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ロボットは人間になれるのか? ~ロボット、人間らしさの追求~

読みたい本が見つかる「カフェブレイク・ブックトーク」

カフェブレイクブックトーク
更新日 : 2011年03月08日 (火)

第8章 おわりに——個性のない人間、個性を備えたロボット

六本木ライブラリー カフェブレイクブックトーク 紹介書籍

澁川雅俊: 『Can a Robot Be Human? : 33 Perplexing Philosophy Puzzles』(Peter Cave著、Oneworld Pubns Ltd、07年)という英語の本があります この本はロボットの本ではありませんが、いうなれば私たちの日々の暮らしでの重要な問題なんだけれども、ほとんど真剣に考えたことがないようなこと、たとえば「私自身の独自性、私と他の人と違うところって何?」、などについて哲学的考察を加えた本です。哲学的などといっても、辛気臭いものではなく、あちこちに施されているマンガチックな挿絵でわかるように、普通の人々の普段のことばでこれらの問題について語っています。

この本の中に、‘I am a robot'という一節があります。この一節は、日常性に埋没してしまって自分を失ってしまったと感じている人たちの問題、別の言い方をすれば独自性の回復について論じています。

その関連では、まず一つは、『パパさんロボット 買いました』(森野さかな作・絵、10年論創社)という子ども向けの絵本があります。これはいま流行の幼児から英語に親しむという風潮に乗ったもので、詞書きが日本語と英語で示されています。そしてこの英語の書名は「This is my dream robot」となっていますが、こういうお話しです。

「ドジで失敗ばかりしているパパの代わりにしっかり者のパパロボットを買いました。たしかにロボットパパは何事もそつなくこなすのですが、何をするのでも際限がないほどに徹底的です。それは何か機械的で、血の通ったところがありません。つまり人間的、言い換えれば個性がないのです。だから僕はドジでも本当のパパが好きなのです」。

もう1点こういう本もあります。『星町の物語』(太田忠司著、10年理論社)です。これはショート・ショートなのですが、その中に、表面的にはいつも同じように振る舞っているロボットのような人でも、どこかにその人の人となりがある、ということをさりげなく暗示している小話が収められています。

ロボットを人間らしく製作することを究極の目標とするならば、そうした個性を別にしても、ピーター・ケーブの提起する問題、つまり「私は誰、どこからきたの?」という個人個人の根元的な問題をロボット工学ではどう考えるのでしょうか。(終)

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