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日本政治の行方

ジェラルド・カーティス教授による、日本の政治シリーズ 第3回

更新日 : 2009年08月26日 (水)

第7章 ついに日本も“チェンジ”する…か?

ジェラルド・カーティス: 私が一番不安なのは、民主党の幹部たちの話を聞くと、日本が直面している危機に対する意識をあまり感じられないことです。戦後最悪の経済情勢になって、将来の少子高齢化問題もあり、中国がだんだん強くなって日本がだんだん弱くなっていっている、これをどうするか、日本をどう立ち直らせるべきかという話がないんです。「国民の生活が第一。」とかいうスローガン政治をやって国民が怒らない、要望を出さないというのは非常に残念に思います。

今の民主党には、英語でいう「spark」「excitement」「inspiration」がありません。「こういう国にしよう、そのためにこういうことをやろう、そのためには苦い薬も飲まなければならないけれど、これで健康的になるんだ」という話をする政治家が、なぜ1人もいないのか。自民党にも民主党もいません。非常に残念に思うと同時に、これは非常に危険だと思います。政治家は勇気を出して、ダメでもいいから、自分が本当に正しいと思うことを国民に訴えれば、国民は納得すると思います。

今、世の中はすごく動いています。中国はだんだん強くなってきた、アメリカの立場も変わっていく。それなのに日本が国内政治問題で、あと何年も思い切った行動をとらず、政権がころころ変わったり、不安定になったりしていたら、世界が先へ先へ進んでいって、日本の変化が遅れて間に合わない。そういう危険性は大いにあります。

でも、チェンジはいいことです。大きな期待がなくても、やはりときどきチェンジすることです。今度、民主党が政権をとっても大きな期待はできないけれど、日本にとってもっと悪いのは、チェンジがないことだと思います。今度民主党が勝てば、最初は「日本の財政赤字がまた膨らむ」と市場の反応はよくないかもしれません。でも自民党が政権を維持して、麻生さんが総理大臣を続投するとしたら、市場がどう反応するかはわかりませんが、やはり必要なチェンジは起こらないでしょう。

今度はおそらく“変化”は起きるでしょうが、どこまで民主党が勝って、勝ったら何をするのか? 来年は「どうしたの、民主党?」というタイトルでお話しするかもしれません(笑)。今日はどうもありがとうございました。(終)

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日本の政治シリーズ 第1回、第2回のレポートはこちらからご覧になれます。

プロフィール

Gerald L.Curtis
Gerald L.Curtis

コロンビア大学政治学名誉教授