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ビジネスマンのための「経営力」養成講座

更新日 : 2008年10月30日 (木)

第2章 経営の本質の1つ「企業の方向づけ」には、インプットと積み重ねが必要

小宮一慶氏の『ビジネスマンのための「経営力」養成講座』の様子

小宮一慶: 具体的にどうすれば「方向づけ」が正しくできるようになるのか——1つは、インプットを増やさないとだめです。「会社」という字は、うまく書いたもので「社会」という字の反対です。どんなに大きな会社でも社会の流れには勝てません。

短期的なことは新聞を読むのが一番です。特にビジネスマンには、日経新聞を朝、1面目からお読みになることをお勧めします。なぜかというと、新聞は後ろから読んだ方が面白くつくってあるので、朝忙しいときにはタイムアウトになってしまうのです。政治面も国際面も経済面も社説も、時間がなければ読まなくていいです。大見出しだけでいいので、何を話題にしているのかということを目に入れていくことが大事です。

例えば、Jリーガーになろうとして、毎日卓球の練習をしていても、Jリーガーには絶対なれません。Jリーガーになりたければ、サッカーの練習をしないといけないですよね。
同じように経営者になって成功したければ、「経営とは何か?」ということを理解したうえで、あとは正しい努力を積み重ねるしかないのです。

私は、月曜日の日経新聞に載っている景気指標を20年以上毎週見ていますので、皆さんには一日の長があって少々勝っていると思いますけれど、積み重ねです。それを使って仕事をするようになると、余計に必要になってくる。これはいい循環なのです。インプットして、それをアウトプットしていくということが大切だと私は思います。

新聞や雑誌の情報もそうだし、こういう研修会、講習会に来て、いろいろな人の話をお聞きになるのもそうです。また、たまたま隣り合わせに座った人から、何かのご縁で情報を得られるかもしれないでしょう。

私は、実は飛行機で隣り合わせに座った人の会社に転職をしたことがあるのです。1981年に銀行に入り、91年のことだったと思います。ニューヨークに出張した帰りの飛行機で、たまたま隣に座ったおじさんと話をしていて、意見が合ったその人は岡本行夫さん。外務省を辞めて会社をつくってすぐのころで、「あなた、面白いから来ないか」というのです。それに乗って、『岡本アソシエイツ』にいったのが人生の転機です。

日本にはプロの経営者というのは、ほとんどいないというのを痛感しています。友人たちと投資ファンドをつくって5年ぐらいになります。フレンドリーな買収をやって、50%以上の株式を取得し、経営権をとって経営をして、ある期間をもって会社の価値を高めて上場するなり、転売するなりします。それで経営者を探すわけですが、プロの経営者を探すのはすごく難しいのです。

私が皆さんに期待するのは、経営の勉強をして他社でも通用する能力を身につけていただきたいということです。転職しろと言っているのではなくて、会社もそういう能力のある人を一番求めていると思うのです。


該当講座

ビジネスマンのための「経営力」養成講座
小宮一慶 (経営コンサルタント/株式会社小宮コンサルタンツ代表/明治大学大学院会計専門職研究科特任教授)

年功序列や終身雇用といったシステムが崩壊しつつある今、ビジネスマンにとって「経営者的視点」を持つことは、不可欠となりつつあります。 本講座では、経営に不可欠な3つの要素と、それぞれの要素に必要な能力について、『ビジネスマンのための「発見力」養成講座』や『「一秒!」で財務諸表を読む方法』などベストセ....


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