記事・レポート

突き抜けるアート ~社会と人をつなぐもの~

変容するアートが人を変え、世界を変える:猪子寿之×津田大介

更新日 : 2015年12月16日 (水)

第11章 共創の楽しさ、面白さを感じてほしい


 
1人ではなく、みんなでつくる

津田大介: 僕達を取り巻く世界は、産業社会から情報社会へと進化しました。ならば、この情報社会を生きていく上で心がけていくべきことは何でしょう? 「猪子さんのようになれ!」と言っても、おそらく皆さん真似できないと思いますので、別の答えをお願いします(笑)。

猪子寿之: それは……、チームラボの作品を観て、未来を感じること(笑)。西洋のアートは1つの固定された視点から見なければいけませんが、僕達のアートは作品の前で飛び跳ねたり、踊りまくったりしてもアウトではない。例えば、東京・お台場の日本科学未来館で開催した「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ! 未来の遊園地」もそう。

津田大介: ワーワー騒ぎながら観ても大丈夫?

猪子寿之: むしろ、そうしてほしい。自分が踊れば、アートも踊り出してくれるから。

津田大介: それは楽しそうですね。

猪子寿之: 僕は幼い頃、よく1人で絵を描いていましたが、他人に見せることもなければ、他人に見てもらう機会もなかった。1人で絵を描くより、誰かと一緒にワーワー言いながら絵を描いたほうが断然楽しいですよね。1枚の大きな紙にみんなで絵を描いたら、もっと楽しいはず。それをそのまま体感できるようにしたのが、「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ! 未来の遊園地」です。特に子ども達には、ここで共創することの楽しさや面白さを感じてほしい。

津田大介: いや、それは重要な話で、子ども時代に他人に対する興味の持ち方が変われば、その先に戦争がなくなる可能性が出てきますよね。

猪子寿之: そう、そうなんですよ!

津田大介: 国と国は仲が悪くても、人と人とは自由につながることができるから。

猪子寿之: まさしくそうです。僕もそれが伝えたくて。もう1つ、情報社会を生きていく上で心がけてほしいのは、いまこの瞬間から、自分より年上の人、20世紀の思考や価値観に毒されている人とは一切話をしないこと。そうすれば、思考や価値観は新しい時代にシフトします。

津田大介: そうなると、僕のほうが年上だから、このトークは成立しなかったはずですが(笑)。

猪子寿之: そもそも僕ができていないという(会場笑)。僕のように初志貫徹できない心の弱い人は、チームラボの作品をたくさん観てください。

津田大介: 皆さんぜひ、チームラボの作品をたくさん観て、未来を体感し、新しい時代に思考や価値観をシフトさせてください。猪子さん、ありがとうございました!

猪子寿之: ありがとうございました。(了)


気づきポイント

●デジタルの登場により、アートは鑑賞するものから、参加・体感するものへと進化した。
●「変容するアート」は、人々の思考や関係性に影響を与え、それらを変えていく力がある。
●多様なつながりが生まれている時代だからこそ、共創の楽しさや面白さを体感してほしい。

該当講座


NO PHOTO
六本木アートカレッジ 突き抜けるアート~社会と人をつなぐもの~

世の中に新しい価値を送り出すウルトラテクノロジスト集団チームラボ代表、猪子寿之氏と、政治・経済・カルチャーなど独自の視点で発信している津田大介氏がアートの可能性を語ります。