記事・レポート

時代を読み、世界を俯瞰して、フロンティアを拓く場へ

シナリオはない。人と場が相互に働きかけ、共に進化する。
ー平河町ライブラリー 開館記念座談会よりー

更新日 : 2011年01月19日 (水)

第10章 思いがけない顔ぶれ、思いがけない使われ方

平河町ライブラリーオープン記念座談会

袖川芳之: 六本木と平河町ライブラリーでは立地も規模も違いますが、その点はどうですか。

高橋潤二郎: 平河町という日本の中枢というロケーションと質の高い空間、リアルな交流機会があれば、面白い人が集まりそうです。4年ごとに政権交代したら、そのたびに顔ぶれが変わるかもしれない(笑)。

米倉誠一郎: それは面白い、政治を真剣に考える人たちの梁山泊。我々の想像を超えて、「えっ、こんな人間が来ているんだ」という場になるといいですね。

袖川芳之: 1階にはアディダスのランベースもありますから、ジョギングして勉強して帰るという使い方もあるかもしれません。健康というイメージは重要です。

ところで、平河町に集まる人をつなぐ仕組みや仕掛けはどんな形があるでしょうか。

高橋潤二郎: 私は、社交が人間のメインのアクティビティになっていくだろうと思いますが、この場でどう展開できるのかは決めつけずに可能性だけ提供して、中身はメンバーが決めるのがいいのかなと思っています。

メンバーが場に働きかけ、場がメンバーに働きかける。そうした仕掛けを潜めておくと、予想もつかない可能性があるような感じがしています。

竹中平蔵: 六本木ライブラリーでは、会員同士の交流の仕掛けとしてライブラリートークなどをしましたが、平河町はまたちょっと違った展開もありそうです。六本木のライブラリーは3,000人、こちらは最大500~600人。平均年齢も六本木よりやや高くなるでしょう。そうした違いもある。

高橋潤二郎: ええ、3,000人は「マス」だけど、こちらは顔が見える規模。本質的に違う。ここではフェース・ツー・フェースの交流がメインとなる。

竹中平蔵: 政治関係者が集まるようだったら、政治家秘書などのジョブマーケットができるかもしれませんね。これまではクチコミの世界だったから。

高橋潤二郎: なるほどね。この場所の特性を考えると、政治家がここでビシッと政治の話をするというのも魅力的です。クオリティの高いインサイドストーリーをきちんと話してもらう。私たちが一番知りたいのは、ポリシーメイキングのプロセスです。メニューと出来上がった料理しか見せてもらえないから、フラストレーションがたまるのです。そうなると、ここからネオジャーナリズムが生まれてくる可能性もあります。

竹中平蔵: 記者クラブにしか詰めたことのない人たちじゃなくてね。

米倉誠一郎: そう、外国人特派員とかね。近くに最高裁や国会議事堂もあるし、この立地は司法研修生とか司法の勉強をする人にも利用されるかもしれない。

高橋潤二郎: 平河町にふさわしいワークスタイルを持った人たちがここに集まって、どんなふうにこの場に働きかけていくか。また、それを受けてこの場からどんな新しい体験やサービスが生まれてくるか。非常に面白い可能性を秘めた場になりそうです。私たちの予想をはるかに超えたことが起こるのではないかと期待しています。

袖川芳之: いろいろなお話から「平河町ライブラリー」という場の特性や可能性が見えてきました。本日はありがとうございました。(終)

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