記事・レポート
ビジネスマンのための「経営力」養成講座
更新日 : 2009年02月16日
(月)
第8章 経営哲学の根幹は「人の幸せ」
会場からの質問: 優先順位づけが大事なのは分かりますが、どれから、というのを悩んでいる間に時間がなくなってしまうことがあります。そんなときのアドバイスをお願いします。
小宮一慶: 一番好きなことをやればいいですよ。一番エネルギーが出るから、それで突破口を見出すんです。私は、本を書くのも「私しか書けないこと以外は書かない」と決めているんですよ。他の人と差別化できることは何かを考えること、つまり、今ご指名いただいて、自分を一番売れるポイントは何なのかということです。
頑張っても他の人と同じにしかなれないことがあるじゃないですか、それは捨てる。だから私はもうゴルフの練習はやめました(笑)。ゴルフ場行って楽しければいいと、もうそう徹することにしたのです。
「なぜ7人の会社をやっているのか?」とよく聞かれます。1人だったらもうかるに決まっていますから。でもね、スタッフがいるから何倍も働けるんですよ。スタッフを維持するためには、給料もボーナスも事務所代も払わないといけないですけれど、1人でやっているより何倍もアウトプットを出せます。
自分が一番力を出せることを見つけ出すんです。最初は好きなことかもしれないのです。
それを会社の中だけで考えないことです。
会場からの質問: 日本の経営者の中で、どういう方が一番判断基準を持っていますか?
小宮一慶: 私の価値観に合っているという意味で、松下幸之助さんを一番に挙げたいと思いますけれど、今生きている方でいうと、恐らく稲盛和夫さんが一番判断基準をきちんと持っておられるのではないかと思います。稲盛さんの本はたくさん出ていますが、私が好きなのは『稲盛和夫の実学』という本です。
会場からの質問: 「企業の方向づけ」ということで、「何をやるか、やめるかを決めること」というお話がありました。やめることによって、働く人を窮地に追い込むようなケースも中にはあろうかと思うのですが、そのときに、どこに判断基準を置いたらいいでしょうか?
小宮一慶: 「お客さま第一」と言いましたけれど、実は私は、もっと奥の判断基準を持っているのです。私には98歳になる藤本幸邦先生(編注:明治43年生まれ)という人生の師匠がいます。長野県・篠ノ井にある円福寺、曹洞宗のお坊さんです。カンボジアや中国などの恵まれない地域に小学校をつくる運動をされていて、私は東京事務局長をしています。そのボランティア活動をやりながら先生にいろんなことを教わりました。
あるとき、藤本先生が、「小宮さん、経済というのは何のためにあるか知っていますか?」と、突然お尋ねになるんですよ。「いえ、分かりません」と答えたら、「経済というのは人を幸せにするための道具。経済も政治も手段、人の幸せのための手段だ。じゃあ、あなたの会社は何のためにあるか、分かるね?」と言われたのです。
こういうこともあって、私の経営哲学の根幹は「人の幸せ」なんです。だから「リストラ」ということは大嫌いなんです。大切なのは、そこまで会社を追い込まないということです。お客さま第一を徹底して、会社をよくすれば、雇用を維持できるわけです。先ほども申し上げましたように、自己犠牲はしない、誰も犠牲にしないというのが私の考え方です。
今回、講演した内容の書籍『ビジネスマンのための「経営力」養成講座』がディスカヴァーより来年早々にも刊行になる予定です。ご興味のある方は、ぜひこちらもお読みください。(終)
小宮一慶: 一番好きなことをやればいいですよ。一番エネルギーが出るから、それで突破口を見出すんです。私は、本を書くのも「私しか書けないこと以外は書かない」と決めているんですよ。他の人と差別化できることは何かを考えること、つまり、今ご指名いただいて、自分を一番売れるポイントは何なのかということです。
頑張っても他の人と同じにしかなれないことがあるじゃないですか、それは捨てる。だから私はもうゴルフの練習はやめました(笑)。ゴルフ場行って楽しければいいと、もうそう徹することにしたのです。
「なぜ7人の会社をやっているのか?」とよく聞かれます。1人だったらもうかるに決まっていますから。でもね、スタッフがいるから何倍も働けるんですよ。スタッフを維持するためには、給料もボーナスも事務所代も払わないといけないですけれど、1人でやっているより何倍もアウトプットを出せます。
自分が一番力を出せることを見つけ出すんです。最初は好きなことかもしれないのです。
それを会社の中だけで考えないことです。
会場からの質問: 日本の経営者の中で、どういう方が一番判断基準を持っていますか?
