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【対談動画】 若林恵(黒鳥社)× 石神俊大(MOTE)
「CLIMATE CHANGE - 気候変動」を知る46冊

更新日 : 2020年06月16日 (火)

Category7 資源・開発・保護



 
乱脈な開発から一転しての環境保護。「地球に優しく」と謳うのは簡単だが、言ったからといって問題が解決するわけでもない。話はそんなに簡単ではない。ナイーブな環境シフトは、新たな問題をも引き起こしうるのだ。
 
 
 

コルヌトピア
津久井五月植物の生理機能を演算に応用する技術が生み出された2084年の世界、東京は環状緑地帯によって世界有数の「計算資源都市」となった。未来都市に生きる3人の若者を通して植物と人類の共生を描く本作は、オルタナティブな“資源”のあり方を提示する。(早川書房/2017年)

荒潮陳楸帆中国新世代SF作家を代表する陳楸帆が描き出したのは、世界各国から輸入された電子廃棄物を資源とする“シリコン島”の環境再生計画。実際に世界の“ゴミ捨て場”だった中国南東部を重ね合わせることで、本作はSFが見えざる現実を暴き出せることを証明する。(早川書房/2020年)
 

反穀物の人類史
国家誕生のディープヒストリー
ジェームズ・C・スコット大ヒットとなった『サピエンス全史』とも通じる、農耕文化に偏った歴史観を糺すべく執筆された人類史。農耕と「国家」というものの「発明」の成立過程を辿り直し、その不安定さ、特殊さをあぶり出すことで、国家と自然資源の関係性に再考を迫る労作。(みすず書房/2019年)
 

PIPELINE ICELAND / ALASKA
石塚元太良
アイスランドの地熱発電を支えるパイプラインと北極海から太平洋をつなぐ石油輸送のパイプライン、ふたつの“ライン”を淡々と追いつづけた写真集。美しき自然のなかを走る資源開発のためのラインは、人類が自然に残した傷の“縫い目”のようにも見えてくる。(講談社/2013年)

消えゆくアラル海
再生に向けて
石田紀郎20世紀最大の環境破壊と呼ばれる「アラル海」。かつて世界4位の大きさを誇った湖をわずか50年で10分の1のサイズにまで消滅させてしまった未曾有の「開発」はいかに起こり、何をもたらしたのか。緻密な調査を通して、破壊の先にある再生の道筋を探る。(藤原書店/2020年)

反転する環境国家
「持続可能性」の罠をこえて
佐藤仁「環境保護」が人・社会と自然との関係をかえって遠ざけ、分断を引き起こす。より強固な「人の支配」を引き起こす。こうした「反転」を回避するために、アジアの事例や日本の経験をもとに、よりよい環境国家の姿を模索する。(名古屋大学出版会/2019年)



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