記事・レポート
環境とビジネスは両立するか?
~答えはYes。具体策を提示します~
更新日 : 2009年12月03日
(木)
第3章 厳しい環境規制は、企業にとってプラスになる
三橋規宏: ハーバード大学の戦略経営の第一人者、マイケル・ポーターは「適正に設計された環境規制は、企業の国際競争力を強化させる」という説を唱え、すでにさまざまな企業がそれを実証していることを論文で検証しています。これを「ポーター仮説」と呼んでいます。日本では経済産業省や日本経団連が「環境税を実施すると国際競争力が弱くなって、ほかの国に負けてしまう」などと言っていますが、「そんなことは事実に反する」というのがポーター仮説です。
ポーターは、「(時間の概念を伴わない)静学の世界では環境コストは企業経営の負担になり、コストアップ要因になるが、(時間を考慮する)動学の世界では一定の時間が経てば、イノベーションが起こって企業は初期投資を十分回収でき、それ以降は利益が出る」と言っています。これがポーター仮説の大前提です。
ポーターは「well-designed environment regulation=よい環境規制」として、
・人々の健康を守るための規制
・環境破壊、劣化を防ぐための規制
・早晩、実施が見込まれる規制
・イノベーションを誘発させる規制
というものを示唆しています。よい環境規制を実施することによって、企業の国際競争力は高まると言っているのです。
また、ポーターは「イノベーション・オフセット」という概念を使っています。これは、初期投資費用はイノベーションを誘発するような規制によって相殺できるという意味です。具体的には、
1.適正に設計された環境規制は、他国よりも、先んじて法制化されれば、他国の競合企業よりも間違いなく利益をもたらす
2.手ぬるい環境規制よりも厳格な環境規制の方がイノベーションを誘発する
3.厳格な環境規制は、資源生産性の向上を促し、省エネ、省資源による利益を生み出す
というものです。
企業が「これでは潰れてしまう」と思うぐらい厳しい環境税を実施した方が、イノベーションは起こるのです。企業は生き残るために様々な努力をするものだからです。
そしてイノベーション・オフセットを実現できる分野として、「プロダクト・オフセット」と「プロセス・オフセット」を挙げています。プロダクト・オフセットとは、より高性能、高品質、安全性、リサイクル容易な製品の開発を促進すること。「プロセス・オフセット」とは、生産過程で汚染を軽減させる工夫することで、資源生産性の向上を促し、省エネ、省資源による利益を生み出すことです。いずれにしても、厳しい規制が企業にイノベーションを起こし、企業成長の原動力になると主張しています。
一般的に企業がイノベーションを起こす条件は3つあると言われています。「強力な競争相手の登場」「顧客からの厳しい要求」「原材料価格の高騰」の3つです。しかしポーターは、4番目として「適正に設計された環境規制」を加えたいと述べています。
ポーターは、「(時間の概念を伴わない)静学の世界では環境コストは企業経営の負担になり、コストアップ要因になるが、(時間を考慮する)動学の世界では一定の時間が経てば、イノベーションが起こって企業は初期投資を十分回収でき、それ以降は利益が出る」と言っています。これがポーター仮説の大前提です。
ポーターは「well-designed environment regulation=よい環境規制」として、
・人々の健康を守るための規制
・環境破壊、劣化を防ぐための規制
・早晩、実施が見込まれる規制
・イノベーションを誘発させる規制
というものを示唆しています。よい環境規制を実施することによって、企業の国際競争力は高まると言っているのです。
また、ポーターは「イノベーション・オフセット」という概念を使っています。これは、初期投資費用はイノベーションを誘発するような規制によって相殺できるという意味です。具体的には、
1.適正に設計された環境規制は、他国よりも、先んじて法制化されれば、他国の競合企業よりも間違いなく利益をもたらす
2.手ぬるい環境規制よりも厳格な環境規制の方がイノベーションを誘発する
3.厳格な環境規制は、資源生産性の向上を促し、省エネ、省資源による利益を生み出す
というものです。
企業が「これでは潰れてしまう」と思うぐらい厳しい環境税を実施した方が、イノベーションは起こるのです。企業は生き残るために様々な努力をするものだからです。
そしてイノベーション・オフセットを実現できる分野として、「プロダクト・オフセット」と「プロセス・オフセット」を挙げています。プロダクト・オフセットとは、より高性能、高品質、安全性、リサイクル容易な製品の開発を促進すること。「プロセス・オフセット」とは、生産過程で汚染を軽減させる工夫することで、資源生産性の向上を促し、省エネ、省資源による利益を生み出すことです。いずれにしても、厳しい規制が企業にイノベーションを起こし、企業成長の原動力になると主張しています。
一般的に企業がイノベーションを起こす条件は3つあると言われています。「強力な競争相手の登場」「顧客からの厳しい要求」「原材料価格の高騰」の3つです。しかしポーターは、4番目として「適正に設計された環境規制」を加えたいと述べています。
関連書籍
よい環境規制は企業を強くする —ポーター教授の仮説を検証する—
三橋規宏海象社
環境とビジネスは両立するか? インデックス
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第1章 世界同時不況が示した、「資源収奪型経済の終焉」
2009年11月11日 (水)
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第2章 環境保護とビジネスは両立できる
2009年11月24日 (火)
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第3章 厳しい環境規制は、企業にとってプラスになる
2009年12月03日 (木)
-
第4章 良い環境規制と、悪い環境規制の実例
2009年12月15日 (火)
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第5章 NPOが環境ビジネスで成功する時代
2009年12月25日 (金)
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第6章 なぜ日本はエネルギー効率が高いのに、世界から誉められないのか
2010年01月08日 (金)
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第7章 新しいルールのつくり方
2010年01月19日 (火)
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第8章 ブラジルがバイオエタノール大国になった理由
2010年01月28日 (木)
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第9章 「2050年までに温暖化ガス半減」は難しいことではない
2010年02月08日 (月)
該当講座
三橋 規宏(環境・経済ジャーナリスト)×竹中 平蔵(アカデミーヒルズ理事長)
従来は相反すると考えられてきた「環境と経済」をどのようにすれば両立させられるのか、三橋氏と竹中理事長にお話いただきます。
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