいよ複雑になります。この本は、19世紀以来のサイボーグ像を生みだしてきた錬金術というべきか、それとも科学技術的な神話というべきか、科学的可能性に基づいた妄想の変遷を詳しく調べています。

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