記事・レポート
ビジネスマンのための「経営力」養成講座
更新日 : 2008年11月07日
(金)
第3章 経営チェックに必要な9つのキーワード
小宮一慶: まずは質のいいインプットを積み重ねるということが大事ですが、次に大事なのは、「発見力」です。皆さん、セブン-イレブンのロゴのイレブン、「ELEVEn」の最後の「n」は小文字って知っていますか? ものというのは、実は見えているようで見えていないのです。だから、ELEVEnの最後の nが小文字だというのも、聞かなければ一生知らずに終わる人が結構たくさんいると思います。
何を言いたいかというと、「まず関心を持ちましょう」ということです。関心を持てば、ものは見えるのです。関心を持ったあと、次は「仮説」をお持ちになると、さらにものが見えてきます。数字もそうです。
私が今一番注目して見ている数字は、アメリカの個人消費がどこまで落ちるかということです。直近の数字で年率4.8%の伸びですが、もし本格的に個人消費が3%台とか2%ぐらいまで減速すると、アメリカ経済は目も当てられなくなります。
日本は0.5%の政策金利で、インフレ率が消費者物価だけとっても1.5%、アメリカは2%の政策金利で4%の消費者物価上昇率です。つまり、円で持っていても、ドルで持っていても、購買力が落ちるのです。今100円持っていても、1年後には100円の物を買えないということです。ユーロは最近政策金利を0.25%上げて4.25%、ユーロだけがインフレ率にほぼ勝っているから、必然的にユーロが買われやすい状況になっているのです。
ただ、為替が動くのにはいろいろな要因があります。でも短期的には金利で動きやすい。これも仮説です。「インフレ率と政策金利」という仮説を持って見ると、基準ができるので、ものが見えてくるわけです。
経営においても、例えば「供給過剰の時代、お客さま第一で差別化をしているかどうか」ということを、私は一番の仮説にしています。何に優先順位をおいて判断していくかは、自分なりにつくっていくしかないのですが、皆さんも同じような仮説をたくさん持っていけばいいのです。
私が考える「経営の9つのキーワード」があります。私のお客さまが「スピード」の出る経営をしているか、「ボーダレス」マインドを持っているかどうか、「リレーションシップマーケティング」に取り組んでいるか、「理念・ビジョン」が確立しているか。会社の価値は将来を目指すキャッシュフローで決まりますから、「キャッシュフローベースの経営」をしているかどうか。「事業ドメイン」とは、何でもやらないというキーワード。つまり、強いものを活かして勝負しているかどうかを見ています。
それから「ネットワーク」。この複雑怪奇な時代、いろいろな情報が入ってくるわけです。そうした中、人的なネットワークを十分持っているかどうかということも、私の判断基準です。そして「イノベーション」はあるか。それから「環境」です。自社だけがよければいいというのではなくて、地域住民や働いている人に対して環境に配慮しているか、つまり優しさを持っているかどうかです。
全部やれるかどうか分かりませんから、その中で何を優先順位にするか、ということです。
社長というのは究極の判断業です。何をやるか、やめるか、最終的には自分で決めないといけません。私たちのようなコンサルタントはアドバイスはできますけれど、責任はとれないわけです。非常に重大な決断をしないといけなくなったときに、何を最優先するかで判断が決まるのです。それは皆さん自身の価値観の問題なのです。「方向づけ」というのは、そういうものです。
何を言いたいかというと、「まず関心を持ちましょう」ということです。関心を持てば、ものは見えるのです。関心を持ったあと、次は「仮説」をお持ちになると、さらにものが見えてきます。数字もそうです。
私が今一番注目して見ている数字は、アメリカの個人消費がどこまで落ちるかということです。直近の数字で年率4.8%の伸びですが、もし本格的に個人消費が3%台とか2%ぐらいまで減速すると、アメリカ経済は目も当てられなくなります。
日本は0.5%の政策金利で、インフレ率が消費者物価だけとっても1.5%、アメリカは2%の政策金利で4%の消費者物価上昇率です。つまり、円で持っていても、ドルで持っていても、購買力が落ちるのです。今100円持っていても、1年後には100円の物を買えないということです。ユーロは最近政策金利を0.25%上げて4.25%、ユーロだけがインフレ率にほぼ勝っているから、必然的にユーロが買われやすい状況になっているのです。
ただ、為替が動くのにはいろいろな要因があります。でも短期的には金利で動きやすい。これも仮説です。「インフレ率と政策金利」という仮説を持って見ると、基準ができるので、ものが見えてくるわけです。
経営においても、例えば「供給過剰の時代、お客さま第一で差別化をしているかどうか」ということを、私は一番の仮説にしています。何に優先順位をおいて判断していくかは、自分なりにつくっていくしかないのですが、皆さんも同じような仮説をたくさん持っていけばいいのです。
私が考える「経営の9つのキーワード」があります。私のお客さまが「スピード」の出る経営をしているか、「ボーダレス」マインドを持っているかどうか、「リレーションシップマーケティング」に取り組んでいるか、「理念・ビジョン」が確立しているか。会社の価値は将来を目指すキャッシュフローで決まりますから、「キャッシュフローベースの経営」をしているかどうか。「事業ドメイン」とは、何でもやらないというキーワード。つまり、強いものを活かして勝負しているかどうかを見ています。
それから「ネットワーク」。この複雑怪奇な時代、いろいろな情報が入ってくるわけです。そうした中、人的なネットワークを十分持っているかどうかということも、私の判断基準です。そして「イノベーション」はあるか。それから「環境」です。自社だけがよければいいというのではなくて、地域住民や働いている人に対して環境に配慮しているか、つまり優しさを持っているかどうかです。
全部やれるかどうか分かりませんから、その中で何を優先順位にするか、ということです。
社長というのは究極の判断業です。何をやるか、やめるか、最終的には自分で決めないといけません。私たちのようなコンサルタントはアドバイスはできますけれど、責任はとれないわけです。非常に重大な決断をしないといけなくなったときに、何を最優先するかで判断が決まるのです。それは皆さん自身の価値観の問題なのです。「方向づけ」というのは、そういうものです。
ビジネスマンのための「経営力」養成講座 インデックス
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第1章 企業戦略に必要なのは、方向付けと他社との差別化
2008年10月22日 (水)
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第2章 経営の本質の1つ「企業の方向づけ」には、インプットと積み重ねが必要
2008年10月30日 (木)
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第3章 経営チェックに必要な9つのキーワード
2008年11月07日 (金)
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第4章 「この会社のために命を懸けてもいい」と、何人の社員が思ってくれるか
2008年11月20日 (木)
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第5章 肩書きや権威で動く人間は長続きしない
2008年12月04日 (木)
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第6章 「強い会社」は、ビジョンや理念が確立している
2008年12月16日 (火)
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第7章 現場のギャップへの対処法
2009年01月27日 (火)
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第8章 経営哲学の根幹は「人の幸せ」
2009年02月16日 (月)
該当講座
小宮一慶 (経営コンサルタント/株式会社小宮コンサルタンツ代表/明治大学大学院会計専門職研究科特任教授)
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