小宮一慶: 私の価値観に合っているという意味で、松下幸之助さんを一番に挙げたいと思いますけれど、今生きている方でいうと、恐らく稲盛和夫さんが一番判断基準をきちんと持っておられるのではないかと思います。稲盛さんの本はたくさん出ていますが、私が好きなのは『稲盛和夫の実学』という本です。
会場からの質問: 「企業の方向づけ」ということで、「何をやるか、やめるかを決めること」というお話がありました。やめることによって、働く人を窮地に追い込むようなケースも中にはあろうかと思うのですが、そのときに、どこに判断基準を置いたらいいでしょうか?
小宮一慶: 「お客さま第一」と言いましたけれど、実は私は、もっと奥の判断基準を持っているのです。私には98歳になる藤本幸邦先生(編注:明治43年生まれ)という人生の師匠がいます。長野県・篠ノ井にある円福寺、曹洞宗のお坊さんです。カンボジアや中国などの恵まれない地域に小学校をつくる運動をされていて、私は東京事務局長をしています。そのボランティア活動をやりながら先生にいろんなことを教わりました。
あるとき、藤本先生が、「小宮さん、経済というのは何のためにあるか知っていますか?」と、突然お尋ねになるんですよ。「いえ、分かりません」と答えたら、「経済というのは人を幸せにするための道具。経済も政治も手段、人の幸せのための手段だ。じゃあ、あなたの会社は何のためにあるか、分かるね?」と言われたのです。
こういうこともあって、私の経営哲学の根幹は「人の幸せ」なんです。だから「リストラ」ということは大嫌いなんです。大切なのは、そこまで会社を追い込まないということです。お客さま第一を徹底して、会社をよくすれば、雇用を維持できるわけです。先ほども申し上げましたように、自己犠牲はしない、誰も犠牲にしないというのが私の考え方です。
今回、講演した内容の書籍『ビジネスマンのための「経営力」養成講座』がディスカヴァーより来年早々にも刊行になる予定です。ご興味のある方は、ぜひこちらもお読みください。(終)
※この原稿は、2008年7月8日にアカデミーヒルズで開催したRoppongi BIZセミナー『ビジネスマンのための「経営力」養成講座』を元に作成したものです。
ビジネスマンのための「経営力」養成講座 インデックス
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第1章 企業戦略に必要なのは、方向付けと他社との差別化
2008年10月22日 (水)
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第2章 経営の本質の1つ「企業の方向づけ」には、インプットと積み重ねが必要
2008年10月30日 (木)
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第3章 経営チェックに必要な9つのキーワード
2008年11月07日 (金)
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第4章 「この会社のために命を懸けてもいい」と、何人の社員が思ってくれるか
2008年11月20日 (木)
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第5章 肩書きや権威で動く人間は長続きしない
2008年12月04日 (木)
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第6章 「強い会社」は、ビジョンや理念が確立している
2008年12月16日 (火)
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第7章 現場のギャップへの対処法
2009年01月27日 (火)
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第8章 経営哲学の根幹は「人の幸せ」
2009年02月16日 (月)
該当講座
小宮一慶 (経営コンサルタント/株式会社小宮コンサルタンツ代表/明治大学大学院会計専門職研究科特任教授)
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