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「水が足りない」~ビジネス戦略と地球環境~

朝日新聞GLOBE創刊1周年記念パネルディスカッション

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更新日 : 2010年06月21日 (月)

第3章 日本国民が、国と自分の将来を不安視する3つの理由とは?

~前原誠司国土交通大臣スピーチ~

前原誠司氏

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前原誠司: 現在、日本の将来に対して不安を感じておられる方は多いと思います。一体、どこからその不安が来るのか——私は少なくとも3つの源泉があると思います。

1つ目の不安の源泉は、日本の人口減少です。総務省のデータによると、日本の人口は2004年をピークにどんどん減っています。このままの出生率でいけば、2055年には9,000万人を切ります。それに比べてアジアの国々は、これからどんどん人口が増えていきます。

2つ目は、1つ目にも関係しますが、ものすごいスピードで少子高齢化が進むことです。65歳以上の方の人口比は、今約22%ですが、2055年には40%を超えるといわれています。一方、15歳から64歳の方の比率は2055年には約51%にまで減ります。これが今日本の置かれている状況です。

3つ目は、今までの政権が積み重ねてきた、日本のGDPの約1.8倍もの借金です。莫大な借金を抱え、人口減少することで1人頭の借金は増え、社会保障にお金のかかる世代が増え、働ける人たちはどんどん減っていく。だから、大きな不安を感じるのでしょう。

これら3つの前提条件から、国土交通省がやらなければいけないことは明確です。社会資本整備を急速に縮め、公共投資をある程度抑えていかなければならない。なぜなら社会資本の整備より、これからは社会保障によりお金が要るからです。人口減少や出生率の低下を防ぐ答えとして、我々民主党は「子育て支援にお金をかける」と言っているのです。

ダムの見直し、社会資本整備事業特別会計のいわゆる空港整備勘定の見直し、そして道路特定財源の本当の意味での一般財源化など、根っこは一緒です。今までの公共投資を減らしながら、いかにして日本の今後の持続可能性を追及していくかということです。

道路にせよ、空港にせよ、河川にせよ、今までのやり方をリセットして、どう治水、航空政策、物流を考えていくか。政権交代がなされた今、根本的に変えていきたい。それが税金の使い道の変更だということを、ぜひご理解いただきたいと思います。

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該当講座

朝日新聞GLOBE創刊1周年記念
「水が足りない」 - ビジネス戦略と地球環境 -
前原誠司 (国土交通相)
加藤千洋 (朝日新聞編集委員)
望月晴文 (経済産業事務次官)
桑原洋 (日立製作所特別顧問/海外水循環システム協議会理事長)
竹村真一 (京都造形芸術大学教授 / Earth Literacy Program代表)
梶原みずほ (朝日新聞GLOBE記者)

世界的に不足している「水」について、ビジネスと環境の視点から議論します。


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