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『ケロッグ大学大学院 モーニング・セッション「日本から米国、そして世界への挑戦~サイボウズからLUNARRへ~」』

BIZセミナーマーケティング・PR
更新日 : 2008年11月04日 (火)

第6章 人・モノ・金の次へ。「見えないものをマネジメントする」新しい経営

高須賀宣さん(右)と高橋英伸さん

高橋英伸: ざっくばらんに本音を語っていただきますので、高須賀さんにご質問がある方はこの機会にぜひ、どうぞ。

会場からの質問: どういう視点で、どういうメンバーを中心的に集めたのですか?

高須賀宣:僕が今までの社内ベンチャーやサイボウズでの経験を通じて感じたことは、不確実性の高いコンセプチュアルなものを取り扱う人と、それを具現化していく人というのは全く違うということです。日本では「技術者」と一言で言われているのですけれど、技術者は高いエンジニアリング力を持っている。でもエンジニアリングでコンセプチュアルなものは生まれないんですよね。

最初のスタート時点では、とらわれない切り口を見出して考えていくことが必要なので、こういう話で盛り上がれる人を探します。

でも具現化する人は、それとは全く違っています。逆にコンセプチュアルな人は具現化能力が弱いケースが多いので、そこをうまくミックスしないといけない。僕の頭の中では2つカテゴライズして、それに応じた面接のスクリプトで対応しています。

ちなみに現在の12人のうち、基本的には僕ともう1人がコンセプトを考えて、ほかのメンバーは、技術、マーケティング、PRを含むエンジニアリングを担っています。

会場からの質問:先ほど、「新しいマネジメントをやってみたいということが、LUNARRをつくった動機だ」とおっしゃいましたが、その辺をもうちょっと教えていただけませんか?

高須賀宣:タスクを時間で管理するような、例えば「鉛筆を3本つくるところを、同じ時間で4本つくった人が偉い」というのは根本的に間違っていると、もうみんな気づいていると思うんですね。

僕が今テーマにしているのが、「アンタンジブル」というか、「見えないものを取り扱う経営」なんです。人・モノ・金といわれていて、タンジブルなリソースを対象に事業を回すみたいなことはやれているのですけれど、それはもう恐らく古い。見えないものが重要ということで、僕が一番注目しているのは「ナレッジ」なんです。

ブランドもそうですし、人のナレッジといったものを経営のリソースとして定義して、それをどう取り扱うかが、実は、これからのマネジメントだというふうに思っています。

ちなみに、意思決定すると、どんどん確実性が高くなっていくので、意思決定の手法はもちろん、「コンセプチュアルなフェーズ」「ストラテジックなフェーズ」「実際に行動するフェーズ」というように分けて、もう少し見えないところの世界をマネジメントの中に取り込もうと仮説を立てながらやっています。

会場からの質問:起業したいという気持ちでいっぱいなんですが、なかなかスタートボタンを押せないでいます。高須賀さんがポートランドまでいって起業されるという、その決め手はなんですか?

高須賀宣:これは理屈じゃないんです。もうすでに僕が保有している素敵なものがいっぱいあるんですが、それを失う恐怖よりも、僕の場合は、LUNARRでやろうとしている新しい未来を失うことの恐怖を見ているんです。チャンスを失うことが、僕にとっての恐怖なんです。

会場からの質問:新しい自分のプランに対して絶対的な自信があるからですか?

高須賀宣:いや、全然ないですよ。でも、誰もやったことがないことをやっている瞬間と成し遂げた瞬間が、世の中で最もすばらしい快楽だと思っているんです。アドレナリンがドワーッと出るんですよ。あの快感が忘れられないんですね、きっと。

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